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波照間への思い、そして「曲の里帰り」へ
化粧台に置かれたスマートフォンから、波照間のうたが流れている。歌っているのは、波照間で「あやふふぁみ」という食堂を営むよしみさん。市子さんはよく、よしみさんから波照間に伝わる古いうたを教えてもらっているのだという。その中には、工工四(三線の楽譜)に残っていないものもある。



「開演まで――あと13分」。時計を確認して、市子さんがつぶやく。「今日は波照間から、20人ぐらい来てくれてると思います。嬉しい。だから今、島の人口が400人から380人になってるはず」
この6年、市子さんは何度となく波照間に通ってきた。祖先を供養し、豊年と無病息災を願う島最大の神行事「ムシャーマ」にも、2023年からは毎年参加している。沖縄本島ではなく、石垣でコンサートを開催することになったのは、波照間の皆にも観てもらえるようにという思いもあった。


「波照間から石垣にくるだけでも、結構大変なことなんです」と、市子さん。「お店や民宿をやっている人が、お店を閉めて石垣にくると、島のシステムがちょっととまってしまう。しかも、今はキビ刈りが始まっていて――波照間では島の人が皆でキビ刈りをするから――波照間から石垣にくるだけでも大変なんですよね。そこからさらに空港に行って、沖縄本島に移動するのは、ちょっとステップが多くなってしまう。それに、波照間の人だけじゃなくて、八重山の皆さんに聴いてもらいたいって思ってたから、石垣市民会館でやりたかったんです。ファンの人に聴いてもらいたいって気持ちももちろんあるけど、『この人は誰かね、知らない人だけど、ちょっと観に行ってみようかね』って、聴きにきてもらえたら、って」
今回の石垣公演は「八重山諸島住民割」のチケットもあって、一般より1,000円安い価格が設定されていた。そして、琉球新報や沖縄タイムスに加えて、八重山で発行されている地元紙・八重山毎日新聞にも、公演の2日前に「青葉市子、石垣でライブ/八重山に『曲の里帰り』」という記事が掲載されていた。その記事を見て、ふらりと訪れた地元のお客さんもいるのだろう。開演時間が迫る頃には、大ホールの客席がおおむね埋まりつつあった。

※ライブレポートは後編に続きます!