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Jamie xxインタビュー MTVや両親の影響を受けた幼少期、30歳以降の変化

2024.10.2

#MUSIC

自身のルーツについて。MTVで知ったクラブクラシック、両親から影響を受けたジャズやソウル

ー私は今作を聴いて、2000年前後の、パーティーが世界的に熱かった時代を思い出しました。その頃あなたはまだ10代前半でクラブに行くことができなかったと思います。どのようにダンスミュージックを発見したのですか? ダンスミュージックにハマる以前はどんな音楽を聴いていましたか?

Jamie xx:あの時代は本当に素晴らしかったですよね。アーマンド・ヴァン・ヘルデンやThe Avalanchesなど、2000年代初頭のクラブクラシックは今聴いても最高だと思う。ただ僕はその頃10歳か11歳だったから、MTVでそれを見ているだけでした。当時僕はテンポが遅めのサンプリング中心の音楽を作っていたんだけど、クラブに行くことができなかったから、クラブシーンの現場を知ることはできなかった。16歳になってようやくパーティーやレイブに行き始めて自分の音楽がフロア向けに変わったんです。

『In Waves』収録曲

ーはじめて行ったパーティーのことを覚えてますか? その頃、DJやミュージシャンであなたのヒーローは誰でしたか?

Jamie xx:2006年頃はダブステップやグライム、UKガラージなど新しいサウンドがロンドンを中心に展開していました。僕は南ロンドンに住んでいたから、そういったシーンが自分にとっても身近で特別なものと感じていたんです。当時はSkreamやKode9を見にダブステップのイベントに行ったり、MALAが主催していたブリクストンのDIGITAL MYSTIKZのパーティーやプラスティックピープル(※)に通っていました。

※プラスティックピープル(Plastic People):ロンドンのショーディッチにあった伝説のクラブ。2000年代中旬のダブステップが大きなムーブメントになった時に中心となった。2015年に閉店。

ー思い出に残ってるパーティーはどんなパーティーですか?

Jamie xx:プラスティックピープルはいつ行っても最高でした。誰がプレイしているのか分からなくても、サウンドの素晴らしさを体感できる夢のようなクラブだったんです。真っ暗な中でフロアの角に隠れて音楽を楽しむことができて、社交的な要素よりも音楽そのものがパーティーの中心にありました。

ーダンスミュージックにハマる前に、情熱を持っていた他の音楽のスタイルやジャンルはありますか?また、今でも家で聴いている音楽はありますか?

Jamie xx:ジャズやソウル、フォークミュージックですね。今でもよく家で聴いています。

ージャズを聴くようになったきっかけは両親の影響ですか? それとも友人など、他の要因がありましたか?

Jamie xx:両親の影響です。家には多くのジャズやソウル、フォークミュージックのレコードがあって、僕の両親はいつも音楽を聴いていました。両親は若い頃にメンフィスに行ったり、イギリスのフォークフェスティバルに参加していたんです。1970年代、1980年代にリアルタイムでそういう音楽を聴けたのは素晴らしいことだったのではないでしょうか。

ー“Baddy On The Floor”からはパーティーで生まれたコミュニティーの絆のようなものを感じました。それは私も過去に体験した感覚でした。“Baddy On The Floor”を共作したハニー・ディジョンとの出会いや一緒に曲を作ることになったきっかけなどについて教えてもらえますか?

Jamie xx:彼女とはスペインのビルバオで出会いました。僕がグッゲンハイム美術館で主催したパーティーで彼女がプレイしてくれて、パーティーの後に彼女と色々話したりして、その時に親しくなったんです。その後ロックダウン中に彼女から連絡があって、アルバム制作を手伝ってほしいと言われました。ちょうど僕もアルバムを作っている最中だったから、別のプロジェクトに取り組むことで気分転換もできて。結果的に“Baddy On The Floor”という素晴らしい曲が生まれたんです。

『In Waves』収録曲

ーあなたの作品からは私が夢中になった1990年代のクラッシックと呼ばれる数々の名曲を感じることがあります。どの曲もいまのサウンドにアップデートされていてとてもクールだと思いました。あなた自身は過去のダンスシーンの何かを受け継いでいると感じますか?

Jamie xx:ダンスミュージックが好きな人にとって、過去の影響を受けるのはごく自然なことだと思います。いつの時代も若い世代が10年前の要素を取り入れて新しいものを作り出している。そういう進化を永遠と続けているけど、それと同時に自己というものが反映されてくる。それがダンスミュージックの素晴らしいところだと思います。ノスタルジックであると同時に全く新しいものでもあるんです。

『In Waves』収録曲

ー音楽を作り始めた頃と比べて、今の自分にとって「音楽」とはどういう存在になっていますか?時間と共にあなたの音楽へのアプローチはどのように変わりましたか?

Jamie xx:最近はまた子どもの頃に戻ったような感覚があります。20代の頃はツアーが忙しくて、目まぐるしい毎日で。それはそれで最高だったんだけど、音楽を作る理由、つまり純粋な創作の楽しさを少し見失っていたような気がするんです。

でも30代に入ってからこの5年、またその楽しさを大切にするようになりました。この音楽活動に付随するクレイジーなことはたくさんあるけど、そういうことはなるべく無視するようにしてるんです。

Photo by Alasdair McLellan

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