
モジュラーシンセサイザー奏者、ボイス。モジュラーシンセサイザーに声や朗読、楽器を取り込み、抽象音と具体音の織り合わさった夢と日常の境界を探る。ノスタルジックなメロディーと、エクスペリメンタルなサウンドを融合したアンビエントサウンドが特徴。2024年にはフィンランドおよびベルリンを巡るヨーロッパツアー、『北京Modular Commune』、2025年にはデンマークツアーに参加。
フワッとした女の子なのに、企画の中で一番ハードコアな作品に
今回はコラボアーティスト10組目。モジュラーシンセ奏者で、地下アイドル活動もしていたという異色のアーティスト安永桃瀬ちゃんについて語っていこうと思います。
桃瀬ちゃんとの出会いは2021年に参加した『KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭 2021 SPRING』での「山本精一ディレクション・音楽プログラム シアター版」の打ち上げ会場でした。
ザ・地下アイドルみたいな風貌で打ち上げの席に颯爽とついた彼女は、凄いテンションで話しまくり、猛獣だらけのアーティストの中、あっという間にセンターの座を獲得していて、なんてパワフルな子なのだろうかと、強烈な第一印象でした。
その時はまだシンセを触り出したばかりの時期だったと記憶していますが、そのパワフルさと異常なフットワークの軽さで、日本のモジュラー代表みたいな位置にまであっという間に登りつめ、国内に留まらず世界中を飛び回る彼女とは何度も色んな場所で即興セッションを繰り返してきました。彼女のモジュラーアンビエントとドラムの組み合わせは異常に相性が良く、自由度も高く、全てがとてもスムーズなんです。
いつかじっくりとレコーディングした作品も作れたらいいねと話していたこともあり、今回この企画が進み出してすぐにコラボの案を伝えたら、是非やりましょう! と返事をくれてコラボミーティングがスタート。これまでに即興で沢山音楽を作り出してきたので、その方向性のアンビエント×ドラム曲“Liquid Air”はすぐにイメージを固められて、あとの2曲は挑戦的な課題を設けて進むことになりました。
“Loam”はドラム全体をマイキングして、その音を全部モジュラーに突っ込んで、ドラムプレイを即興で再解釈、再構築していくという試み。これが物凄くノイジーでハードコアな仕上がりになりまして、フワッとした女の子とのコラボなのに、今回の企画全体の中でも一番ハードコアな作品となりました。
“Eyes Lie”は歌もの曲を作ってみたいね。という話が上がり、それならばと歌詞をいくつか書きまして、それを彼女が歌いやすいように言葉を変えたり、足したりして貰って、さらにモジュラーで曲の骨組みを作ってもらい、そこにダンスビートのドラムを乗せて完成させました。
their eyes can’t see the truth that is here.
they lie here, but still asleep, dreaming inside a lie.their eyes……
they lie……their eyes can’t see the truth.
they lie here, but still asleep, dreaming inside a lie.彼らの目には、ここにある真実が見えない。
彼らはすぐそこにいるのに、まだ眠っている。
嘘の中で夢を見ている。– collaborate#9より“Eyes Lie”
この曲の英詞を直訳するとこんな感じの内容で、意訳すると、「本当が見えてない人が多すぎる」というこれまた何とも物騒な曲が仕上がりまして、大変気に入っています。
地下アイドルとしても活動していた彼女に、今回の強い作品を当てたことで、そこに生まれたコントラストはとても面白いものになったなと。両極の概念が離れていれば離れているほど面白いアートになるという持論があるので、それを体現できた今作。その辺りの設計も是非楽しんでもらいたい部分です。ドリーミーなサウンドから、ハードコアから、アンビエントダンスミュージックまで幅広い3曲をお楽しみください。
粉川心
次回は粉川から伊藤えりへの手紙を7月7日(火)に公開予定。
粉川心(SHIN KOKAWA)長期プロジェクト「13artists×3works」

■プロジェクトコンセプト:身体的負荷の先にある「強いアート」の本質 この途方もない量の制作と連続リリースの背景には、粉川自身の「身体値の限界突破」というテーマがあります。比叡山延暦寺の極限の修行「千日回峰行」から着想を得ており、便利な時代にあえて「質より量」という過酷なアプローチを選択。圧倒的な制作量とライブの継続を通じて、身体 的な負荷の先に見える「強いアート」の本質を突き詰める試みです。また、13週間にわたる活動 そのものをひとつの表現とし、アーティストとしての影響力を拡大しながら、持続可能で心地よいビ ジネスモデルを構築・実証していくという「アートとビジネスの両立」も重要なテーマとして掲げています。
■参加アーティスト(全13組 / 順不同・敬称略)
・zezeco (青木ロビン / manukan)
・ermhoi
・類家心平
・魚返明未
・Noriyuki Inoue (jizue)
・THE BED ROOM TAPE (景山奏 / NABOWA)
・オオヤユウスケ (Polaris)/anzu
・高橋佑成
・早雲
・Momose Yasunaga
・伊藤えり
・八幡亜樹
・Yasutaka Okada (kott)
各種リンク
HP: https://penguinmarket.net/artist/shinkokawa/
Instagram:https://www.instagram.com/drum_shinkokawa/
X(旧Twitter):https://twitter.com/Drum_ShinKokawa
SPOTIFY:https://open.spotify.com/intl-ja/artist/3Vg6ZWLfFLXKgHoE4xbE3k
APPLE MUSIC:https://music.apple.com/jp/artist/shin-kokawa/1575903464
collaborate#10

収録曲:
1.Eyes Lie
2.Liquid Air
3.Loam
配信リンク:https://linkco.re/vrrqdFGg