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Stronger Than Pride

香田悠真と加藤修平 とめどないおしゃべりの中で発光する、二人の美意識と哲学

2025.1.31

#MUSIC

NOT WONK / SADFRANKの加藤修平が「自分自身」を探る本連載、今回のゲストは音楽家の香田悠真。SADFRANKのコアメンバーとしても活動を共にする二人のトークセッションは、なんと「ベンチ」の話題から始まった。

香田悠真のベンチマーク活動とは?

加藤:悠真くんって、こういう対談とかインタビューって結構やってます?

香田:こないだ、建築家と生態系研究者の方の3人で「散歩って何なんだろう?」っていうお話とかしたよ。

加藤:ベンチマークの話もした?

香田:ああ、したした(笑)。

―ベンチマークって何ですか?

香田:よく散歩する友人と、Googleマップ上にお気に入りのベンチが登録できたらいいな、っていう話をしていて。好きなベンチをピン付けしてアーカイブしていくってだけなんだけれど(笑)。いつかこれをアプリ化できないかなって思っていて、そのアプリ名がベンチマーク(笑)。

香田悠真(こうだ ゆうま)
1991年生まれの音楽家。映画音楽やファッションショーの音楽監督を務める傍、舞台芸術やインスタレーションへの楽曲提供も多く手掛ける。2019年にAnshul Chauhan監督の長編映画『コントラ』において、第23回タリン・ブラックナイト国際映画祭の最優秀音楽賞を受賞。 近年には音楽を担当した清水 康彦監督作『スクロール』、Anshul監督作『赦し』、下津優太監督作『みなに幸あれ』等が公開。

―ベンチマークって名前はすげえセンスいいですね。

香田:レビュー機能もつけたくて。ある人は初恋の相手と座ったけど、別の日にある人はひどい二日酔いで寝てたとか、いろんな記憶が重なっちゃうと思うんですよ。それがいずれ良いリストになっていくだろうなって。

加藤:評価1から5が満遍なくあるのがいいベンチ(笑)。

香田:ベンチの良し悪しってすごく考えようがあるなって。都市計画から考えられているであろうベンチは、日照時間とか導線がちゃんと計算されてる。逆に皇居周りにあるベンチとか、とにかく量を置こうとしてるものは間隔がとても狭かったり。プライバシーがあんまりないっていうか。

加藤:ベンチって告白とかしちゃうぐらいだから、ある種プライベートな場でもありますよね。

加藤修平(かとう しゅうへい)
NOT WONK/SADFRANK。1994年苫小牧市生まれ、苫小牧市在住の音楽家。2010年、高校在学中にロックバンドNOT WONKを結成。2015年より計4枚のアルバムをKiliKiliVilla、エイベックス・エンターテインメントからリリース。またソロプロジェクトSADFRANKとしても2022年にアルバムをリリース。多くの作品で自らアートディレクションを担当している。

香田:あとグレーなベンチも面白いなと。暖かい地域に多い気がするんだけど、地元の住民が家から椅子を持ってきて、座りたい場所に置いてる。沖縄だとバス停とかにも勝手に置かれてるのをよく見たりして、行政に全部任せきってない意識があるな、と。なかったら自分たちで作ればいいじゃんっていう、公共と個人の感覚がちょっと曖昧というか。

―東京は地価が高いから、座る場所自体が圧倒的に少ないですもんね。

香田:排除アート(※)とかも、いろんな工夫をして置きますしね。

加藤:絶対に寝転べないようになってますもんね。僕、歌詞書くとき、ケータイだけを持ってウロチョロしてんすよ。で、徐々にスタジオに近づきながら歌詞を書くんですけど、オペラシティの辺りにベンチがあったんで、持ってたカバンを枕にして、横になって歌詞書いてたんですね。そしたら警備員が近づいてきて、「ここは寝そべれないことになってるんです」って言われて。「体調悪いんだったら救急車呼びますし、そうじゃないんだったら起き上がってもらって良いですか?」って。ああ、そうですか……じゃあ立ち去ります、みたいな(笑)。

※パブリックスペースが損壊されたり、想定された用途以外で使われたりしないよう建造物に手を加える造形物。ベンチで寝られないよう間仕切りが設置されることもある。

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