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覆面作家の麻布競馬場は、『令和元年の人生ゲーム』でこの10年を振り返り時代を描いた

2024.9.18

#BOOK

グータッチでつなぐ友達の輪! ラジオ番組『GRAND MARQUEE』のコーナー「FIST BUMP」は、東京で生きる、東京を楽しむ人たちがリレー形式で登場します。

7月8日は、覆面作家の麻布競馬場さんが登場。第171回直木賞候補作である『令和元年の人生ゲーム』の執筆の裏側や、最近気になっているという南チロル料理について伺いました。

時代がプロットになった小説『令和元年の人生ゲーム』

タカノ(MC):実は麻競さんとお話するのは2回目なんですよ。『令和元年の人生ゲーム』読ませていただきましたが、面白い! 沼田というキャラクターが出てくるんですが、彼がいわゆる意識高い系の集まりをズバッと切っていく感じが鮮やかでした。

Celeina(MC):冒頭を読んだだけでは、沼田くんにスポットが当てられると思っていなくて。段々と沼田沼に入っていきましたね。

タカノ:皆さんもぜひ読んでいただきたいんですけれども、改めてあらすじをお願いします。

麻布:4部構成の連作短編なんですが、平成の終わりから令和の今日まで、いわゆる意識高い系やキラキラしたコミュニティを舞台にしながらも、キラキラしきれずに悩んでいる人たちのモヤモヤした気持ちを描いた作品です。

タカノ:アイロニカルな部分もありますし、いろいろな人が共感できる部分もありますよね。

麻布:何をモデルにしているのか、分かる人も多いのかなと。

Celeina:人から評価されたいという思いやキラキラしていても感じてしまう寂しさを、いつの時代に生まれた人でも抱えているんじゃないかなと、この本を読んで思いました。

麻布:帯には「Z世代の取扱説明書」と書いてみたんですが、全世代共通の話になっている気がします。

タカノ:小説の着想は何だったんですか?

麻布:この10年をきちんと振り返り、時代を書きたいと思って話を考え始めました。僕は大学時代から社交的な性格で、あらゆる飲み会に顔を出していたんですね。そのおかげで、ビジネスに精通している人からカルチャーを重視している人までいろいろな人の話を聞いたんです。それが根っこにあるので、今回の小説も実際に友達から聞いた話がもとになっています。

Celeina:インプット量が相当ないと書けない話だと感じています。

麻布:今回(第171回)直木賞候補の中で唯一自信があるポイントは、人に会ってきた回数なんです。いろいろな場所を目撃してきたなって。

Celeina:私ばかりがお店の予約を取って、友達は予約を取ってくれない不平等な状態をどうにかしたいという描写があるんですけど、そのエピソードにびっくりしました。こんなにリアルに描写できるんだなと。

麻布:心の中の女子が囁いたんですよ。ちなみに予約はするタイプですか?

Celeina:以前友達から「いつも私ばっかり予約を取っているよね」と言われたことがあって。その一言があったからこそ、このエピソードも刺さりましたし、ちょっと怖くもなりました。

タカノ:『令和元年の人生ゲーム』はもともと連載だったんですよね。

麻布:『別冊文藝春秋』で1年間連載したものがベースになっています。

タカノ:執筆を始められた時から、全体像は設計されていたのでしょうか?

麻布:とにかく平成の終わりから令和の今日までを書くとだけ決めていました。時代を書こうとすると時代がプロットになるので、結果としてそこに助けてもらったなと。時代の空気をとにかく書きたかったんです。

タカノ:単行本化するにあたって、変更した部分はありますか?

麻布:実はあまり変えていなくて、ただ良い結末になったと思っています。愛すべき沼田くんがどこへ行くのか見届けて欲しいです。

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