ソフィア・コッポラ監督の最新作『Priscilla』(原題)が、2024年4月にTOHOシネマズ シャンテ他全国にて公開されることが決定した。
同作はエルヴィス・プレスリーの元妻プリシラ・プレスリーが1985年に出版した回想録『私のエルヴィス』(原題:Elvis and Me)を基に、彼女と当時すでにスーパースターであったエルヴィスとの運命的な出会い、結婚、出産、そして別れをソフィア・コッポラ監督の視点から描き出したもの。
プリシラを演じたのは『パシフィック・リム:アップライジング』でヒロインを演じたケイリー・スピーニー。エルヴィスをドラマ『ユーフォリア/EUPHORIA』のネイト役で知られるジェイコブ・エロルディが演じた。
北米での配給はA24が担当。北米版ティザー映像では、Spectrumの”How You Satisfy Me”が流れる中、エルヴィスとプリシラが過ごした時間がモンタージュのように映し出されている。
監督を務めたソフィア・コッポラは、映画『ゴッドファーザー』で知られるフランシス・フォード・コッポラとエレノア・ニールを両親に持ち、1999年『ヴァージン・スーサイズ』で長編デビューを果たした。
ジェフリー・ユージェニデスのベストセラー小説『ヘビトンボの季節に自殺した五人姉妹』を原作にした同作は、少年たちの憧れの的であるリスボン家の美人姉妹5人が次々と命を絶っていく事件を、少年目線で描いたストーリー。淡くノスタルジックな世界観は、ガーリーカルチャーに大きな影響を与えた。同作に見られる「幽閉される少女」や「孤独」というテーマは、『ロスト・イン・トランスレーション』『マリー・アントワネット』など後の作品にも通じる。
2003年に監督第2作目として製作された『ロスト・イン・トランスレーション』は東京が舞台。仕事で東京に滞在中のハリウッド俳優ボブ・ハリスと、同じホテルに宿泊していたソフィア・コッポラ自身をモデルとするシャーロットが、言葉が通じない異国の地で、束の間心を通わせるストーリー。同作は『第76回アカデミー賞』脚本賞や『第61回ゴールデングローブ賞』脚本賞、『第30回セザール賞』外国映画賞などを受賞した。
『第67回ヴェネツィア国際映画祭』の金獅子賞を受賞した『SOMEWHERE』。ソフィアが自身の幼少期から着想を得たという同作は、ロサンゼルスの高級ホテルで華やかだが空虚な生活を送るハリウッドスターが、前妻と暮らしている娘と共に過ごす時間を通して、人生を見つめ直すさまを描く。世界で70以上の映画賞を受賞し、2023年に日本公開された『aftersun/アフターサン』のシャーロット・ウェルズ監督は、影響を受けた監督の一人にソフィア・コッポラを挙げており、『aftersun/アフターサン』の劇中では同作を彷彿とさせるシーンも登場する。高い美的センスで作られる世界観、その奥に隠された「孤独」を静かな視線で描くソフィア・コッポラの作風は次世代にも大きな影響を与え、フォロワーを生み出している。
監督第7作目の『The Beguiled / ビガイルド 欲望のめざめ』は、『第70回カンヌ国際映画祭』で、女性監督としては56年ぶり2人目の監督賞を受賞した。前作『On the Rocks』では自分と同世代の女性を主人公に浮気疑惑のある夫を追いかける物語を描いている。対象が「少女」から「大人の女性」に変化したここ数年は、ソフィア・コッポラ自身の成熟=大人の女性としての視点を獲得していった時間ともとらえられる。
ソフィア・コッポラは劇中の選曲でも抜群のセンスを発揮することで知られており、『ヴァージン・スーサイズ』ではトッド・ラングレン(Todd Rundgren)やギルバート・オサリバン(Gilbert O’sullivan)といった1970年代の切ないヒット曲を使用し、『ロスト・イン・トランスレーション』では東京での孤独感をMy Bloody ValentineやThe Jesus & Mary Chainといったシューゲイズサウンドで強調するなど、幅広いジャンルでこだわりをみせている。
NiEWではソフィア・コッポラの映画音楽を特集したプレイリストも公開中。今後『Priscilla』(原題)で使用された楽曲も追加を予定している。
Priscilla
監督・脚本:ソフィア・コッポラ (『ロスト・イン・トランスレーション』(03)、『マリー・アントワネット』(06)
出演: ケイリー・スピーニー(プリシラ・プレスリー役)ベネチア国際映画祭最優秀女優賞受賞
(『パシフィック・リム: アップライジング』(18)、『ビリーブ 未来への大逆転』(18))
ジェイコブ・エロルディ(エルヴィス・プレスリー役)
(『キスから始まるものがたり』(18,20,21)「ユーフォリア/EUPHORIA」(TV・19~))
配給:ギャガ
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