8月15日(土)より公開されるドキュメンタリー映画『撃たれた自由の声を撮れ』の予告編と、著名人からのコメントが公開された。
同作は、ザイナブ・エンテザール監督によるタリバン支配下のアフガニスタンを舞台にしたドキュメンタリー。未来のために自由を求めて声を上げ続ける女性たちの命がけの抵抗を映し出している。監督自身も危険を感じながらも撮影に追随し、亡命先で同作が完成。アムステルダム国際ドキュメンタリー映画祭など、各国の映画祭で上映され反響を呼んでいる。

2021年の米軍撤退後、首都カーブルを含むほぼ全土をタリバンが掌握し、20年にわたる民主政権が崩壊した。これにより女性たちは再び教育や外で働く機会を奪われ、少女たちは親よりも年の離れた男たちと結婚させられ、家に閉じ込められる。
そんななかラシュミンとナスタランの姉妹は、女性たちと共に街に出て声を上げる。銃を構えた男性たちに「私たちはひるまない」と言い放ち、この国の現状を発信すべくスカーフにスマートフォンを隠し撮影する。家父長制が支配する社会で、デモに参加する女性たちを父親は軽蔑し、隣人からの密告にも怯える日々。「殺されるかもしれない」と血の凍る思いをしながらも街に飛び出していくラシュミンは、「次世代に同じ苦しみを経験させたくない」「未来の子どもたちだけは私たちアフガン女性を誇りに思うはず」という思いに突き動かされる。
公開された日本版の予告編では、銃を持つ男の前にプラカードを持って立ち続ける女性たちの姿や、鳴り響く銃声などが収められている。また、eri、坂口涼太郎、高島鈴、七尾旅人、菱山南帆子、藤元明緒、安田菜津紀からのコメントが公開された。
なお、同じくアフガニスタンの女性監督であるナジーバ・ヌーリによるドキュメンタリー映画『ハワの手習い』も、8月1日(土)より公開。教育を受けられなかった母が学び始め、諦めていた夢を追いかける姿に娘がカメラを向け記録した作品となっている。
eri(デザイナー、アクティビスト) コメント
女は通りに出る。女はプラカードを掲げる。女は声を上げる。女は黙らない。女は世界を変えてきた。女は今までもこれからも。
坂口涼太郎(俳優) コメント
女性たちを黙らせるために撃たれた銃弾はそれほど遠くに届かない。
でも、彼女たちの声は国境を越えて、私たちのところまで届いた。
「口を噤んで静かにしているままだと“不満はない、幸せなんだ”と勘違いされる」
私たちはいま、静かにしていてよいのだろうか。
「どうかタリバンをやっつけてください」と泣きながら祈るこどもの姿を見たあと、私たちはどこに、どんな声を届けたくなるだろうか。
高島鈴(ライター、アナーカ・フェミニスト) コメント
銃を向けられ、逮捕や死の恐怖に晒されながら、それでも生ある限り抗う。アフガンの女性活動家たちが闘うのは彼女たちが英雄だからではない。闘う以外に、己の生、隣人の生を守る術がないからだ。
なあ、これを見て黙ってられるか?
七尾旅人(シンガーソングライター) コメント
教育や社会進出の機会を奪われたアフガニスタンの女性たちが、撮影用のスマートフォンやメッセージパネルを衣服の奥に潜ませ、危険な路上へと向かう。2020 年代、政治の私物化が横行する国際社会で引き裂かれてゆく多くの人々を励ますであろう勇敢なハンドメイド・ドキュメンタリー。現在のタリバンは、アメリカ CIA などのテコ入れで生まれた冷戦下の産物であること、ムスリムを常に「遅れた存在、危険な存在」として差別的に表象しながら飽くことなき搾取を繰り返してきた西側諸国の一端に我々日本人もいることに留意しながら観てほしい。悪政の負債を負うのは常に市井の人々だが、その魂と手のひらに灯った火は、尽きることなく手渡されていく。闇の中に取り残された誰かに向けて。
菱山南帆子(市民運動家) コメント
女性への暴力と差別はタリバンの再支配から始まったわけではない。米国支配下でも女性への抑圧は無くならなかった。戦争、経済制裁による深刻な人道危機は女を苦しめる。先進国と言われる中で日本のジェンダーギャップ指数は最下位。ジェンダー平等実現と反戦平和は表裏一体だ。軍拡で再び世界を脅かそうとしている日本。私たちは国境を越え女性解放の為に闘う女たちと連帯していかなければならない。
藤元明緒(映画作家) コメント
感動したい、笑いたい、泣きたい。映画を映画として楽しみたい。
そんな期待を胸に、劇場の扉を開くことは多いと思う。
ただ、映画は誰かにとっての生命線になることがある。そのことをどうか覚えておいてほしい。
芸術の根幹を思い出させる、あまりにも切実な映画だ。
安田菜津紀(メディア NPO Dialogue for People 副代表/フォトジャーナリスト) コメント
「みんなが口を噤んだままだと“不満はない、幸せなんだ”と勘違いされる」「“静かだから満足しているな”ってね」——そんな彼女たちのあげた声に応えるべきは、世界であり、私なのだ。
ザイナブ・エンテザール監督 メッセージ
撮影当時、私も多くのアフガニスタンの女性たちと同じように、恐怖、避難、そして安定を失う痛みを抱えながら生きていました。彼女たちと同じ場所に立ち、恐れや苦悩、希望を分かち合う者としての視点からこの作品は生まれたのです。私はこの映画を「アフガニスタンだけの物語」とは捉えていません。人間の自由、尊厳、教育、そして存在そのものの権利が脅かされるときに何が起こるのか。世界のどこであっても起こりうる普遍的な問題を映し出しています。
映画は文化や国境を越えて理解を生み出し、自由を求める闘いが特定の国や民族だけのものではないことを、私たちに静かに思い起こさせてくれます。日本の皆さんに、本作を「同情」ではなく、「人としての結びつき」を持って受け止めていただければ嬉しいです。
STATEMENT
〈女性〉が教育を受けられない唯一の国、タリバン支配下のアフガニスタン。
多くの夢や希望が奪われ、傷つきながらも、学び、声を上げ続ける——
世界中が戦禍のいま、わたしたちが知るべきこと。今夏、ナジーバ・ヌーリ監督『ハワの手習い』、ザイナブ・エンテザール監督『撃たれた自由の声を撮れ』の2作品を劇場公開いたします。いずれもアフガニスタンを舞台に、ふたりの女性監督が文字通り命がけで作り上げたドキュメンタリー映画です。
民主政権下で培われていた希望、迫りくる抑圧の恐怖、そしてタリバン支配下でなお自由を求め続けるアフガニスタンの女性たちの抵抗を異なる視点から描いた2作品は、山形国際ドキュメンタリー映画祭2025で上映され、『ハワの手習い』は市民賞を受賞しました。
世界中が戦禍に飲み込まれるいま、“平和国家日本”という足元もまた揺らいでいます。この2作品を通して、自由を諦めない人びとの強さと、その声を奪われまいとする意志に出会っていただければ幸いです。――配給会社 東風
映画『撃たれた自由の声を撮れ』


8月15日(土)~ [東京]ポレポレ東中野、ヒューマントラストシネマ有楽町 ほか全国順次
監督・撮影・製作:ザイナブ・エンテザール 編集:モハマド・サミプール 制作:Lumier Film
日本語字幕:吉田ひなこ 字幕監修:後藤絵美、アウィード 配給:東風
アフガニスタン|2024年|70分|ダリー語|DCP|英題:Shot the Voice of Freedom
(C) Lumier Film
