甫木元空が監督を務める映画『BAUS 映画から船出した映画館』の製作が決定した。
2025年の公開を目指している同作は、2014年に幕を下ろした東京・吉祥寺のミニシアター「吉祥寺バウスシアター」をめぐる歴史と、映画館を立ち上げ、支えた家族たちの物語。1925年に造られた吉祥寺初の映画館「井の頭会館」時代から、1951年に開館した前身の「ムサシノ映画劇場」時代、そして映画上映だけでなく、演劇、音楽、落語など「おもしろいことはなんでもやる」というコンセプトで1984年にリニューアルした「吉祥寺バウスシアター」時代まで、約90年の道のりが描かれる。
原作はboidから刊行された『吉祥寺バウスシアター 映画から船出した映画館』と、吉祥寺バウスシアターの元館主である本田拓夫が記した『吉祥寺に育てられた映画館 イノカン・MEG・バウス 吉祥寺っ子映画館三代記』で、2022年に他界した映画監督の青山真治が温めていた企画 / 脚本を甫木元が引き継いで製作する。また、本田は同作のエグゼクティブプロデューサーも務める。
多摩美術大学映像演劇学科出身の甫木元は、監督 / 脚本 / 音楽を務めた『はるねこ』で長編映画デビューし、『はるねこ』の生演奏上映をきっかけに結成した菊池剛とのユニット・Bialystocksのボーカルとして音楽シーンでも活躍。青山は多摩美術大学の教授として甫木元と出会い、『はるねこ』を仙頭武則と共同プロデュースするなど、かねてより2人は深い関係で知られていた。
製作決定の発表にあわせ、劇中で使用する当時の写真や映像の一般公募もスタートした。「“あの頃”吉祥寺の映画館では何が起きていたのか?」と銘打ち、約90年の時のなかで様々な表情を見せる映画館や街との思い出を募集している。
映画館が生まれ、大きくなり、そしてなくなるまでの物語。そこに特別な秘密があるわけではなく、世界中どんな街にも存在する映画館に生きた無名の家族の物語です。
甫木元空コメント
映画という窓を街に作り、娯楽という風を吹き込む事に奮闘した無名の(無数の)人々の密やかな企み。決して戦争をしてもよいと企む人々ではない。かすかな自由と幸福を見つけようと懸命に生きたこの家族の思いが、空想と共にささやかな一本の映画となって、世界の人々に映画館の存在を改めて説いてくれる。そんな願いを込めて本作を作れたらと思っています。
『BAUS 映画から船出した映画館』
監督:甫木元空
脚本:青山真治、甫木元空
(C) 本田プロモーションBAUS/boid
▽「“あの頃”吉祥寺の映画館では何が起きていたのか?」応募ページ
www.boid-s.com/8041
募集期間:1月17日(水)12:00〜2月29日(木)23:59