第2回『音楽本大賞』の大賞作品が、松本直美の『ミュージック・ヒストリオグラフィー~どうしてこうなった?音楽の歴史~』に決定した。
同賞は音楽の聴き方や作り方を変えるような優れた音楽本の存在を広く届けることを目的に、2023年に創設。第1回の大賞は柳沢英輔の『フィールド・レコーディング入門 響きのなかで世界と出会う』が受賞した。
第2回となる今回は、2023年の1年間に刊行された音楽をテーマとする書籍を対象に選考が行われた。選考委員長は月刊誌『サウンド&レコーディング・マガジン』で長年、幅広い分野の音楽本を数多くレビューする音楽家の横川理彦で、選考委員は映画音楽評論家の小室敬幸、音楽評論家で声楽家の松平あかね、東京藝術大学教授の毛利嘉孝、大阪音楽大学准教授で音楽家の渡邊未帆が務めた。また、今回は読者からの大賞推薦作の募集も実施された。
大賞を受賞した松本直美はロンドン大学ゴールドスミスカレッジ音楽学部の上級講師。同作では、専門である歴史的音楽学をベースに、音楽史がどのように語られ、書かれてきたのかを振り返り、新たな視点で歴史を見直すことで得られた発見や知見を、多彩なエピソードと共に記している。
このほかに特別賞と、5人の選考委員がそれぞれに選出した個人賞の受賞作品も発表。特別賞は急遽設けられたもので、音楽の歴史や世界の音楽、約300種類の楽器を紹介した学習図鑑『小学館の図鑑NEO 音楽』が選ばれた。6月6日(木)には夏葉社の島田潤一郎をゲストに招いた授賞式が東京・六本木の文喫で行われる。
5月31日(金)までクラウドファンディングが実施されており、支援者には様々なリターンを提供。3,000円以上の支援で受け取れる特製ZINEには、受賞作執筆者からのメッセージや選考委員の候補作へのコメント、2023年中に出版された音楽本のリストなどが掲載される。
【音楽本大賞】
松本直美『ミュージック・ヒストリオグラフィー~どうしてこうなった?音楽の歴史~』ヤマハミュージックエンタテインメントホールディングス
【特別賞】
池辺晋一郎ほか(監修)『小学館の図鑑NEO 音楽』小学館
【個人賞】
■横川理彦選
ベンジャミン・ピケット/須川宗純(訳)『ヘンリー・カウ 世界とは問題である』月曜社
■小室敬幸選
浅井佑太『シェーンベルク(作曲家・人と作品)』音楽之友社
■松平あかね選
沼野雄司『トーキョー・シンコペーション 音楽表現の現在』音楽之友社
■毛利嘉孝選
金悠進『ポピュラー音楽と現代政治:インドネシア 自立と依存の文化実践』京都大学学術出版会
■渡邊未帆選
阿部万里江著/輪島裕介(訳)『ちんどん屋の響き 音が生み出す空間と社会的つながり』世界思想社
【二次選考結果=大賞候補作(発売月順)】
岡島豊樹『地中海ジャズの歴史と音盤浴案内』 カンパニー社、2023年1月発売、定価:本体3000円(以下同)
堀朋平『わが友、シューベルト』 アルテスパブリッシング、2月、6000円
金悠進『ポピュラー音楽と現代政治:インドネシア 自立と依存の文化実践』 京都大学学術出版会、3月、3600円
大谷能生『歌というフィクション』 月曜社、3月、3800円
阿部万里江/輪島裕介訳『ちんどん屋の響き 音が生み出す空間と社会的つながり』 世界思想社、3月、3500円
浅井佑太『シェーンベルク(作曲家・人と作品)』 音楽之友社、4月、2300円
鈴木聖子『掬われる声、語られる芸 小沢昭一と『ドキュメント 日本の放浪芸』』 春秋社、5月、2500円
松本直美『ミュージック・ヒストリオグラフィー~どうしてこうなった?音楽の歴史~』 ヤマハミュージックエンタテインメントホールディングス、5月、2000円
ベンジャミン・ピケット/須川宗純訳『ヘンリー・カウ 世界とは問題である』 月曜社、6月、6000円
池辺晋一郎ほか(監修)『小学館の図鑑NEO 音楽』 小学館、11月、2400円
中川克志『サウンド・アートとは何か 音と耳に関わる現代アートの四つの系譜』 ナカニシヤ出版、12月、3000円
沼野雄司『トーキョー・シンコペーション 音楽表現の現在』 音楽之友社、12月、2200円
第2回音楽本大賞授賞式@六本木・文喫
■日時:2024/6/6(木)19:00 – 21:00
■会場:文喫 六本木(港区六本木6-1-20 六本木電気ビルディング1F)
■チケット:
会場参加(文喫入場料込み)¥2750
オンライン参加(アーカイブあり)¥1100
https://bunkitsu20240509.peatix.com/