山田徹監督のドキュメンタリー映画『三角屋の交差点で』が、5月22日(金)より東北を皮切りに全国で順次公開される。
4月の東京・ポレポレ東中野での上演を終え、東北での公開がスタートされる。同作は、福島の東日本大震災と原子力発電所事故のあとを生きる、ある家族の日常を見つめたドキュメンタリー映画。99歳の母と息子夫婦の暮らしを通して、「家族とは何か」「そのかたちは誰によって支えられているのか」という問いを静かに投げかける作品となっている。

山田監督は、当初この家族を「穏やかな一家」として捉えていたという。しかしカメラを向け続けるなかで、その印象は次第に揺らいでいった。画面に映し出されるのは、日常のなかで自然と引き受けられていく役割や、言葉にされないまま続いてきた関係だ。介護を担う妻、母を気遣いながらも距離を保つ息子、そして記憶が揺らぐなかで存在のあり方を変えていく母。それぞれの時間が交差するなかで、「家族」という形はわずかに軋みを見せ始める。
同作では、その変化を説明することなく見つめ続ける。そこにあるのは、喪失のあとを生きる家族の姿であると同時に、「家族」という枠組みのなかで何が引き受けられ、何が見えにくくなっているのかという問いでもある。同作について、社会学者の上野千鶴子は「家族が共同体ではなく異なる個人の集合だという事実を思い知る」と評し、フォトジャーナリストの安田菜津紀もまた、「『復興』は、『家』での苦労を重ねることが当然とされてきた女性たちの忍耐」と言及している。
東北上映では、各地でトークイベントも実施される。5月31日(日)のフォーラム仙台とフォーラム山形には、劇作家 / 俳優の渡辺えりが登壇予定。作品が内包する「家族」の問題を、異なる表現領域から照射する機会となる。
なお同作は今後、大阪・シアターセブンナゴヤキネマ・ノイ、大分・シネマ5、神奈川・小田原シネマ館、埼玉・OttOなど、全国各地で上映される予定だ。
映画『三角屋の交差点で』


英題:At the Triangle Intersection
2025年/日本/95分/5.1ch/DCP
監督・撮影:山田徹/編集:PHAM Thi Hao、山田徹
整音:川上拓也/デザイン:北野亜弓(calamar LLC)
製作・配給:インプレオ
© Toru Yamada / IMPLEO Inc.

<登壇者・スケジュール>
フォーラム福島: 5月22日(金)~ 5月28日(木)
5/22(金)14:30-:山田徹監督
5/23(土)14:30-:和合亮一氏(詩人)、山田徹監督
5/24(日)14:30-:山田徹監督
5/26(火)14:30-:三原由起子氏(浪江町出身、歌人)、山田監徹督
フォーラム仙台: 5月29日(金)~ 6月4日(木)
5/30(土)10:00-:小川直人氏(せんだいメディアテーク学芸員)、山田徹監督
5/31(日)10:00-:渡辺えり氏(劇作家、俳優、演出家)、山田監督
フォーラム山形: 5月29日(金)~ 6月4日(木)
5/30(土)13:30-:和合亮一氏(詩人)、山田徹監督
5/31(日)13:30-:渡辺えり氏(劇作家、俳優、演出家)、山田監督
※全編英語字幕付き上映
※ゲストトークは各回上映後に実施予定
※登壇者は予告なく変更となる場合がございます