毎年秋に東京・池袋エリアを中心に開催される『東京芸術祭』のアーティスティックディレクターに、2025年度から演劇作家 / 小説家の岡田利規が就任することが決定した。
『東京芸術祭』は、東京の多彩で奥深い芸術文化を通して世界とつながることを目指した都市型の総合芸術イベント。9回目を迎える2024年は、岡田が主宰を務める「チェルフィッチュ」と藤倉大 with アンサンブル・ノマドによる『リビングルームのメタモルフォーシス』を東京芸術劇場 シアターイーストで上演することが決定していた。また、その他のプログラムとして、木ノ下歌舞伎による『三人吉三廓初買』(さんにんきちさくるわのはつがい)を東京芸術劇場 プレイハウス、近藤良平が構成 / 振付 / 演出を手がける野外パフォーマンスをGLOBAL RING THEATRE(池袋西口公園野外劇場)で上演することが発表されていた。
『東京芸術祭』は、2018年〜2023年の6年にわたって、国際的な公演活動を展開する演出家の宮城聰が東京芸術祭の総合ディレクターを務めてきた。2025年度からは、独特な言葉と身体の関係性による方法論や現代社会への眼差しが高く評価され国内外で注目を集めている岡田のもと、新たなコンセプトを打ち出していく予定となっている。発表に際し、岡田からのステートメントも公開された。
国際的な舞台芸術祭、という特別なハレのムードのフレームに、さまざまな地域・美学に根付く演目たちアーティストたちを招き入れる。現代の東京に特有のリアリティから生み出されたものも。その外で生み出されたゆえの新鮮さ・異質さで東京を知的感覚的に刺激する力を漲らせたものも。
身近に潜む見慣れなさに出会わせてくれるスコープ。異文化のユーモア。共有され可視化されるのを待ってるナラティヴ。これまでかたちにされたことのないものがかたちにされたもの———東京芸術祭の会期を、それらが交錯するひとときとしたい。東京という巨大都市の内部/周囲に横たわる無数の文脈たちとの共振が起こるのを希って、世界の・未来の文脈たちとの呼応を希って、そして〈分断〉という、現代のわたしたちの前にたちはだかる超難問をほんのわずかにでも解きほぐせることを希って、わたしはアーティスティックディレクターとしてスタッフ、アーティスト、観客とともに、東京芸術祭という名の、文脈たちの宴をつくりあげたい。
岡田利規
なお、岡田は2026年4月1日付で東京芸術劇場新芸術監督(舞台芸術部門)に就任することが決定している。