VOL. 2
『けいおん!』と『ぼっち・ざ・ろっく!』から分析するバンドブームと『イカ天』
2024.12.26
アーティストたちとお届けする連載
1989年から1990年に放映された『平成名物TV 三宅裕司のいかすバンド天国』は、『イカ天』と呼ばれたアマチュアバンドのコンテスト番組。出演するバンドは、イロモノやキワモノから実力派、前衛系まで玉石混交だったが、結果的に『NHK紅白歌合戦』に出場した「たま」のような隠れた才能を、いくつもフックアップした。その狂騒は、衝動や情熱をガソリンに突っ走ったお祭り騒ぎだったとも言える。そして、何かをやりたいけど、何をやっていいのか分からない、そう鬱屈した若者が『イカ天』を見てバンドをやり始めた。
かくして、家にひきもって深夜番組の『イカ天』を見ていた(当時の言葉で言うなら)ネクラな少年少女たちの逆襲が始まる。受動から能動、いや、行動へ。のちの『けいおん!』や『ぼっち・ざ・ろっく!』が誘発したのと同質の現象、そう、バンドブームの到来である。バンドブームはバンドを聴くブームじゃない。「バンドをやる」ブームだったのだ。
※本連載に大幅加筆を加えた『イカ天とバンドブーム論(仮)』(DU BOOKS)より2025年2月に刊行予定。
音楽評、書評、演劇評、映画評など執筆。『ミュージック・マガジン』『Mikiki』『週刊読書人』『イントキシケイト』『ユリイカ』『レコード・コレクターズ』等に寄稿。趣味は酒と美術館巡りとラジオ。大森靖子が好き。 秋ごろDU BOOKSから書き下ろしの単著が出ます。
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