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「わからない」を怖がらないで 「雑談の人」桜林直子の対話術

2026.6.5

#OTHER

日常生活において、いきなり初対面の相手から「相談に乗ってください!」と話しかけられることは、ほぼない。ほとんど全ての場合、職場や学校、もしくはネット上などで何らかの関わりがある人とコミュニケーションをとり、だんだんと関係が深まったところで「実は相談したいことがあって……」となる。

ということは、人生相談は普段の何気ない会話からうっすらと始まっているとも言える。

「雑談の人」として著書を発表したり、ポッドキャストに出演したりしている桜林直子さんは、マンツーマン雑談サービス「サクちゃん聞いて」を主宰している。

オンラインで1回90分、月に1度のペースで5回続ける。「有料の雑談」というのも、どういったものなのか想像しづらいが、ここには人生相談未満のモヤモヤを掬い取るヒントが大いに埋まっている予感がする。

桜林さん、上手く雑談するコツって何ですか?

人生相談だと悩み事を整理しすぎちゃう

ーなぜマンツーマン雑談サービスを始めようと思ったんですか?

桜林:このサービスは2020年の頭からやってるんですけど、その前はnoteに文章を書いてたんです。誰に頼まれたわけでもなく、頭の中の整理整頓という感じで書き散らかしてました。それを読んだ方から「自分も書いて整理してみたい」と言われるようになったんですね。「とりあえず書いてみるといいんじゃないですか」と答えていたんですけど、なかなかハードルが高くて難しいという人が多くて。だったら、しゃべってみるのがいいんじゃないかと思ったんです。

しゃべるのなら、何回同じ話をしてもいいし、途中で内容が変わってもいいし、正確な言葉遣いじゃなくてもいい。会話が止まっちゃったら、聞いてる方が手伝うこともできる。そもそも私も書くことはそんなに得意ではないですし、友達とおしゃべりしてコミュニケーションすることは異様に好きなので、これをやってみようかなと。当時はクッキー屋を経営していて収入もあったので、本当に気軽に始めたんですよね。

桜林直子(さくらばやし なおこ)
1978年、東京都生まれ。洋菓子業界での勤務を経て、2020年にマンツーマン雑談サービスをスタート。著書に『世界は夢組と叶え組でできている』『つまり“生きづらい”ってなんなのさ?』などがある。ジェーン・スーさんとのポッドキャスト「となりの雑談」も人気。

ー対話主体のサービスを「人生相談」や「カウンセリング」、「コーチング」という看板でやっている人は多いと思うんですが、「雑談」にしたのが肝ですよね。

桜林:人の話を聞くのは好きだけど、自分の話をするのは苦手という人はたくさんいるんですけど、、そういう人が自己開示していない感じって周りに伝わっちゃうんですよ。そうすると、ただただ自分の話がしたい人が寄ってきちゃう。「誰でもいいから話したい」という人が、鬱憤を投げ入れるゴミ箱みたいに使われるから、それは楽しくないですよね。ずっと相手の話を聞いてるだけというのも、いびつなバランスだと思うんです。
だから、自分の話をする場所を作りたかったんですよね。でも「あなたがしゃべるんですよ」と強調すると、尻込みしてこなくなっちゃうかもしれないので、双方がしゃべるニュアンスがある「雑談」という言葉でフワッとさせたかったんです。

ー「あなた1人がしゃべるんじゃないんですよ」と。

桜林:そうそう。気軽にやりましょう、という。あと、みなさん真面目なので、人生相談と銘打つとしっかりと悩み事を整えて持ってきちゃうんですよ。相手の期待に応えようとしちゃう。それ故にのびのび自分の話ができないんですよね。

ー雑誌やラジオの人生相談コーナーでは、簡潔にまとまっているお悩みが採用されやすいと思うんです。その方が答えやすいし、読者やリスナーにも伝わりやすいので。だから、相談する側も「お悩みはこうあるべき」みたいな定型を内面化しちゃっているというか。

桜林:そう、答えやすいように悩みを整理してくれちゃうんですよ。私は人生相談に答えるような仕事を全部断ってて。整理された相談に書かれていないことを想像で埋めるような作業をしたくないからなんですよね。エンタメとしては面白いんですけど。

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