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松山ケンイチはなぜ変わったのか。人生を見直した先に、オルタナティブな俳優道があった

2023.6.21

#MOVIE

映画『ロストケア』(前田哲監督 / 2023年3月)の主演に続き、同監督の時代劇エンターテイメント映画『大名倒産』にも出演するなど、近年役者としての振り幅はもちろん、さらに軽やかさを増しているように思える俳優・松山ケンイチ。

その背景には、数年前からスタートさせた、東京と田舎を行き来する二拠点生活をはじめ、自らの「時間の使い方」を意識的に変化させたことがあると本人は言う。

念願だったという農作業はもちろん、昨年の初めに妻・小雪と立ち上げたアップサイクルプロジェクト「momiji」での活動など、俳優業以外の活動を通じて、さまざまなことに向き合ってきた松山ケンイチのオルタナティブな俳優道、さらにはその人生観について尋ねた。

『大名倒産』と『ロストケア』、全く異なる2作に通底する「人を活かすこと」、人々の救い方

―社会派サスペンス映画『ロストケア』の介護士役の記憶も新しいなか、同じ前田哲監督による時代劇エンターテイメント映画『大名倒産』が公開されますが、そのなかでも松山さん演じる新次郎のはっちゃけぶりには、驚かされました。

松山:そうですよね。今回の作品は、前田監督が「(2022年の)9月に撮影があるんだけど、出てくれないかな?」と言ってくださって。そのとき「こういう映画なんだけど」って説明してくださったんですけど、「『ロストケア』とはまた全然違うなあ……」と思いましたね。

松山ケンイチ
1985年3月5日生まれ。青森県出身。2001年「New style audition」でグランプリを獲得し、モデルとして活動開始。2002年俳優デビュー。2006年『デスノート』でブレイク。その後、映画『ノルウェイの森』『聖の青春』『BLUE/ブルー』『川っぺりムコリッタ』『ロストケア』などで主演を務める。日本アカデミー賞、ブルーリボン賞はじめ受賞歴も多数。

―真逆と言っていいぐらい違うと思います。

松山:ただ、それはそれでいいと思ったんです。『ロストケア』って、ある意味すごく重い映画じゃないですか。その感じを洗い流したかったというか。あの役とか題材を、ぼくたちのなかで重いままにさせたくない気持ちがあったんです。

左から:新次郎(松山ケンイチ)、小四郎(神木隆之介)、喜三郎(桜田通)© 2023映画『大名倒産』製作委員会

―神木隆之介さん演じる主人公・小四郎の兄である新次郎は、登場するたびに強いインパクトを残す役で……だいぶ振り切ったお芝居をされていますよね。

松山:そうですね。新次郎は、作品のなかでは「うつけ者」と言われていますけど、まわりの人たちが気づいてないだけで、じつは他の人にはない特性のあるキャラクターだと思うんです。

ただ、それを知るためにはそれなりの時間や会話が必要で。まわりの人たちから「うつけ者」と言われているからといって、そこで考えることをやめてしまったら、その人のことは何もわからないですからね。

映画『大名倒産』本予告

松山:今回の作品のなかで新次郎は、そうやってみんなから「うつけ者」と言われて、ある程度ほったらかしにされているような状態だったと思うんですけど、そこに小四郎が現れる。彼が、新次郎とコミュニケーションをとっていくうちに、この人はこういうものが好きで、こういうことができるんだ、こういう優しさをもっているんだ、と気づいていく。

ちゃんと向き合って、彼のよさを発見していって、それが結果的に新次郎を活かす道にもつながっていきます。そうやって、いろんな人の力をうまく活かすことで藩の倒産を防ぐことができた話だと思うんですけど、ぼくのなかでは、その「人を活かす」ということが、もしかしたら『ロストケア』とはまた違う、人々の「救い方」なんじゃないかなって思っていて。

―なるほど。真逆なテイストの2作ですが、通底しているテーマがあるのではないかと。

松山:それが、前田監督のテーマなのだと思います。

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