先週は『フジロック(FUJI ROCK FESTIVAL)』の土曜日に行き、ROMYのDJとTSHAのライブセットで久しぶりにダンス。ROMYはセットの全体を通して前回のFloor Essenceで紹介した1990年代のトランスをプレイし、エンディングではなんとFerry Corstenの”Out Of The Blue”に彼女の新曲”LoveHer”のボーカルをミックスしたスペシャルバージョンを披露。その瞬間オーディエンスの大歓声があがり、深夜のRED MARQUEEが最高にハッピーなパーティーになった。今回はROMY世代のシーンの状況を俯瞰してみよう。そこから今のダンスビートの背景やクラブシーンの雰囲気を感じてもらえたらと思う。
INDEX
EDM全盛期に新しいビートを模索した先駆者たち
ROMYがThe xxでデビューしたのが2009年、ちょうどEDMが世界的なブームとなり始めたタイミングで、フェス映えする派手なトラックの全盛期だった。多くのDJもクラブからフェスをターゲットにした活動に軸足を移しはじめた。特にアメリカでの反応が良かったことで派手なフェス仕様のトラックが世界的な潮流となり、オーディエンスの動きやステップにも少なからず影響を与えたんだと思う。ダンスというよりは上半身だけで反応する、パーティーというよりもステージを観るフェス仕様のノリが当たり前になっていく。
その一方イギリスではグライムやダブステップを中心にアンダーグラウンドでさまざまなビートの実験が繰り広げられていた。それはクラブのフロアとベッドルームを行き来しながらシリアスで新しいスタイルを産み出そうと多くのDJやアーティストが活発に活動をはじめる、その先駆者がBurialだろう。そして彼に続くようにFour TetやJon Hopkinsが頭角を表し、そんな状況の中からThe xxが登場する。必ずしもフロアにフォーカスしていなくても彼らは確実にダンスシーンのDNAを受け継いでおり、その世代が今のUKダンスシーンをフロントラインで牽引している。また例えばダウンテンポ、レフトフィールドから出てきたBonoboがフロアでも熱狂的に受け入れられているのは今のシーンがビートやテンポの縛りからも自由になってきている証でもあるだろう。