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NEWS EVENT SPECIAL SERIES

【第12回】粉川心から八幡亜樹への手紙

2026.7.14

#MUSIC


八幡亜樹(やはた あき) 
フィールド調査や取材に基づく、領域横断的な美術作品の制作を行う現代美術家。主なメディアは映像+インスタレーション。歴史・文化的身体と生理的身体の重なりを主な関心とし、その重層性へのアプローチを探究している。近年はその一環としてロードムービーや手食、東洋医学に焦点を当てる。世界の手食文化をアーカイブするウェブサイト『手食Web』(https://teshoku.com)主宰・編集。近作では音表現にも取り組む。東京藝術大学大学院先端芸術表現専攻修士課程修了。同博士課程を中退後、滋賀医科大学を卒業。

アートの最前線で一緒に戦い続けている戦友的存在

今回はコラボアーティスト12組目、現代美術家の八幡亜樹さんについて語っていこうと思います。

八幡ちゃんとは以前も対談企画でアートとビジネスについて語ったり、いくつもの作品を共にしたりと、アートの最前線で一緒に戦い続けている戦友的存在。そして先週の伊藤えりさんに続き僕の大好きな人種、東京藝術大学卒アーティストというわけで蠱毒の壺を戦い抜いてきた強者です。

普段は映像などを主に扱うアーティストである彼女。2025年の京都芸術センターで行った実験イベントで、映像と音響効果もやってもらいコラボしたのですが、初めて作った音素材だったのに流石のセンスで完全に独自の世界を作っていて、これは音楽をちゃんと作ったらどんなことになるのだろうと、信頼と確信を持ってプロジェクトにお誘いしたのが今回の経緯です。

京都芸術センターで行った八幡亜樹、素潜り旬とのアートイベントのダイジェスト映像

最初は全く土俵も違うし、勝手が掴めない様子で、音楽でイメージを描くとは何なのか? みたいなことを何度もミーティングしました。そうこうしていたら八幡ちゃんがACC日本財団の「グラント賞」という大きな賞を獲得。その助成プログラムによりNYで半年間の滞在制作が始まる夏が来てしまい、NYと日本のオンライン制作の日々が始まりました。

しばらく彼女はNYでのリサーチや制作、生活に追われていた様子で中々制作は進まずでしたが、世界のアート最前線の中に身を置きながら沢山のアートを吸収したり、真逆のネイティブアメリカンの生活に身を置いて人間本来のあり方や、見えない力をリサーチしたりと、持ち前の凄まじい好奇心と行動力で、アーティストとしてぐんぐん成長。そんな彼女をメル友として日本で見守りながら時は経ち、少し落ち着いたタイミングで最初の曲たちのコンセプトとデモが届きました。

そのデモ時点ですでに感動していたのですが、そこからミーティングして、手直しが送られてくるというラリーが始まり、新たなアレンジが届く度にとんでもない速度で進化していって、短期間で音楽家としての才能を爆発させていったのをリアルタイムで感じ、ずっとワクワクしていました。稀代のアーティスト八幡亜樹に音楽作品を発表させる、という今回の功績はとても大きいんじゃないかと、妙な手応えを感じていました。

八幡亜樹個展『彼女が生きたかった、今日の日に。』展示記録映像

多くの音楽家が初期衝動という、一番の純粋が込められた1stアルバムを超えられずに苦しんでいるように、最初の作品というのはとても特別な魔法が宿るもので、アート才能全開の八幡亜樹という人間から、最初のひと搾りの結晶みたいな音が産み出された今回の楽曲は、全てのコラボの中でもかなり特殊な作品だと思います。ただただ純粋無垢な芸術の美しさがある作品だなと。何の手癖も、テクニックも介在しない純粋な音楽って案外出会えない物だと思います。

音のデータを受け取り、ヘッドホンから爆音で流しながら、いざドラムを入れる際、その純粋な美しさに畏怖の念が湧きすぎて、終始感動しながら録音したという、僕の中でもかなり特別なレコーディング経験となりました。ずっと、はっきりと風景が目の前に浮かぶレコーディングをしたのは初めての感覚でした。

こんな感覚になったのは音楽家じゃない芸術家だからなのか、処女作だからなのか、八幡亜樹だからなのか。とにかく音楽の枠を飛び越えた凄い作品だと思います。是非とも細部まで意識が行き渡った、素晴らしい芸術を一人無音の部屋で、ヘッドホンを付けてじっくりと感じてみて下さい。彼女の感性や旅の記憶を追体験すると同時に、生きる力みたいなものが不思議と立ち上がってくる素晴らしいアートだと思います。

粉川心

p.s.NYから帰国後、すぐに台湾に飛んで制作された彼女の最新作、『熊人內經圖』も先日京都芸術センターで観てきたのですが、「世界にアートを処方して少しでも良い方向に世界を進めたい」という彼女の芸術への向き合い方が真っ直ぐに感じられる作品で、自然や人類への祈りが根底にずっとある人なのだなと改めて感動させられました。まだ京都芸術センターで無料観覧できるのでこちらも是非。

次回は粉川からYasutaka Okada (kott)への手紙を7月21日(火)に公開予定。

粉川心(SHIN KOKAWA)長期プロジェクト「13artists×3works」

■プロジェクトコンセプト:身体的負荷の先にある「強いアート」の本質 この途方もない量の制作と連続リリースの背景には、粉川自身の「身体値の限界突破」というテーマがあります。比叡山延暦寺の極限の修行「千日回峰行」から着想を得ており、便利な時代にあえて「質より量」という過酷なアプローチを選択。圧倒的な制作量とライブの継続を通じて、身体 的な負荷の先に見える「強いアート」の本質を突き詰める試みです。また、13週間にわたる活動 そのものをひとつの表現とし、アーティストとしての影響力を拡大しながら、持続可能で心地よいビ ジネスモデルを構築・実証していくという「アートとビジネスの両立」も重要なテーマとして掲げています。

■参加アーティスト(全13組 / 順不同・敬称略)
・zezeco (青木ロビン / manukan)
・ermhoi
・類家心平
・魚返明未
・Noriyuki Inoue (jizue)
・THE BED ROOM TAPE (景山奏 / NABOWA)
・オオヤユウスケ (Polaris)/anzu
・高橋佑成
・早雲
・Momose Yasunaga
・伊藤えり
・八幡亜樹
・Yasutaka Okada (kott)

各種リンク
HP: https://penguinmarket.net/artist/shinkokawa/
Instagram:https://www.instagram.com/drum_shinkokawa/
X(旧Twitter):https://twitter.com/Drum_ShinKokawa
SPOTIFY:https://open.spotify.com/intl-ja/artist/3Vg6ZWLfFLXKgHoE4xbE3k
APPLE MUSIC:https://music.apple.com/jp/artist/shin-kokawa/1575903464

collaborate#12
収録曲:
1.Butter Tea
2.Unrevealed Memories
3.Hidden Journey
配信リンク:https://linkco.re/n1PUsa5b

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