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文筆家のリー・アンダーツは自分の経験から、悩みを吐き出せる場を作った

2024.10.10

#BOOK

グータッチでつなぐ友達の輪! ラジオ番組『GRAND MARQUEE』のコーナー「FIST BUMP」は、東京で生きる、東京を楽しむ人たちがリレー形式で登場します。

8月8日は、漫画家 / 随筆家の小指さんの紹介で、文筆家のリー・アンダーツさんが登場。エッセイ『母がゼロになるまで 介護ではなく手助けをした2年間のはなし』の執筆秘話や、悩みを打ち明ける場所作りの活動「オルタナティブ福祉」に込めた思いについて伺いました。

壮絶な2年間を綴ったエッセイ『母がゼロになるまで 介護ではなく手助けをした2年間のはなし』

Celeina(MC):リーさんは、2023年にセルフネグレクトに陥ったお母親との2年間にわたる生活の様子を描いたエッセイ『母がゼロになるまで 介護ではなく手助けをした2年間のはなし』を出版されています。こちらのエッセイの装丁を担当されたのが、昨日ご出演いただいた小指さんなんですよね?

リー:そうです、このお仕事で小指さんとは初めてお会いしたんですけど、前世からの友達や親戚と言われるくらいの空気感だったんです。小指さんは一緒にいてすごく楽な方ですね。

タカノ(MC):『母がゼロになるまで 介護ではなく手助けをした2年間のはなし』はもともとnoteでの連載だったとお聞きしています。

リー:半年ほど連載を続けていたら河出書房新社の方から連絡をいただいて、率直なところ「本当にこんなことがあるんや」って思いました。もちろんnoteで発信していくことも大切だと思っていましたが、やっぱり書籍になると大きな声になるじゃないですか。なので、喜んで書籍化していただきました。

タカノ:『母がゼロになるまで 介護ではなく手助けをした2年間のはなし』ではお母さまとの壮絶な体験が綴られており、グイグイ引き込まれました。こちらは書籍化の際に、加筆修正をされたのでしょうか?

リー:全体の4割ほどを削って改稿し、6000文字ほどを書き足しています。執筆の際に、色々と思い出してしまって。同じ箇所で詰まったり、自分の文章で泣いたりすることもありましたね。

タカノ:ぜひ、皆さんも『母がゼロになるまで 介護ではなく手助けをした2年間のはなし』をチェックしてみてください。

悩みを打ち明ける場として生まれた「オルタナティブ福祉」

Celeina:現在リーさんは、ご自身の経験から「オルタナティブ福祉」という活動をされていると伺っています。こちらを始めたきっかけは?

リー:私が母と戦っていた時に、「なぜ母は公的な福祉のサービスを受けられるのに、大変な私には何もないんだろう」と思ったんですね。だから、本来はそういったケアを受けることができる団体を作れたらと思っていたんですが、時間がかかりすぎてしまう。今すぐにできることを考えていたら、友人が「どんどん書いて味方をつけて、広めていくべきなんじゃないの」と言ってくれたんです。

最初は「なんか違うな」と感じていたんですが、noteに書き始めたら当時の手帳に書き溜めていた自分の感情がどんどん思い起こされて、たくさん更新することができたんですよ。座談会や家族会は同じような悩みで集まった人が励まし合うものだと思うんですが、「オルタナティブ福祉」は解決の場ではないんです。かしこまってお話しするより、カフェや飲み屋で肩ひじ張らずに悩みを吐き出しませんか、という感じで。それぞれが抱えている悩みが全く違うから、思わぬ解決のヒントが出てくることもあって、面白いですね。

タカノ:「オルタナティブ福祉」はリーさんを中心としたプロジェクトのようなものなんですか? それともリーさんの活動?

リー:プロジェクトというよりは、「個人的福祉活動」と自分では言っています。

タカノ:誰でも相談が可能なんでしょうか。

リー:もちろんご参加いただけますし、メールで相談をいただくことも多くあります。noteや「オルタナティブ福祉」をきっかけに活動を始めたというお声をいただくと凄く嬉しいです。「オルタナティブ福祉」はミュージシャンを招いて、音楽で始めて音楽で終わるようにしていて。皆さんが話しやすい場にできたらと考えていますね。

Celeina:話し合いの中では具体的にどういった相談内容が出てくるのでしょうか。

リー:「ロマンス詐欺だと分かって結婚したんだけど、離婚ができなくてどうしましょう」という相談が印象に残っています。「かわいそうだから、騙されてあげてもいい」という気持ちで結婚したものの、「やっぱり違うな」と悩まれていたんです。

Celeina:どこにぶつけていいか分からない家族間の問題を話せるのは、力になりますよね。

タカノ:「福祉」というワードは介護のようなイメージを抱かれるかもしれないけど、本当に幅広く相談を受け付けていると感じました。

リー:そうですね、「恋人と上手くいっていない」という相談でも良いんですよ。色んな立場の人がいることで、思いがけない答えが導かれると思うので。

タカノ:人々の経験値を集合させているなと思います。

リー:話しにくいことも多いと思うんですけど、「私が最初に脱ぐから皆で脱ごうよ」みたいな感覚で。本を読んでくださっていても、読まれていなくても、私から話をすることで相手も話しやすくなると考えていますし、「私はまだマシだな」って思ってもらえたらなと。

Celeina:先陣を切って心を開いてくれるリーさんの存在がありがたい限りです。「オルタナティブ福祉」のイベントはリーさんのSNSからチェックしてみてください。今日は文筆家のリー・アンダーツさんをお迎えしました。ありがとうございました。

GRAND MARQUEE

J-WAVE (81.3FM) Mon-Thu 16:00 – 18:50
ナビゲーター:タカノシンヤ、Celeina Ann

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