メインコンテンツまでスキップ
NEWS EVENT SPECIAL SERIES

映画『フォールガイ』が贈るスタントマンへの「讃歌」

2024.8.27

#MOVIE

映画『フォールガイ』が8月16日(金)から日本公開されている。『ジョン・ウィック』で知られるデヴィッド・リーチ(David Leitch)が監督を務め、『バービー』『オッペンハイマー』で世界を席巻したライアン・ゴズリング(Ryan Gosling)とエミリー・ブラント(Emily Blunt)が共演する本作。描かれているのは、アクション映画には欠かせない存在でありながら、これまであまり日の目を浴びることがなかった「アクションスタント」の物語だ。

近年、ハリウッドでは『アカデミー賞』に「スタント賞」の設立を求める声が上がっているというが、本作の登場でますますその注目度は上がるのではないか。願わくば、映画界の影の立役者「スタントマン」に光を。

※本記事には映画本編の内容に関する記述が含まれます。あらかじめご了承下さい。

『フォールガイ』はハリウッド映画の王道を行く

2023年『バービー』と『オッペンハイマー』で全米サマーシーズンを席巻した二大スター、ライアン・ゴズリングとエミリー・ブラントが共演する『フォールガイ』は一転、2024年前半の記録的な不入りを象徴する1本となってしまった。なるほど、今夏のヒット作を見渡せば9年ぶりの続編ながら独創性に曇りがない『インサイド・ヘッド2』や、新進スターが輝いた『ツイスターズ』、サプライズヒットのホラー『LONGLEGS』など、観客は期待を超えた新鮮な映画を求めていることがよくわかる。しかし、ハリウッドが伝統的に供給してきたスター映画のチャームは、ポップコーン片手に2時間を過ごす娯楽の1つとしてなんとも代え難いものだ。

ゴズリングが演じるコルト・シーバースはハリウッド映画のスタントマン。トップ俳優トム・ライダーの専属として危険なアクションをこなしている。彼はカメラオペレーターの恋人ジュディ(エミリー・ブラント)が見守る中、撮影中の事故によって身体と自尊心に傷を負い、ハリウッドを立ち去ってしまう。それから18ヶ月後、ジュディの監督デビュー作でライダーが失踪。コルトは彼女の危機を救うべく、消えたスターの行方を追う。

左からコルト・シーバース(ライアン・ゴズリング)、ジョディ・モレノ(エミリー・ブラント)
消えたスターのトム・ライダー(アーロン・テイラー=ジョンソン)
映画『フォールガイ』本予告

アクションスタントに光を

デヴィッド・リーチ監督はアクションシークエンスほどコメディの間合いもテンポも熟知はしていない様子だが、オールマイティなフィルモグラフィーを誇るゴズリングとブラントは実に楽しげだ。ジュディがスタッフ全員の前でコルトをこき下ろすシーンではブラントのセンスが光る。キャリア初期はコメディが不得手に見えたゴズリングも今や自分を笑う余裕があり、コルトを愛すべき人物に仕立て上げている。

なにより『フォールガイ』はスタントマンへ捧げられた讃歌が清々しい映画だ。近年、ハリウッドでは『アカデミー賞』に「スタント賞」の設立を求める声が上がっている。オスカー前哨戦である『全米映画俳優組合賞』にはアクションスタントを対象とした「スタントアンサンブル賞」が存在するなど、ハリウッドは映画製作と切っても切れないスタントマンに一定の評価を与えてきたが、未だオスカーの晴れ舞台で表彰する機会がないのだ。2024年3月に行われた『第96回アカデミー賞』の授賞式ではゴズリングとブラントが登壇し、スタントマンをトリビュートする「ロビー活動」も行われた。

RECOMMEND

NiEW’S PLAYLIST

編集部がオススメする音楽を随時更新中🆕

時代の機微に反応し、新しい選択肢を提示してくれるアーティストを紹介するプレイリスト「NiEW Best Music」。

有名無名やジャンル、国境を問わず、NiEW編集部がオススメする音楽を随時更新しています。

EVENTS