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『ファンタスティック4』知れば新作映画をより楽しめる、原作の歴史とトリビア

2025.7.25

#MOVIE

コミック、アニメ、映画と、拡張を続けるマーベルユニバース。その原点にして、最も重要な「家族」がファンタスティック4だ。

『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』の公開を前に、「ファーストファミリー」と呼ばれる彼らの歴史やトリビアを、アメコミトークライブ『しゃべんじゃーず』主催・アメコミ侍の柳生玄十郎が解説する。

1961年に初登場した、マーベル初のヒーローチーム

1940年まで、アメコミのヒーローは単独で活躍するのが当たり前だった。同年DCコミックスから発行された『All Star Comics #3』に、世界初のヒーローチーム「ジャスティス・ソサエティ・オブ・アメリカ」が登場し、その爆発的な人気は1960年刊行の『The Brave and the Bold #28』における「ジャスティス・リーグ・オブ・アメリカ」の誕生へとつながっていく。当時、DCコミックスはまさに人気の絶頂を迎えていた。

そんなDCの快進撃を横目にしていたのが、マーベルコミックスの生みの親、スタン・リーだった。ライバル社の大ヒットに刺激を受け、「目には目を、ヒーローチームにはヒーローチームを!」とばかりに放った一手が、「ジャスティス・リーグ・オブ・アメリカ」登場から1年後となる1961年に発行された『Fantastic Four #1』だ。 ファンタスティック4は、こうした経緯から、1963年のアベンジャーズに先んじること2年、マーベル初のヒーローチームとして世界に登場した。婚約者、姉弟、親友という血縁と友情で結ばれた、寄せ集めではない超能力者4人のチームは、やがて「ファーストファミリー」と呼ばれる事となった。

ファンタスティック4はいかにして誕生したか

硬い絆で結ばれたファンタスティック4。彼らはどうやって超能力を得たのか。まずは、原作のストーリーを紹介しよう。 マーベルユニバース最高峰の天才的頭脳を持つ、ミスター・ファンタスティックことリード・リチャーズ。彼は科学者であり発明家でもある。そんな彼が設計したのが、宇宙探査船「マーベル-1」。軍と政府の協力のもと建造されるも、なかなか発射許可が下りず、リードはもどかしい日々を過ごしていた。そんなある日、太陽フレアによる宇宙線の爆発が起こることを知ったリードは、科学者としての好奇心を抑えきれず、「今日こそが絶好のチャンスだ」と無許可での打ち上げを決意する。

リード・リチャーズを演じるのはドラマ『マンダロリアン』や『THE LAST OF US』のペドロ・パスカル

この無謀な計画に賛同したのは、リードの大学時代のルームメイトであり宇宙飛行士を目指しているベン・グリム。リードに想いを寄せる分析官スーザン・ストーム。「姉さんだけでは心配だ」と勢いで着いてきたスーザンの弟ジョニー・ストームの4人。彼らは、発射場に忍び込み、無許可でロケットを打ち上げる。しかしその飛行中、観測されていた量をはるかに超える宇宙線を浴びたことで、彼らの身体は分子レベルで変異を起こしてしまう。

スーザン・ストームを演じるのは『ミッション:インポッシブル』シリーズでホワイト・ウィドウを演じたヴァネッサ・カービー

最初に変化が現れたのは、スーザン・ストーム。本人は気づかなかったが、「スーザン! 身体が消えてる!」という声に驚き、自らが周囲の空気を操り、透明化できる能力を得たことを知る。続いて変化したのはベン・グリム。全身の皮膚が岩のような物質に変化した彼は、同時にとてつもない怪力を手に入れる。混乱して暴れるベンを止めるべく、次に能力を発揮したのがリード・リチャーズ。全身をゴムのように伸ばし、ベンをぐるぐる巻きに縛った。彼は伸縮自在の肉体を手に入れたのだ。そして、最後にジョニー・ストーム。目立ちたがり屋で情熱的な彼は、突然全身が炎に包まれ、空を飛ぶ能力を発揮する。

ザ・シングを演じるのはマーベルのドラマ『パニッシャー』にもマイクロ役で出演していたエボン・モス=バクラック

こうして得た能力から、彼らはそれぞれヒーローとしての名前を名乗る。スーザンは、「透明になれる少女」インビジブル・ガール。スーザンに密かな想いを寄せていたベンは、彼女に言われた言葉を借りてザ・シング。コミックファンだったジョニーはマーベルコミックスに登場した最初の超人から名前を取ってヒューマン・トーチ。そしてリードは、「運命に素晴らしい力を与えられた者」としてミスター・ファンタスティックを名乗る。

4人はその能力を人々のために使うことを誓い合い、手を重ねて宣言する。こうして、ファンタスティック4は結成された。

ジョニー・ストームを演じるのは『ストレンジャー・シングズ』シリーズのエディ役で知られるジョセフ・クイン

ファンタスティックな秘密 その1:新発見しすぎ

ここからは、ファンタスティック4の世界をより楽しむための原作トリビアを4つご紹介しよう。

まず、ファンタスティック4のリーダーであるリード・リチャーズは、マーベル屈指の天才科学者であるトニー・スタークやハンク・ピムらも認める知能の持ち主である。彼はその頭脳から人間には感知できない領域を幾つも発見し、過去や未来、マルチバースを幾度も渡り歩き、マーベルユニバースではお馴染みとなっている様々な新発見をしている。

例を挙げると、スクラル人、アトランティス、ワカンダ、アティラン(インヒューマンズの国)、地底王国サブテラニア、ギャラクタス、ウォッチャー、アダム・ウォーロック、ラマ・タト(征服者カーンのオリジナル)、ネガティヴ・ゾーンなどなど。これらは全てファンタスティック4のコミックで初めて登場したものである。

一方、彼はマーベルユニバース最大の功労者であるとともに、新発見の際には、必ず大小様々な事件を持ち帰るマーベルユニバース最大のトラブルメーカーであるという点も忘れてはならない。マーベルユニバースにおける全てのトラブルの元凶は、彼が見つけてきたと言っても過言ではない。

ファンタスティックな秘密 その2:お金がない

彼らが1番恐れているのは宿敵でも宇宙の脅威でもない。とにかく、いつも困っているのは、その懐事情だ。

ファンタスティック4の拠点であり住居でもあるのが、軍から与えられたマンハッタン42番街にあるバクスタービルディングだ。元々は製紙会社のビルを改築したものだが、とんでもない金銭感覚の持ち主であるリードが研究費に湯水のごとく資金を注ぎ込み、ついにはビルを売却。基地をまさかの賃貸で借りなければならない状態になってしまった。

ある日、スパイダーマンがヒーロー活動で稼げると思い込み、彼らの仲間に入れてもらいに来たが、ファンタスティック4の収入源はスーザンの並外れたプロモーション手腕によるもので、人助けそのもので稼げるわけではないと知るや否や、スパイダーマンは怒って去っていった。ファンタスティック4は、こうした金銭にまつわるエピソードにも事欠かない。

ファンタスティックな秘密 その3:子供達が宇宙最強

リードとスーザンの長男、フランクリン・リチャーズは、新しいユニバースを生成できるという、全宇宙で最強のパワーを持つミュータントだ。また妹のヴァレリア・リチャーズは、父親のリードよりも頭が良く、銀河レベルの謎を幼稚園に入る前に解き明かしてしまうほどの天才。そんな才能溢れる子供たちのためにリードは、他の次元や他の種族の優秀な才能を持った少年少女を集めて、未来の担い手として保護しその才能を伸ばすべく「フューチャー・ファウンデーション」という財団を立ち上げている。

ファンタスティックな秘密 その4:運命の実写化

ファンタスティック4はすでに何度か映画化されているが、そのタイミングに注目したい。2005年にヨアン・グリフィスとジェシカ・アルパ主演、ティム・ストーリー監督による『ファンタスティック4』が公開され、その後2015年にはジョシュ・トランク監督によるリブート版が公開。そして今回のMCU『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』が公開されるのは2025年だ。……お分かりの通り、ファンタスティック4は10年ごとにリブートされる運命にあるのだ(おそらく完全に偶然である)。

原作ファンが期待する2つの要素

最後に今回の映画で、原作ファンである筆者が楽しみにしている2つのポイントを紹介しておこう。 まず、アメコミファンなら誰もがその名を知る最強キャラの1人、ギャラクタスの登場が予定されていることだ。アニメやゲームでたびたびラスボスとして君臨する、「星を捕食する宇宙魔神」ギャラクタスの登場は、ファン達の長年の夢だった。

ギャラクタスは惑星のエネルギーを食べる巨人。宇宙の法則を司る神とも呼べる存在「コズミック・ビーイング」の1人。

というのも、2005年の映画に登場したギャラクタスは、その実写化の困難さからから、巨大な雲のような存在として描かれており、ファンをがっかりさせたのだ。それが今回、コミックのビジュアルそのままでスクリーンに現れる。

銀河のバランスを取るために生み出された存在だが、地球だけは何度も食べに来ては失敗しているギャラクタス。唯一「食べる事ができない星」地球は、今回はギャラクタスを如何にして撃退するのだろうか。あるいは、撃退することができないのだろうか。楽しみなポイントである。

ギャラクタスの使者として地球に降り立つシルバーサーファー

もう1つがH.E.R.B.I.E.の存在だ。ギャラクタスを探し出すためにリードに作られた、正式名称Humanoid Experimental Robot B-Type Integrated Electronics(人型実験ロボットB型統合電子機器)略してH.E.R.B.I.E.は、リードの優秀なアシスタントであり、彼らの家政婦であり、子供たちの遊び相手であり、欠かせない大切なファーストファミリーの一員である。

元々は1978年に放送されたアニメ『New Fantastic Four』で登場したアニメ用のキャラクターだったが、その誕生の背景には、当時、ヒューマン・トーチが他の会社の作品で使われていたため、権利の都合で使用できなかったという事情がある。代役として、ジャック・カービーとスタン・リーというアメコミレジェンドの2人によって新たに生み出されたのが、H.E.R.B.I.E.だったのだ。

チームのミッションをサポートする高性能ロボットH.E.R.B.I.E.

そのため、コミック『Fantastic Four #209』に登場した際には、ザ・シングに「冗談じゃない! それはアニメのキャラクターじゃないか!」と罵られ、ヒューマン・トーチは「それを作るのだけは反対だ! 俺を入れ替えるつもりか!」と反対し、リードが「契約した時その場に君がいなかっただけだ!」と反論するという、メタな会話も飛び交った。2005年の映画化では、物置に置いてあるシーンは撮影されたものの、カットされ、ディレクターズカット版にのみ登場という不遇な扱いだった。

そんなH.E.R.B.I.E.も、キュートな見た目、仕草、優秀な計算能力から、今ではコミックシリーズのマスコット的存在となり、最新刊では彼が主役として活躍するストーリーも収められている。コミックファンにとって、H.E.R.B.I.E.の実写化はとても嬉しい出来事だ。スクリーンでもH.E.R.B.I.E.の予想以上の活躍に期待したい。

『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』

監督:マット・シャクマン(『ワンダヴィジョン』)
キャスト:ペドロ・パスカル(『マンダロリアン』、『キングスマン:ゴールデン・サークル』)、ヴァネッサ・カービー(「ミッション:インポッシブル」シリーズ、『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』)、ジョセフ・クイン(『ストレンジャー・シングス 未知の世界』、『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』)、エボン・モス=バクラック(『パニッシャー』、『一流シェフのファミリーレストラン』)

2025年7月25日(金)日米同時公開!
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
公式ホームページ:https://marvel.disney.co.jp/movie/fantastic4

© 2025 20th Century Studios / © and ™ 2025 MARVEL.

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