HYBE INDIAは、インドで次世代のグローバルスターを発掘、育成する大規模オーディション『HYBE INDIAオーディション』の開催を発表した。
2025年に「HYBE INDIA」を設立し、インド進出を果たしたK-POP大手のHYBEが、インドを中心としたオーディションを行うことはもはや必然だった。
オーディションに関する詳細は、今後HYBE INDIAの公式サイトおよびSNSチャンネルにて随時公開される。

インドでは2001年にオーディション番組『Coke V Popstars』によって誕生した、インド版Destiny’s Childを目指したViva!が失敗し、3年で解散してしまったことで、もちろん地方でインディーズとして活動していたグループはいたが、メジャーグループとしては約22年間も不在の状態であった。
2019年には、AKBグループとしてデリーを拠点としたDEL48と、ムンバイを拠点としたMUB48が結成されるが、新型コロナの影響によって、曲をリリースしないまま都市伝説のように空中分解してしまうなど、グループ化に関して消極的になってしまうような事例が相次いだ。
ところがコロナパンデミック中に、音楽ストリーミングを通してK-POP需要が増加。Z世代を中心に韓国ドラマも人気を博すなど、韓国カルチャーに注目が集まるようになったのだ。インドエンタメにおける韓国カルチャーの影響というのは、2010年代からあったものの、大きく前進したのはコロナ以降である。
そしてHYBEだけではなく、韓国がインド市場に目を付けていたのは何も最近の話ではない。例えばX:IN、BLACKSWAN、MEP-Cのようにインド系メンバーを入れるだけではなく、楽曲もインド音楽を意識することで、南アジアのK-POPユーザーに寄り添ってきている。KATSEYEのララと、『アメリカン・アイドル』に出演経験もある姉のシンガーソングライター、リア・ラージもインドユーザーに向けて、SNSを通じて定期的に発信している。
インド国内からもK-POPに寄り添った動きはいくつかあって、2020年以降、『All India K-POP Contest』といったインド国内でのK-POPダンス・カラオケコンテストが頻繁に行われてきており、K-POP自体の市場はある程度出来上がっていた。
2023年に公開されたマラヤーラム語映画『Oh My Darling』では、主人公が韓国カルチャー好きという設定もあり、主題歌“Darling”にTWICEや倖田來未の楽曲を手がけたK-POPシンガーソングライターのリンダ・クエロを抜擢。振付を「K-POPインディア・コンテスト2022」のダンス部門で優勝を果たしたダンスグループのMIXDUPが担当した。
Viva!以降、約22年ぶりとなる2023年に誕生したガールズグループのW.i.S.H.は、K-POP、西洋POPとインド音楽の融合を目指したグループとして誕生した。
実際にメンバーのゾーは、韓国のカバーソングをYouTubeに投稿していたK-POPマニア。姉妹でもあるリーとシムは、Symmetryという音楽デュオとして活動しており、グローバルアーティストの発掘・育成プロジェクト『NEXA Music』でインド映画音楽界の巨匠A.R.ラフマーンに見出され、“Different Kind of Love”、“Rollercoaster”をリリースするなど、もともと西洋POPとインド音楽の融合を試みてきたアーティストだ。
2024年にはボーイズグループFirst5が誕生し、その前後でも多くのグループがデビューしている。3月にも南インドの等身大の女子をコンセプトとしたThe Sea Unitが誕生するなど、インド国内では音楽グループ化ムーブメントが到来している。
インド音楽とK-POPメソッドの相性が良いことは、この5年ほどで証明されてきていることであり、ここにきてHYBEが本格進出したことで、インド音楽業界が今まで以上に活気づくことは間違いないだろう。
K-POPの影響によって、今後インド音楽界で大きな動きがあることはいくつか予想できるのだが、そのひとつにディスク文化復活の可能性がある。インドでは2010年以降、ストリーミングサービスでのリリースが一般的となり、CDをはじめとしたディスク化を行わなくなってしまった。一部の古典音楽や南インド映画のサウンドトラックがリリースされているが、それはイギリスなどの海外レーベルからのリリースとなっており、インド国内でのディスク文化は長らく停滞していたのだ。
ところがここにきて、K-POPアーティストのグッズや写真集付きのCDがインド国内でもネットや一部店舗を通して流通し始めている。インドのポップミュージックである、I-POPが世界での浸透に歯止めをかけている一番の原因はディスク文化が途絶えていたからであり、ここがK-POPの刺激によって復活すると予想できる。それと同時に、日本同様にレコードブームが巻き起こっている。近年の映画サントラがCDではなく、レコードのみでリリースされるなど、ディスク文化復活の兆しが見えてきた。
HYBEのプロジェクトの動向も気になるところだが、それよりも注目したいのは、それに刺激されたインド音楽市場の動きがどうなるかだ。