グータッチでつなぐ友達の輪! ラジオ番組『GRAND MARQUEE』のコーナー「FIST BUMP」は、東京で生きる、東京を楽しむ人たちがリレー形式で登場します。
8月30日は、カメラマンで株式会社「鬼」の代表取締役、金沢康之さんからの紹介で、クリエイティブカンパニー「Whatever」プロデューサーで、Creative Lebel「nor」プランナー、メディアアーティストの福地諒(ふくち まこと)さんが出演。国内外で多数の賞を獲得している福地さんに、ご自身が作られたTシャツやステッカーを使った作品についてや、生成AIなど最新の技術やテクノロジーについての考え、最近、刺激を感じた作品などについて伺いました。
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ARを使ったTシャツと妖怪ホログラムステッカー
タカノ(MC):昨日、金沢さんから「オタク仲間」と言われていました。
福地:アニメを一緒に見たりするような仲間でもありますけど、仕事やキャンプとかも一緒にする友達だったりします。
Celeina(MC):趣味仲間ですよね。福地さんはクリエイティブカンパニー「Whatever」のプロデューサー、そして、Creative Label「nor」のプランナーもやられていますけれども、お仕事でも個人としても様々なクリエイティブなことをされているということで、今日は、実際に一つ作品を持ってきて頂いたんですよね。
福地:はい。今日着ている服なんですけど、腕のところにゲームカセットのようなチップが入っていて。
Celeina:ポケットに。
福地:これを、スマートフォンでタッチしてもらうことで、専用アプリも必要なく「AR」という表現を着て歩ける、みたいなTシャツです。
Celeina:アプリとかもいらないんですね。
福地:そうなんです。Instagramのフィルターを使ってるので。日本人なら、みんなInstagram入ってますよね。
タカノ:僕のケータイでも試せたりします?
福地:もちろん。
タカノ:(試して)おお!
Celeina:本当だ! ポーンって上に通知が来て、そこをクリックすると簡単にフィルターが開けるのか。
福地:見ていただいて、ちょっと近づいてもらうと、認識されると思います。
タカノ:「顔を映してください」……。おお、光った! すごい、羽が生えた! 変身しましたよ!
Celeina:めっちゃ楽しんでるじゃないですか!(笑) 変身しましたね。
タカノ:すごい! 欲しい!(笑)
福地:みんな、昔、どんな超能力が欲しいかみたいな会話したことあるじゃないですか。そういうのを、本当に自然に着て歩けるみたいなことを目指して作ってます。
タカノ:面白い!
Celeina:このTシャツはnorのプロジェクトの一つなんですか?
福地:ではないんですけど、僕が個人で全体の制作を担当しているHKSK社の『XRT(エックスアールティー)』というプロダクトです。
タカノ:個人でこれを作るってすごいですね。
Celeina:これは買える?
福地:まだ買えないんですけど、Tシャツからいろんな異能が出たら楽しいですよねと、アニメやゲームのIPホルダーの方々と一緒に話してます。あと、「個人で」と言ったんですけど、もちろん裏にはクリエーティブチームがたくさんいて、一緒に作っている感じですね。
タカノ:さっき、福地さんの後ろにバサッと羽が入るような表現だったんですけど、他にもエフェクトはいろいろあるんですか?
福地:あります。今作っているものだと、背中のところに炎の輪っかがでるようなものだったり、某アニメのように下から水が渦巻いて上がってくるようなものだったり。更に、剣が出てきたりとか、いろんなことが表現できるので、そんな未来になったら楽しいなと。
タカノ:欲しいよ!
Celeina:いや本当に。この技術というのは、Tシャツ以外でも使えたりするんですかね?
福地:そうですね。ベースは「AR」、拡張現実というよく知られた技術なので、もちろん別のものに転用できると思います。
Celeina:すごいな。そして、もう一つ最近、面白いと思われているステッカーがあるんですか。
福地:(ステッカーを見せて)これなんですよね。
タカノ:黒っぽい名刺ぐらいの大きさの中に、正方形のステッカーですかね。
福地:自作シールというのを作っている界隈がありまして。インターネットラジオ「DOMMUNE」でも4回くらい特集が組まれてたりする、新しいホログラムシールを作っている人たちがいて。その中でもAGAWAさんという作家さんが作られているシールの一つなんです。
タカノ:すごいですよ! キャラクターがめちゃめちゃ動く! ちょっとビックリマンシールぽい感じなんですけど、ホログラムで本当に映像ぽい感じになっています。角度を変えると中のキャラが動いてくれますね。
Celeina:これはもう画面じゃないですよね。シールですよね?
タカノ:細かいレイヤーで動いてますね。
福地:そうなんです。「レンチキュラー」と言って、2種類ぐらいの絵を切り替えてホログラムシールですよ、みたいなのは昔からありましたが、そのレイヤーが細かく刻めるようになったことで、さっきはめちゃくちゃデジタルな表現でしたけど、これは反対に、デジタルなんて1個もない中で映像みたいなものが動いているという。
Celeina:これ、また欲しい……!
タカノ:どれもカッコ良いですね。
Celeina:これは「妖怪ホログラム」と言うんですか?
福地:そうですね。AGAWAさんの作品の1シリーズという感じです。
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生成AIなど最新テクノロジーとの付き合い方
タカノ:作品を作るときのアイディアの出し方って、どうやってるんですか?
福地:アイディアは常日頃からインスピレーションを受けるものがあったりはしますが、個人的にはテクノロジーをどう使うかをすごい大事にしていて。でも、テックが前に出ていればよいという訳ではなくて、直感的にすごいと思えるテクノロジーによる表現がある中で、それによって、もう一つその表現のレイヤーが増えるようなもの。Tシャツだったら、こんなアニメの表現を見てみたい思ったりとか、ステッカーだったら、これで別のものを作ってみるとどうなるだろうと思うような技術の見せ方が好きですね。
タカノ:なるほど! ARとか、いろんなテクノロジーがありますけれども、まず最初に驚きや面白さが来て、実は、これはこういうテクノロジーを使ってるんですよという……
Celeina:フィーリングファーストみたいな。
福地:そうですね。
Celeina:あと、テクノロジーにお詳しい福地さんなので、ちょっと聞いてみたいのが、生成AI。最近、話題じゃないですか。これについてどうお考えですか?
福地:多方面で今、盛り上がっているところかなとは思うんですけど、今はまだ、今まで人が考えてきたアセットを学習して、限りなくそれっぽいものを出せるというところに留まっていると個人的には思っていて。そこで人間が上手に手を組んで、いわゆる「プロンプト」と言われる指示を出してあげたり、どんな絵を出して欲しいというディレクションをちゃんとしてあげることで、面白い結果を導けるものかなと。なので、僕としてはツールの一つという捉え方をしてます。Photoshopとかと一緒。逆に言えば当然、それを使いこなせないとクリエイターが置いてかれるという危機感はありますけどね。
タカノ:どういう指示を与えるかが大事と仰ってましたが、出てきたものをチョイスする力というかセンスというか、それはやっぱり人間じゃないとできないことじゃないですか。
Celeina:でも、今のところだけなんじゃないの? 更に生成AIというものが発達してったら、どうなるんですか?
福地:どこまで人間と同じ思考になっていくかは、今後10年~20年というところであるとは思うんですけど、例えば、ぱっと見、同じものができたとしても、人間がいろんな想いとか文脈を背負って作ったものは、見分けられると僕は信じていて。そもそも、そういうクリエイティブを目指さないと駄目だよねと思っているところがあったりするので、あまり危機感は無いです。
Celeina:やっぱりフィーリングファーストなんだ。
タカノ:福地さん、まだまだお話を伺っていきたいんですけれども、1曲はさみたいと思います。福地さんがこの時間にみんなで一緒に聴きたい曲を選んでもらったんですけれども、どんな曲でしょうか?
福地:in the blue shirtの“Beagle”という曲です。
Celeina:選曲理由は?
福地:僕が東京に来た頃に、夕方の時間帯によく聴いてた思い出の曲だったりもするので、ご紹介させていただきました。
タカノ:いいですね。聴いてみましょう。