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短期連載:『HOSONO HOUSE』再訪

細野晴臣と『HOSONO HOUSE』の国内への影響。安部勇磨ら三者のカバーから考える

2025.1.30

#MUSIC

細野晴臣の記念碑的作品に再解釈を施した『HOSONO HOUSE COVERS』のリリースを祝した「短期連載:『HOSONO HOUSE』再訪」。

2回目の書き手は松永良平。安部勇磨、Cornelius、くくく(原田郁子&角銅真実)のカバーをお題に、3組の細野晴臣との近しい関係性にフォーカスをあてて『HOSONO HOUSE』の日本国内における影響について考えてもらった。

細野晴臣(ほその はるおみ)
1947年東京生まれ。音楽家。1969年、エイプリル・フールでデビュー。1970年、はっぴいえんど結成。1973年ソロ活動を開始、同時にティン・パン・アレーとしても活動。1978年、イエロー・マジック・オーケストラ(YMO)を結成、歌謡界での楽曲提供を手掛けプロデューサー、レーベル主宰者としても活動。YMO散開後は、ワールドミュージック、アンビエント、エレクトロニカを探求、作曲・プロデュース・映画音楽など多岐にわたり活動。2019年に音楽活動50周年を迎え、同年3月に1stソロアルバム『HOSONO HOUSE』を自ら再構築したアルバム『HOCHONO HOUSE』を発表した。音楽活動55周年を迎えた2024年、13組によるカバーアルバム『HOSONO HOUSE COVERS』が発表された。

“風をあつめて”と“冬越え”に表出した「細野節」について

細野晴臣“冬越え”の、サビの後半に出てくる<季節の>の「のー」の取り扱い方について、長年考えている。コードに対する音符の置き方が曖昧というか、「細野節」としか喩えようのない微妙な音の伸ばし方、その魅力。オリジナルの『HOSONO HOUSE』(1973年)バージョンでは、わりとまっすぐに伸ばしつつ、うっすらとうねりをつける。“風をあつめて”(1971年)の<青空を>の「をー」の扱い方に近い。

はっぴいえんど『風街ろまん』収録曲

あの浮遊するようで直線的なメロディーと歌唱を細野が選択したのは、理屈ではなく感覚的なところだろう。つまりそれが「節」ということ。当時の細野は、まだ歌に対して慣れがないゆえに、なるべくコブシやビブラートをつけない(ジェームス・テイラーをお手本に)という意識はあったかもしれない。

だが、あの説明が難しい音階のチョイスには生来の、細野自身の肌になじむ感覚が作用しているように思う。ぬくもりとさびしさ、知っていることと知らないことの「間(あわい)」みたいなもの。それを初めて感じたのが“風をあつめて”の「をー」で、続いて特徴的に顔を出した曲が“冬越え”だと思う。

細野晴臣『HOSONO HOUSE』収録曲
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