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NEWS EVENT SPECIAL SERIES

『じゃあ、つく』『ひらやすみ』原作者はどう見た? 谷口菜津子・真造圭伍と語る

2025.12.22

#BOOK

漫画家オカヤイヅミさんが、ゲストを自宅に招いて飲み語らう連載「うちで飲みませんか?」。第13回は、『じゃあ、あんたが作ってみろよ』の谷口菜津子さん、『ひらやすみ』の真造圭伍さんにお越しいただきました。

ともにドラマ化された作品が大きな話題となった漫画家お二人は、今年で結婚7年のご夫婦でもあります。ドラマを楽しみに見ていたというオカヤさんを交えた、いつもより少し長めの、漫画家3人によるほろ酔い鼎談の模様をお楽しみください。

当日振る舞われた「ラムクミン芋煮」のレシピもお見逃しなく!(レシピは記事の最後にあります)

お互いに忙しい漫画家夫婦の暮らし

谷口:お邪魔します。オカヤさんのごはんに備えて、今日はお昼を少なめにしてきました。

オカヤ:ようこそ。めちゃめちゃお忙しいんじゃないですか?

谷口:ドラマがはじまるタイミングはそんなに忙しくなかったんですけど、ドラマが素晴らしい出来だったおかげで、半ばぐらいからものすごく仕事が来るようになって……それで仕事をお断りしなきゃいけないのがすごくつらいです。あと、「今まで私の良さに気づいてくれてなかったの!?」みたいな気持ちにも少しなりましたね(笑)。

谷口菜津子(たにぐち なつこ)
漫画家。神奈川県出身。『教室の片隅で青春がはじまる』(KADOKAWA)、『今夜すきやきだよ』(新潮社)で第26回手塚治虫文化賞新生賞受賞。現在、comicタントにて『じゃあ、あんたが作ってみろよ』、webアクションにて『まめとむぎ』連載中。その他の著作に『ふきよせレジデンス』(KADOKAWA)、『人生山あり谷口』(リイド社)など。

真造:忙しそうだよね。最近「○○しなきゃ」が口癖だもんね。毎日5〜6回は聞く。

真造圭伍(しんぞう けいご)
漫画家。石川県出身。週刊ビッグコミックスピリッツに投稿ののち、大学3年時にデビュー。『ぼくらのフンカ祭』(小学館)で第16回文化庁メディア芸術祭マンガ部門新人賞受賞。現在、週刊ビッグコミックスピリッツにて『ひらやすみ』連載中。その他の著作に、2016年に実写映画化された『森山中教習所』、『トーキョーエイリアンブラザーズ』(小学館)、『ノラと雑草』(講談社)など。

谷口:それはね、真造さんへの「わたし暇じゃないんですよ」というアピールだったりもする。真造さんも忙しくて辛そうにしてるから、私に家事を押し付けられたら困ると思ってアピールしてるところがある。

真造:逆もあるよね。本棚とかが散らかりすぎてて、俺が整理整頓しだして、わざと呼吸を荒くして。

オカヤ:片付けるの大変だなーというアピール?

真造:そうそう。でも谷口さんは1日の終わりでもう何もしたくない、みたいになってたり。

谷口:お互い忙しい同士になると、そうやって喧嘩するよね。心が狭くなって。

オカヤ:仕事場は別なんですか?

谷口:同じ家の中だけど、違う部屋でそれぞれ描いてて、家事は分担してやってるから、忙しいと家事がお互いにままならなくなって。

真造:なんかね、遠くから「ワーーー!!」とか言ってる声が聞こえるんですよ。

オカヤ:どうしたんですか(笑)。

谷口:今日は、サイン本を作るのを忘れて、自分に絶望したんです。

真造:声がすると気になっちゃうというか、心配になって行くんだけど、なにもできないから……。かといって放っておくと「来てー!」って言われて。来てほしいタイミングと放っておいてほしいタイミングがわからないんですよ。

谷口:放っておいてほしいと言ったことは1回もないよ。

オカヤ:来たらうれしい?

谷口:うん、来たらうれしい。心配してくれたらうれしい。すいません、痴話喧嘩を(笑)。

この日のメニューは、ラムクミン芋煮、白菜グリル、蓮根花椒きんぴら、ごぼうピクルス、にんじんのはっさくなます。一見地味な白菜グリルは、お二人に大好評でした。ラムクミン芋煮のレシピは記事の最後に!

『じゃあつく』『ひらやすみ』、作者はドラマをどう見た

オカヤ:ドラマの影響はすごいですね。『じゃあ、あんたが作ってみろよ』は、周りで見てない人がいない。どのタイプの知り合いも見ている印象です。

谷口:ああ、ドラマってこんなにみんな見てるんだなと思いましたね。真造さんとも話してたんですけど、『ひらやすみ』のドラマはかなり忠実に原作通りに物語が進んでるんですけど、私の場合はまだ物語が途中なのもあるし(※)、私自身、自分の作品がドラマだとどんなふうになっていくのかが楽しみだから、おまかせしているところがあって。オリジナル要素もどんどん入れてください、とお伝えしているし、だから同人誌の二次創作を見ているような感覚もあります。

※『じゃあ、あんたが作ってみろよ』『ひらやすみ』は共に現在も連載中(2025年12月時点)

真造:パラレルワールドを見てるようだよね、って話してるよね。

オカヤ:なるほど。たしかに『ひらやすみ』はめちゃくちゃ忠実ですよね。

真造:そうですね。本当にずっと原作通りだね。けっこう嬉しかった。

谷口:真造さんが泣いているところをはじめて見ました。本当に、今までの全ての中ではじめて。自分の作品で泣くんだ、と思って(笑)。

オカヤ:へえ。「良いドラマにしてくれてありがとう!」みたいな涙なんですか?

谷口:「俺こんなに良い作品描いてたんだ」って言って泣いてたよね(笑)。

真造:いやいや、もちろん、こんなふうに映像化してもらって、ということですよ(笑)。みなさんの演技が上手過ぎて……。

オカヤ:どのシーンで泣いたんですか?

真造:何回かあるんですけど、ヒロト(岡山天音)が俳優をはじめた頃に、事務所から帰って走り出すところと、なっちゃん(森七菜)がケーキを落として泣いちゃうところかな。

谷口:なっちゃんがケーキを落として泣いてるところで、真造さんがすごく共感していて、私はぜんぜんそこじゃないところでいつも感動してたから、びっくりしたよ。

真造:そっか。なんだろうな……俳優さんの演技が、こういうふうにやるんだっていう感動が強かったから。

オカヤ:『ひらやすみ』の森七菜さん、すごくいいですよね。

真造:みんないいですよね。なっちゃんのドラマも、俳優さんがみんなすごくいい。

谷口:なっちゃんって言うのは、なつみ(森七菜)じゃなくて私のこと?

真造:あ、そうそう(笑)。谷口さんのね。

オカヤ:『じゃあ、あんたが〜』の竹内涼真さんもすごくいいです。第1話はちゃんと、見ている人がムカつくようになっていて、その後で「頑張ってる、かわいい」となる。思う壺ですね。

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