※本記事には映画本編の内容に関する記述が含まれます。あらかじめご了承下さい。
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12,000人もの女性を救った団体「ジェーン」の物語
『コール・ジェーン ー女性たちの秘密の電話ー』は、1960年代後半から70年代初頭にアメリカに実在した団体をモチーフにした映画だ。この団体は人工妊娠中絶が違法であった当時、推定12,000人もの女性を救ったのだという。作中では、裕福な家庭の主婦ながら中絶の困難に直面したジョイ(エリザベス・バンクス)が中絶手術を提供する「ジェーン」という団体と出会い、自らもこの団体に参加していく様子を映し出すが、監督であるフィリス・ナジーはオフィシャルインタビューにおいて、本作の物語の本質は「女性たちに立ちはだかる大きな難問に対して、団結して解決策を見い出していく」ことであると語った。
『キャロル』の脚本を担当したフィリス、そして『バービー』のプロデューサーに名を連ねたロビー・ブレナーがプロデュースを手がける本作において、「ジェーン」に集う女性たちの連帯は、彼女たちが携わってきた作品において描かれてきた連帯と肩を並べるほど豊かに描かれた。それは、異なるアイデンティティを持つ他者と一枚岩になって手を取り合おうとするとき、今を生きる私たちにもきっと響いてくるものだ。