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「肌蹴る光線」の井戸沼紀美は、上映機会が少ない魅力的な映画を見つけて紹介していく

2025.6.2

#MOVIE

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5月13日はアートディレクターの野中愛さんからの紹介で、映画の上映と執筆活動を軸に活動するプロジェクト「肌蹴る光線」主催の井戸沼紀美さんが登場。プロジェクト名の由来のほか、映画にのめり込むきっかけになったジョナス・メカス監督作品との出会いや、おすすめの映画などについて伺いました。

上映機会が少なくても、魅力的な映画に光を当てる

Celeina(MC):井戸沼さんが主催されている「肌蹴る光線」とは、どんなプロジェクトなんですか?

井戸沼:このプロジェクトは、2018年に私が始めた企画です。上映機会が少ないけれどすごく魅力的な映画がいっぱいあるので、それを見つけて上映をしたり、あとは映画にまつわるエッセイを書いたりしています。

タカノ(MC):素晴らしいですね。「肌蹴る光線」という名前には、何か意味があるんですか?

井戸沼:抽象的なんですけれど、すごく良い映画を見たときに、映画館のシートに張り付いてしまうような気持ちになることがあって。その感覚をどうにか言語化できないか、ということで考えた名前です。

Celeina:映画から出てくるビームでギュッと肌を蹴られて、衝撃とパワーを受けるような感じですよね。

タカノ:井戸沼さんは、この番組がコラボしているカルチャーメディア「NiEW」でもライターを務められているんですよね。「NiEW」ではどんな記事を書かれているんですか?

井戸沼:「NiEW」では、映画監督の方にインタビューさせていただくことが多いです。例えば、映画『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』の監督の金子由里奈さんにお話を伺った、『『ぬいしゃべ』金子由里奈監督インタビュー 加害性とやさしさのはざまから』という記事を担当したりしました。ほかにも、私がすごく信頼している日本の映画作家の方がいっぱいいるんですけど、そういった監督さんにもお話を伺って、記事にしています。

Celeina:先ほど、「肌蹴る光線」のプロジェクトの一環として上映会も行っているというお話がありましたが、これはどのような形で開催されているんですか?

井戸沼:2020年までの2年間は季節に1回、東京の映画館さんと京都の本屋さんに協力してもらって、私がすごく好きな映画を1作ずつ紹介させてもらっていました。その後は、不定期で特集上映を組ませていただいています。

Celeina:力の入ったプロジェクトですね。劇場を貸し切るとなると、結構大変なんじゃないですか?

井戸沼:私もあまりイメージができなかったんですが、快く協力してくださる劇場さんもいらっしゃって。そこで、こぢんまりとした上映会を開催していました。

タカノ:その会では、どんな作品を上映されていたんですか? やっぱり、どこでも見られるものとは違うラインナップを組まれていたんでしょうか。

井戸沼:そうですね。配給会社さんが何かしらの理由でまだ上映していない作品でも、観てみるとすごく独特な詩情を感じる、惹きつけられる映画がいっぱいあるので、国内外の作家さんやセールスの方と交渉して、そういった映画を上映できるようにしていました。

映画にのめり込むきっかけは、ジョナス・メカス監督との出会い

タカノ:井戸沼さんは、いつ頃から映画にのめり込んでいたんですか?

井戸沼:大学生のときですね。それまでは全然映画を見たことがなかったんですけれど、一気にのめり込んでいきました。

タカノ:何か、きっかけになった作品などはあったんですか?

井戸沼:ジョナス・メカス監督の『ウォールデン』(原題:WALDEN)という作品です。内容は普通の起承転結がある映画とは違って、身の回りのお友達や家族、町並みを写した、Instagramのストーリーズに載っていそうなくらい日常的な風景なんですけれど、リズムや色が本当に美しくて。それを観たときにすごく衝撃を受けて、それをきっかけに映画にのめり込んでいく感覚がありました。

タカノ:面白いですね! 俳優さんとかではなく、周りの方々を映した作品ということですか?

井戸沼:そうなんですが、中にはメカスさんと交流があったアンディ・ウォーホルやオノ・ヨーコ、ジョン・レノンなどが登場していたりもするので、そういう部分にも面白さを感じました。

Celeina:そうすると、結構古い年代の作品なんですか?

井戸沼:そうですね。私が最初に観た『ウォールデン』は1969年の作品で、昔のものなんですけど、それで一気に映画好きになりました。

タカノ:そのジョナス・メカス監督の作品も、上映会で上映されたんですよね。

井戸沼:はい。上映させてもらいました。

Celeina:その上映会は、どういった経緯で開催されたんでしょうか。ご自身で観られて、これは素晴らしい作品だ、もっと広めたいという流れになったんですか?

井戸沼:最初に『ウォールデン』を観たとき、「この監督のもっといろんな作品を観たい」と思ったのですが、当時はすぐに観られる作品があまりなかったんです。それで、メカスさんのホームページからご本人に直接メールして、「もっと観たいのですが、どうしたらいいでしょう」と聞いてみたんですよ。そうしたら、監督は当時92歳とかだったんですけど、連絡してから30分ぐらいで「この人に連絡してみな」と返信をくれて。

Celeina:すごいですね!

タカノ:日本に住んでいてその作品を持っている方を、監督ご本人が紹介してくれたってことですよね。

井戸沼:そうなんですよ。本当に運が良くて、奇跡みたいな感じで映画を上映させてもらえることになったんです。

Celeina:初めて上映会をされたときは、どんな方々が集まったんですか?

井戸沼:最初の上映会には、まだメカスさんの作品を観たことがない、私と同世代ぐらいの方々がたくさん来てくださいました。だんだんメカス監督について知っていくと、上の世代でもすごく大好きな方がいたり、私より若い方でももっと観たいという方がいたりすることが分かって。幅広い世代の方に好かれている監督なんです。

タカノ:僕も観てみたいですね。ぜひ、また上映会をお願いします!

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