パキスタン映画『JOYLAND(原題)』が、『ジョイランド わたしの願い』の邦題で10月18日(金)より全国公開されることが決定した。
パキスタン映画として初めて『カンヌ国際映画祭』でプレミア上映され、「ある視点」審査員賞とクィア・パルム賞を受賞、『アカデミー賞』国際長編映画賞ショートリスト部門で最終選考まで選出されるなど、国際的に高い評価を得ている同作。
パキスタンの大都市 / 古都ラホールで、メイクアップアーティストの妻・ムムターズと暮らす夫・ハイダルが、トランスジェンダーの女性・ビバと出会い、その生き方に惹かれていく。保守的 / 伝統的な価値観と、自分らしく自由に生きたいという願いの間で揺れ動く姿を描いた内容となっている。サーイム・サーディク監督による長編デビュー作品で、アリ・ジュネージョー、ラスティ・ファルーク、アリーナ・ハーンらがキャストに名を連ねている。
同作は、パキスタンでの公開に際し、少数の保守系団体から「LGBTQ+や、彼らとの恋愛を美化して描いた」ことが「社会的価値観や道徳基準にそぐわない非常に不快な内容が含まれており、『品位と道徳』の規範に明らかに反する」と反発を受け、本国政府により、公開1週間前に政府より上映禁止命令が出されるという事態に見舞われた。しかし、監督や出演者らの抗議活動に加え、ともに製作総指揮を務めた『ノーベル平和賞』受賞者のマララ・ユスフザイやパキスタン系イギリス人の俳優リズ・アーメッドらから支援の声が上がり、3か月後に命令は撤回。パキスタンでは一部編集された状態で上映されることとなった。
『ジョイランド わたしの願い』
監督・脚本:サーイム・サーディク/出演:アリ・ジュネージョー、ラスティ・ファルーク、アリーナ・ハーンほか
製作総指揮:マララ・ユスフザイ、リズ・アーメッド『サウンド・オブ・メタル 〜聞こえるということ〜』 ほか
英題:JOYLAND/2022年/パキスタン/パンジャーブ語、ウルドゥー語/1.33:1/ 5.1ch/127分/日本語字幕:藤井美佳