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アーティスト・土井宏明の原体験は、映画紹介コーナーとKISSのレコードジャケット

2024.9.1

#ART

グータッチでつなぐ友達の輪! ラジオ番組『GRAND MARQUEE』のコーナー「FIST BUMP」は、東京で生きる、東京を楽しむ人たちがリレー形式で登場します。

5月27日は、番組からの推薦で、SF小説の装丁デザインを手がけるアーティストの土井宏明さんが登場。映画『ブレードランナー』の原作であるフィリップ・K・ディックの小説の装丁デザインの制作秘話や、アートを志すきっかけとなった幼少期の体験についてお聞きしました。

映画『ブレードランナー』の原作小説の装丁を手掛けた

Celeina(MC):週の最初は番組からの推薦で、SF小説の装丁デザインを手がけるアーティストの土井宏明さんにお越しいただきました。

タカノ(MC):SF小説の金字塔、アメリカのSF作家フィリップ・K・ディック作『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』の日本版の装丁デザインをはじめ、早川書房から出版されているフィリップ・K・ディックの文庫本は、基本的に土井さんがデザインされているそうですね。今、僕の手元にその本がありますが、黒のバックにイエローの文字と羊がデザインされていて、すごくカッコいいんですよ。飾りたくなっちゃいます。

Celeina:この本は映画『ブレードランナー』の原作でもありますが、装丁デザインの依頼があった時、どんなお気持ちでしたか?

土井:多くの方と同じように、原作よりも映画を先に知っていて、ものすごく素晴らしい作品だと思っていました。だから、その原作のデザインに携われるということは、嬉しいの最上級という感じでした。

タカノ:サイバーパンク感やネオンっぽいイメージなど、作品の世界観がこのデザインに落とし込まれていますよね。

Celeina:この装丁を作るのにどれぐらいかかったんでしょうか?

土井:最初はフォーマットみたいなものを作るという感じだったので、2ヶ月ぐらいですかね。

Celeina:毎日それに取りかかるとしたら、結構長いですね。

タカノ:デザインする上で意識されたことは何かありますか?

土井:1970年頃に出版された本の表紙は、当時の最新の表現を使っていたんですよ。エアブラシや筆で、リアルなイラストレーションが描かれている装丁でした。それをリスペクトしていたのもあり、真逆のことをやろうと思って、シンプルな黒背景にビビットな色と考えました。当時は電子書籍が出始めたタイミングだったんですが、スマートフォンなどのデバイスで電子書籍の表紙を見ると、サムネイルぐらいにすごく小さなサイズになるじゃないですか。そういう見え方になるので、大きくなっても小さくなっても、イメージがあまり損なわれないようにできたらと思いました。

あと、僕はTシャツを1つのキャンバスというか、メディアだと思っているので、書影と同じデザインのTシャツを絶対に作りたいという思いがあるんです。そういった3つの要素があって、シンプルな表現が現代的な答えの1つなのかなというふうに考えました。

Celeina:本の装丁だけじゃなくてデザイン全般に通ずる、すごく参考になるお話です。

タカノ:そんな土井さんは今日The Chemical BrothersのTシャツを着ていらっしゃいますね。

Celeina:来日公演は行かれたんですか?

土井:行きました。素晴らしかったです。

タカノ:よかったですよね。ロボットも出てきて、SFと繋がる感じがありますね。

土井:映像だけじゃなくて、紙吹雪などアナログなアプローチもたくさんあったことも素晴らしかったです。フィジカルな演出もたくさんされていて。

KISSのレコードジャケットに衝撃を受けた幼少期

Celeina:先ほど、『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』の依頼を受けた時、嬉しいの最上級という言葉がありました。土井さんは、昔からSFがお好きだったのでしょうか?

土井:小学生ぐらいの時に、日曜日の昼下がりにやっていた番組で、海外映画を紹介するコーナーがあったんです。10分ぐらいの短いコーナーでしたが、それが1週間の中で1番楽しみな時間でした。毎週、紙と鉛筆をスタンバイして観ていて、海外映画の情報に触れて、絵を描くみたいなことにすごいエネルギーを使ってやっていたんです。今思えば、それがきっかけだったのかなと思っています。

のちに調べたら、映画を紹介していたのが福田一郎さんという音楽評論家の方だったんですが、その人は、The Rolling Stonesやマイケル・ジャクソンとマブダチだったらしいです。その方の映画紹介が、僕にとって初めての世界との繋がりでしたし、そこでSFやアートみたいなものにも触れてきたのかなと思います。

タカノ:原体験として、そういう経験をされていたんですね。土井さんはジャケットのアートワークもされていますし、色々繋がってきます。そして、幼少期にはKISSのレコードジャケットにすごくインパクトを受けたと聞いています。

土井:僕の兄がレコードをいっぱい持っていて、その中にKISSのレコードもあったんです。小学生だった当時、30cm正方形のアナログのLPジャケットって、迫力があって結構大きいものに見えていました。そこに、KISSのメイクをしたバンドメンバーがイラストレーションで、禍々しい雰囲気で描かれていて、見入ってしまいました。その当時はウルトラヒーローや戦隊シリーズの悪者や怪獣、怪人にカッコよさを感じていたので、その延長で、KISSをカッコいいと思っていたのかもしれないです。そのKISSのレコードジャケットを見た頃は、デザインやアートという言葉を知りませんでしたが、将来はレコードジャケットを作る大人になりたいと思いました。

タカノ:KISSもそうだと思いますが、SF的な世界観といった日常生活から解離したものに惹かれるんですか?

土井:普通だったら、野球とか運動だと思いますが、そういう方向じゃなかったみたいです。

Celeina:さて、「FIST BUMP」はグータッチで繋ぐ友達の輪ということで、お友達をご紹介していただいています。どんな方をご紹介していただけますか?

土井:飯田昭雄さんという古くからの友人であり、時代の面白いところにいる方です。1番エッジなところにいるみたいな印象を持っています。最初は本のエディターとしてお仕事させていただきましたが、他にも広告の仕事や震災復興の時の活動を、エディター的なポジションで行なっていて、今は長野県の湖のほとりに住んでいらっしゃいます。それもすごく実験的な生活ですごく楽しそうなので、ぜひ遊びに行きたいなと思っています。そう伝えておいてください(笑)。

タカノ:わかりました、伝えておきます(笑)。

Celeina:明日も楽しみです。今日はSF小説の装丁デザインを手がけるアーティストの土井宏明さんをお迎えしました。ありがとうございました。

GRAND MARQUEE

J-WAVE (81.3FM) Mon-Thu 16:00 – 18:50
ナビゲーター:タカノシンヤ、Celeina Ann

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