2020年代のこの6年間は、世界的に見ても激動の時代だった。新型コロナウイルスの感染拡大、安倍元首相の銃撃事件、ロシアのウクライナ侵攻、第2次トランプ政権のスタート、中東情勢の緊迫、レイシズムの拡大と物価高騰。たった6年間に世界を揺るがす出来事が頻発し、日本社会もその影響を受けた。
VIDEOTAPEMUSICの最新作『NOISE FACE LANDSCAPE』は、その激動の6年間に作られた楽曲をまとめた音源集だ。2024年6月にリリースされた前作『Revisit』は日本各地で行われたフィールドワークを手がかりにしながら、特定の土地から新たな音の風景を立ち上がらせようと試みた作品だった。その『Revisit』と並行して制作された楽曲も含む『NOISE FACE LANDSCAPE』には、近年彼が取り組んできたものが記録されている。
VIDEOTAPEMUSICはこのアルバムに関するコメントのなかで「街のようにうるさい音楽」と説明している。彼は世界をどのように見つめ、街のざわめきをどのように表現しようとしているのだろうか? 晩春の夕方、VIDEOTAPEMUSICに話を聞いた。
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『NOISE FACE LANDSCAPE』はライブでよく演奏する楽曲を収録
―今回の『NOISE FACE LANDSCAPE』には、2020年から2026年にかけて作った楽曲が収録されています。一番古い曲はどれなのでしょうか。
VIDEOTAPEMUSIC:“1990年のカッコーオーケストラ”は2009年のCD-Rにも入れていた古い曲なんですよ。2020年ぐらいからあらためてライブでやるようになって、今回入れてみました。
それを除くと、一番古いのは“Funny Meal”ですかね。コロナ禍に入った直後、ceroがやった配信ライブに2曲だけゲスト参加したことがあって、そのとき初めてライブでやりました。2020年の3月だったと思います。

ミュージシャンであり、映像作家。失われつつある映像メディアともいえるVHSテープを各地で収集し、それを素材にして音楽や映像の作品を作ることが多い。VHSの映像とピアニカを使ったライブパフォーマンスをするほか、映像ディレクターとしても数々のミュージシャンのMVやVJなども手掛ける。近年では日本国内の様々な土地でフィールドワークを行いながらの作品制作や、個人宅に眠るプライベートなホームビデオのみを用いたプロジェクト「湖底」名義でのパフォーマンスも行っている。2015年の2ndアルバム『世界各国の夜』以降はカクバリズムから音源作品リリースをするほか、国内外のレーベルからも多数の作品をリリースしている。日本各地で行ってきた滞在制作の記録をカセットテープと160Pの書籍にまとめたカセットブック作品『Revisit』を2024年6月にリリースした。
―コロナの感染がじわじわと広がっていた時期ですね。
VIDEOTAPEMUSIC:そうですね。コロナ禍にライブができなくなって、その代わりにさまざまなアートプロジェクトに関わりながら制作するようになったんですよ。そのころのマインドが出たのが前作の『Revisit』だと思います。
VIDEOTAPEMUSIC:その後、コロナが収束するなかで海外のフェスに出たり、来日アーティストの前座が増えてきて。バンドでやる機会もあったので、徐々にレパートリーも増えてきました。そのなかで音源化していないものも溜まってきたので、一回まとめてみようかと。
―VIDEOさんのアルバムはこれまでテーマやコンセプトが作品をまとめている印象がありましたが、今回は割と編集盤的な位置づけでもあるわけですか。
VIDEOTAPEMUSIC:そういう側面も強いかもしれない。ただ、過去のものも最初からコンセプトを決めてそこに突き進むというより、その時期にやってたものを俯瞰したとき、どういう名前でまとめられるか考えていくなかでテーマが浮かび上がってくることが多くて。今回はそういったテーマもあまりなかった。たくさんの候補曲からライブでやる頻度が高いものを優先して8曲選びました。