グータッチでつなぐ友達の輪! ラジオ番組『GRAND MARQUEE』のコーナー「FIST BUMP」は、東京で生きる、東京を楽しむ人たちがリレー形式で登場します。
3月31日は、番組からの推薦で、元本田技術研究所のデザイナーで、「pdc_designworks」代表のやまざきたかゆきさんが登場。やまざきさんが考えるHondaイズムや、自身が手がけたTAMIYAのミニ四駆のデザインなどについて伺いました。
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HondaでApeとZOOMERのデザインに関わった
タカノ(MC):今日はHonda Welcome Plaza AOYAMAから生放送でお送りしております。やまざきさんにとっても馴染みがあったり、思い出があるんじゃないですか?
やまざき:思い出というか聖地ですね。本社と研究所って場所が分かれていて、僕は研究所の人間なので、本社に行く時って、大概何かをやらかして怒られに行くことが多かったんです。Hondaで働いていた時から顔面ピアスだったので、怒られながら働いていたんですが、まずは入り口で警備員さんにすごく止められるんですよ。毎回、社員証を見せて「社員です」と説明していました。
Celeina(MC):じゃあ何となく背筋が伸びてしまうような感覚がありますか?
やまざき:当時は、姿勢を良くして、綺麗な作業服を着ていくようにしていました。
タカノ:ラジオで聞いている方に説明すると、やまざきさんはグリーンカラーのヘアをされていてすごく素敵なんです。
Celeina:お似合いです。
やまざき:「緑頭のハイパーデザイナー」という感じで、わかりやすいトレードマークになるようにこの髪色にしています。1度見たら忘れない感じでやらせてもらっています。
タカノ:そんなやまざきさんをお迎えしておりますけれども、今まで本田技術研究所のデザイナーとしてどんなデザインをされてきたんでしょうか?
やまざき:どれもチームでデザインをするので自分1人でやるということはないんですけど、量産機種がいっぱいある中で1番思い出深いのは、ApeとZOOMERですね。お客さんの中でApeとZOOMERを知っている方っていらっしゃいますか?
タカノ:(客席で手が挙がる)結構いますよね!
やまざき:800人くらいいらっしゃいますね。
Celeina:盛りすぎですね(笑)。
タカノ:ApeもZOOMERも、どちらもクールさの中にキュートさがあって、遊び心のあるデザインですよね。


やまざき:そうですね。僕自身、かわいいものが好きなんです。とはいえ、オートバイをかわいいくしすぎるのも少し違うというか。工業デザインのかっこよさというのは無条件にしびれるところがあるので、かわいさとメカのかっこよさを組み合わせると、比較的ああなりがちなんですよね。
タカノ:なるほど。ZOOMERはストリートでイケてる人が乗っているイメージがあります。
やまざき:本当にそこだけを狙っていますね。
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間違いのない製品だけでなく、暴投のようなユニークな製品も出すのがHondaらしさ
タカノ:バイクのデザインは、どこから始めるものなんですか?
やまざき:人とかメーカーによっていろいろあるんですけれども、僕の場合は、例えば「50ccの原付バイクを作る」という企画が下りてきたら、どういう人がどういう場所で使うか、というところから考えます。あと1番大事にしているのは、それをどうドヤってくれるかですね。新しいものを買ったら「ちょっと見てこの時計!」なんて言って自慢したくなるじゃないですか。そういうシチュエーションを思い浮かべて漫画を描くんです。
タカノ:漫画を描くんですか!
やまざき:ZOOMERの場合は、原宿のイケてる美容師さんが店に乗っていくのに使うバイク、と想定していました。当時駐輪ができたので、原宿にずらっと並んでいたらさぞかっこよかろう、と思い浮かべていましたね。
タカノ:めっちゃわかりやすいですし、イメージが湧きますね。
やまざき:スケボーとかを積んでいてもかっこいいだろう、みたいな。そういうのを思い浮かべながら、ふさわしいデザインはどんなものなんだろうと考えていきます。その上で、コストとか機能面とか安全性とかを考慮しつつ、最後の味付けでHondaらしさを入れていくという作り方をしていますね。
タカノ:そう考えると、本当にクリアしなきゃいけない条件がいっぱいある中で、デザインしているんですね。
やまざき:そうなんです。ApeやZOOMERは特に社内でも揉めに揉めたというか、ラブヘイトが強かったんです。ただ、ちょうどいいタイミングで、社内に「若者プロジェクト」というのがありまして、「若い子たちに任せようや」と言ってくれる上司が何人かいらっしゃったんです。当時僕は若かったんで、「若い子の言うことを聞け」みたいな感じで作りました。
タカノ:いい社風ですね。
やまざき:まさにHondaイズムですね。「やればいいじゃん」みたいな。
タカノ:先ほどからHondaの皆さんからリクエスト曲やメッセージをいただいているんですけども、すごく真剣に、純粋にもの作りや人に対して向き合っている方が多いなという印象があります。その辺りもHondaイズムを感じますね。
やまざき:そうですね。僕は本当にギリギリ会えなかったんですけど、本田宗一郎に会って、しこたま怒られたり褒められたりしたかったなと思います。
Celeina:先ほどデザインをするにあたってのお話で、「最後に加えるのがHondaらしさだ」というお話がありましたけれども、Hondaらしさはどういった部分にあるんですか?
やまざき:まず当然ですけれども、品質とか性能みたいなものは折り紙付きで、あと僕の中では2つあると思っています。お客さんもそう感じているのかもしれないんですけど、間違いのないものを作るということです。例えば、絶対に速い、絶対に便利、絶対に人の生活を豊かにするとか、そういうものを作る。ただその反面、たまに暴投というか、「なんでこれ出した」みたいな製品も作るというのが、Hondaらしさだと思います。僕は暴投側の製品を担当することが多かったんですけど(笑)。
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独立後、TAMIYAでミニ四駆のデザインなどを手掛ける
Celeina:やまざきさん目線のHondaらしさについて伺いましたけれども、2012年に独立されていらっしゃいますよね。カーデザインだけでなく、ミニ四駆やラジコンカー、さらにはファッションにコンサルタントまで幅広く活動されています。
タカノ:今日はやまざきさんがデザインされたものをお持ちいただいているんですよね。
やまざき:TAMIYAで作っている最新型のミニ四駆を持ってきました。「クロススピアー」という製品で、1,000円ちょっとで買えますのでみなさんぜひよかったら。

タカノ:(会場で拍手が起こる)みなさん拍手ありがとうございます。
やまざき:ラジコンにもなった「デュアルリッジ」というミニ四駆も1,000円ちょっとで買えますので、ぜひお願いします。
Celeina:デザインのポイントなどはありますか?
やまざき:TAMIYAさんはHondaくらい好きで、僕の憧れの推し会社だったんですね。ミニ四駆はフレームといって中に骨格があって、その上にボディーが乗っかっている構造になっています。そこのフレームの部分、要はTAMIYAの設計者のマインドを生かしつつ、とにかく速く勝てるというところと、そして低く、軽く、というのを追求してずっと作っていました。だから、もしかしたらHondaの時よりも真面目にデザインしたかもしれないです。
Celeina:そうなんですね(笑)。ありがとうございます。そして最後に、今日のテーマが「ありがとうを伝えたい○○」ということなんですけれども、やまざきさんがありがとうを伝えたいと思う方はいらっしゃいますか?
やまざき:当然産んでくれた親とか、周りにいてくれる方々に対して日々ありがとうと思っているんですが、今こうやってフリーで好きなことを仕事にさせてもらっているのは、やっぱりHondaがあるからだと思っています。
僕はHondaの中で本当に大騒ぎしてめちゃくちゃ怒られたり、少し褒められたりしていました。ずっと役職がつかないまま20年近くいるという、ハイパー平社員みたいな、珍しい異端児のような存在としてやらせてもらっていたんです。でもそれでもクビにならなかったので、そういう風に働かせてくれたHondaという会社と、企業の風土に本当にありがとうと言いたいですね。元Hondaの一員として、今日来てくださっているHondaファンの皆さんにも、本当にありがとうと伝えたいです。
Celeina:素敵なメッセージをありがとうございます。やまざきさんのInstagramには、これまで手掛けてきたお仕事についても投稿されているので、ぜひチェックしてみてください。さあ、「FIST BUMP」はグータッチで繋ぐ友達の輪ということで、お友達をご紹介していただいています。どんな方をご紹介していただけますか?
やまざき:ラジオだから伝わらないと思うんですけど、僕も相当変な感じの人なんですが、もっと変な感じの方をご紹介します。 出張してその場でアーティストっぽい料理を作る、出張料理人で現代美食家のソウダルアさんをご紹介したいと思います。とても面白い話をバンバン話してくれると思います。
タカノ:すごくハードルをあげましたね(笑)。
Celeina:明日も楽しみです。「FIST BUMP」、本日は「pdc_designworks」代表のやまざきたかゆきさんをお迎えしました。ありがとうございました。

GRAND MARQUEE

J-WAVE (81.3FM) Mon-Thu 16:00 – 18:50
ナビゲーター:タカノシンヤ、Celeina Ann