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NEWS EVENT SPECIAL SERIES

Hedigan’sメンバー全員で語り合う、誰かと一緒に生きるということ

2024.12.12

Hedigan’s『Chance』

#PR #MUSIC

このインタビュー記事を読んで、誰かがバンドを始めてくれたらいいなと思う。

仲間たちと楽しい時間を過ごして、好きな話題で戯れ合って、苦手なことは補い合って、忘れたくない瞬間を残すように曲を作る。「バンドって、めちゃくちゃ眩しいよな」と、羨ましくも思う。

日々バンドをインタビューしていても実感するが、当然、バンド活動とは「キラキラ」ばかりではない。その中で、なぜHedigan’sはここまで風通しがよく、メンバー全員にとって居心地のいいバンドで在れるのか。活動開始から約1年半、1stアルバム『Chance』を完成させたタイミングで、改めて5人にそんなテーマを聞きたくなった。

5人が答えてくれたことは、音楽に限らず、会社・学校など人が集まるコミュニティにおいて理想的な在り方とは何か、人と生きる上で大切なこととは何かという話にまで広がっていった。それらは、ロックバンドだからこそ投げかけられる世の中に対する提言であり、個人的に手渡してくれるような小さなきっかけでもある。自分が何を有意義と思うのかに向き合って、その瞬間に気づける自分であること――私にとってHedigan’sの音楽とインタビューの言葉は、そんなシンプルなことに立ち返らせてくれた。

YONCEがなぜHedigan’sをきっかけにステージへ帰ってきて、ここで歌い続けるのか――前回のインタビューでも訊いたことではあるが、「こういう音楽ジャンルをやりたかったから」というよりも、「この5人で音を鳴らしたいから」「この人たちと過ごしたいから」というシンプルな理由であることが、今回のインタビューからより深く伝わると思う。

「わざわざ」から生まれるもの

―『Chance』は本当に素晴らしいアルバムで、そろそろ「年間ベストアルバム」とかが話題になる時期だと思うんですけど、絶対に入れたい一枚だと思いました。みなさんとしても手応えは大きいですか?

YONCE(Vo,Gt):そうですね、ずっと「これはすげえ、これはすげえ」って言いながら作ってましたね。

―Hedigan’sを約1年半やってきて、Hedigan’sの音楽とはどういうものであるか。それぞれ他のバンドでの活動もある中で、Hedigan’sというバンドの特異性をどのように感じているのか。お一人ずつ、今考えていることを聞かせてもらえますか。

将治(Gt):Hedigan’sは、音楽的にも、ライブも、何でもありなバンドだなって。今回のレコーディングで具体的なきっかけのひとつになったのはリード曲の“再生”なんですけど、これは1st EP『2000JPY』で試していた路線や、そこで示したHedigan’sのスタイルとはまた違うというか。自分が曲の原型を持ち込んだんですけど、すごくポップで、日本的な曲で、歌モノでもあるし、これをHedigan’sで演奏してYONCEが歌ったらどうなるのかが最初はわからなくて。こういう曲もできるし、一方でブルースとかロックンロールの激しい部分もできるし、やっぱり何でもありなんだなと思えました。好きなようにやるっていう、そういう感じです。

―何か特定の音楽ジャンルがやりたくてHedigan’sが始まったわけでもなくて。ただこの5人で音を鳴らすことが大事であるという。

将治:そうですね、それしかないかもしれない。Hedigan’sでは、狙いみたいなものをあまり考えなくてもいいんだなって。バンドの関係性やスタイルには色々あると思いますけど、Hedigan’sみたいに、友達で居心地のいい関係性でやるというのもひとつのバンドのスタイルだと思うし、それで続けていけたら一番理想的だと思う。30歳を超えて、こういうバンドが組めると思ってなかったくらい。無理して楽しもうとしてもきつくなるけど、本当にそういうこともなく、5人、エンジニアのテリー、スタッフのみなさん含め、居心地がいいし、気持ちよくやらせてもらってます。まだ結成して1年くらいしか経ってないんだけど、ホームですね。ずっと続けていきたいなと思うバンドです。

―YONCEさんはどうですか? Hedigan’sというバンドは今、YONCEさんにとってどんな居場所になっていますか。

YONCE:将治が言う通り、やはり居心地がいいっていう。なんて言うんでしょう……どんどん解放できている、どんどん解放していっている、という印象があります。バンドの関係性も、エンジニアのテリーや、もっと言ってしまえばマネジメントやレーベルとの関わり方も、だんだん砕けた感じになっていて。まあ締めるところは締めてもらうんですけど。一応ちゃんとビジネスでもあると思うし、俺らがその辺、ちょっと感覚として希薄なだけで、やらねばならないところもいっぱいあると思うので。

ただそれがあった上でも、砕けた形で付き合ってこられているし、現時点で全体的な調和の形みたいなものがあって、それがすごく居心地よくて。だから色々気にせず楽しめてます。僕は今の状況にすごく満足しているし、「もっといいものを」「もっと楽しくなるはずだ」みたいなことだけを気にしていればいいのは、やっぱりとても幸せなことだなと、そう思いながらこの1年を過ごしていましたね。

―たとえば「売れる」だとか、そういう世の中の固定観念的な成功に向かうのではなく、「どうすればこの5人がもっと楽しめるか」「どうすれば自分たちがもっと楽しめる音楽を作れるか」といったところに集中できていると。

YONCE:そこに尽きますね。「楽しいね」とか「こんなくだらない話をしたね」みたいな時間を閉じ込めていく作業をずっとしてるから。曲自体の思惑とか狙いがまったくないかと言ったら、やっぱりそこはみんなちょっとしたスケベ心を自分のパートとかアレンジで出すんだけど、それと同じくらい、過ごした時間とか、どこへ行ったとか、何をしたとか、そういう思い出が音楽と一緒に乗っかってる感じがあるから、それって健康的なことだよなと思って。だから、Hedigan’sの音楽は「健康な音楽」なのかもしれないですね。

―私が年間ベストに入れたいくらいよかったと感じたのも、まさにそこで。5人が一緒に過ごした時間、空気、気持ちの抑揚とかが記録されている音源だなと思ったんです。音楽に正解はないけど、それはバンドの音源としてひとつの理想系ではあるよなと。

YONCE:そう、寂しくない作品ですよね。わざわざ集まって、わざわざ意見交換して、わざわざ頭抱えて、っていうことを全員でやってるから。その中には、笑いとかしょうもない話もふんだんに散りばめられていて。こういうことは、やっぱり人とじゃないとできない。

Hedigan’s(ヘディガンズ)
SuchmosのYONCEこと河西”YONCE”洋介擁するニューバンド”Hedigan’s”(ヘディガンズ)。メンバーは、河西”YONCE”洋介、栗田将治、栗田祐輔、本村拓磨、大内岳の5人組。2023年にF.C.L.S.より、1st Digital Single『LOVE (XL)』をリリースし本格始動。2024年2月に1st EP『2000JPY』、11月に1stアルバム『Chance』をリリース。soul-friendly-music!

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