映画『BAUS 映画から船出した映画館』が2025年3月21日(金)より全国公開されることが決定した。
甫木元空が監督を務める同作は、2014年に幕を下ろした東京・吉祥寺のミニシアター「吉祥寺バウスシアター」をめぐる歴史と、映画館を立ち上げ、支えた家族たちの物語。1925年に造られた吉祥寺初の映画館「井の頭会館」時代から、1951年に開館した前身の「ムサシノ映画劇場」時代、そして映画上映だけでなく、演劇、音楽、落語など「おもしろいことはなんでもやる」というコンセプトで1984年にリニューアルした「吉祥寺バウスシアター」時代まで、約90年の道のりが描かれる。
原作は吉祥寺バウスシアターの元館主である本田拓夫が記した『吉祥寺に育てられた映画館 イノカン・MEG・バウス 吉祥寺っ子映画館三代記』。2022年に他界した映画監督の青山真治が温めていた企画 / 脚本を甫木元が引き継いで執筆した。同作は2024年1月に製作決定が発表され、劇中で使用する当時の写真や映像の一般公募も行われていた。
公開決定の発表に合わせ、メインキャストの情報も解禁された。主演を務めるのは染谷将太。兄・ハジメと共に思いつきで青森県から上京し、成り行きで吉祥寺にできた初の映画館「井の頭会館」に勤めることになるサネオ役を演じる。サネオの兄で活弁士として奮闘するハジメ役は峯田和伸、井の頭会館で手伝いとして働くうちにサネオと出会い、のちに妻となるハマ役は夏帆が務める。さらに、劇中の音楽を吉祥寺バウスシアターや青山真治とも縁深い大友良英が担当することも発表された。染谷、峯田、夏帆と甫木元監督からのコメントも到着している。
染谷将太(サネオ役)
バウスシアターは私にとって青春の場所でした。いつも映画をみに行くと誰か友人がいて、語り合う、爆音映画祭に皆で集まり、心踊る。忘れられない劇場です。
そして敬愛なる青山真治さんの最後の本がバウスの映画だったという、この事実に脳天を殴られたような衝撃を喰らいました。プロデューサーの樋口さんが私に言うのです「青山の呪いに乗っからないか?」と。私にとっては最高な呪いでした。呪いにかかったその先に待ってくれていたのは甫木元空氏。最高な男なんです。最高な男の元に集まるスタッフと共演者の方々は勿論最高で、現場はまるで夢の中に飛び込んでいるようでした。その夢の時間を甫木元監督の寛大な心で全て包み込んでくれ、魂に火を灯してくれ、最高な映画を生み出してくださいました。映画が好きな方も、そうでない方も、いつかの記憶の旅をしに、劇場まで来てくださったら幸いです。峯田和伸(ハジメ役)
僕は吉祥寺バウスシアターで色んな映画を観ました。あの時、もしかしたら暗闇の空間で、僕も映画に見られていたかもしれない。映画は僕に歌い、映画は僕と踊った。バウスは生き物で、その時代その時代を生き抜いた。貧しさと寝て、戦争に食べられそうになり、吉祥寺という町で沢山のひとに愛された。この映画は、まさしくバウスがその長い人生を尽くす際にみた最後の夢。メリーゴーランドのような走馬灯。ぜひ体験してみてください。夏帆(ハマ役)
約90年にわたる長い物語、だれかの記憶の断片のなかで生きているような、なんとも不思議な感覚になったのを覚えています。
なくなってしまった何かに思いを馳せながら、淡々と穏やかに進んでいく撮影現場は、たくさんの映画愛で溢れていて、きっとそれが本編にも滲み出ているのではないかと思います。ぜひ公開を楽しみにしていただけたらうれしいです。甫木元空監督
人と人とが暗闇の中で同じ光を見つめる。世界中どんな街にも存在する映画館という場で生きた何気ない家族の物語です。映画館が生まれ、大きくなり、そしてなくなるまでの物語。この普通で争っているのか睦み合っているのかわからない、けれどもそこにかすかな自由と幸福を見つけようと懸命に生きた、無数の(無名の)人々の思いがささやかな一本の映画になりました。たった一歩でも生きてる者と死んでる者とが前に進むために、喪失から生み出される死者を光でつなぎ止めて認識する。心から尊敬するキャスト・スタッフと共に、まるでこの物語を友人に紹介するように映画が作れた事がとても嬉しいです。
合わせて、同作のティザービジュアルと特報映像も公開された。映画館の舞台に腰をかけるサネオの佇まいが印象的なティザービジュアルは、『「あした」は暗闇から始まる。』と添えられたコピーがサネオの表情と相まって、まだ見ぬ未来への希望や静かな熱狂を感じさせる。特報映像は、井の頭会館に目を輝かせるサネオとハジメから始まり、懸命に活弁をするハジメや入り口で客を呼び込むサネオなど、映画館を中心に忙しない日々を送る様子が収められている。
『BAUS 映画から船出した映画館』
染谷将太 峯田和伸 夏帆
監督:甫木元空
脚本:青山真治 甫木元空
音楽:大友良英
エグゼクティブ・プロデューサー:本田拓夫
プロデューサー:樋口泰人 仙頭武則 関友彦 鈴木徳至
コ・プロデューサー:大野敦子 小山内照太郎
キャスティング・ディレクター:杉山麻衣
企画協力:青山真穂
撮影:米倉伸 照明:高井大樹 音響:菊池信之 録音:藤林繁
美術:布部雅人 衣装:宮本まさ江 ヘアメイク:菅原美和子
助監督:滝野弘仁 制作担当:飯塚香織 編集:長瀬万里 CG/VFXディレクター:潮杏二
原作:「吉祥寺に育てられた映画館 イノカン・MEG・バウス 吉祥寺っ子映画館三代記」(本田拓夫著/文藝春秋企画出版部発行・文藝春秋発売)
企画・製作:本田プロモーションBAUS boid
制作プロダクション:コギトワークス 配給:コピアポア・フィルム boid
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(日本映画製作支援事業)|独立行政法人日本芸術文化振興会
2024年/日本/ヨーロピアンビスタ/116分
© ︎本田プロモーションBAUS/boid
公式HP:https://bausmovie.com/
公式X:@BAUS_movie
2025年3月21日(金)より、テアトル新宿ほか全国ロードショー