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数多くの広告賞を受賞してきた田辺俊彦。そのクリエーティブの礎を形作る3つのもの

2023.9.25

#MOVIE

グータッチでつなぐ友達の輪! ラジオ番組『GRAND MARQUEE』のコーナー「FIST BUMP」は、東京で生きる、東京を楽しむ人たちがリレー形式で登場します。

8月10日は、一級建築士事務所「ULTRA STUDIO」の上野有里紗さんからの紹介で、クリエーティブディレクターの田辺俊彦さんが出演。国内外、様々な広告賞を受賞してきた田辺さんが広告を仕事にしようと思ったきっかけや、田辺さんのクリエーティブを作った3つのもの、好きな「遊び」などについて伺いました。

広告の面白さは空の弁当みたいなところ

Celeina(MC):まず、プロフィールをご紹介させていただきます。東京、ミュンヘン、ボン、ウィーン、ロンドン、ジャカルタで育ち、2002年に電通に入社。国内、海外を問わずビジネスコンセプトからクリエーティブ表現まで、一気通貫したプロジェクトを数多く手がける田辺さん。2021年に電通を退社し、2022年1月にクリエーティブディレクター・コレクティブ「(つづく)」を設立されています。

タカノ(MC):大御所の大先輩です。本当に、お越しいただきありがとうございます。

田辺:ありがとうございます。丸腰で来てしまいましたが(笑)。

タカノ:まさか田辺さんにつながるっていうのも面白い企画なんですけれども。まず田辺さん、国内外の様々な広告賞を受賞ということで、もう紹介しきれないです(笑)。なので、GRAND MARQUEEということで、音楽にまつわるお仕事を一部ご紹介させていただきますと、昨日リリースされたMONDO GROSSOさんがプロデュースする満島ひかりさんの新曲のMV企画とクリエーティブディレクション担当。そして、昨年公開され話題となった満島ひかりさん、アオイヤマダさん、永山瑛太さんが出演する現代版竹取物語『Kaguya by Gucci』も田辺さんのお仕事です。そして、他にも山手線の車内でLicaxxxさんや、ちゃんみなさんがライブを行った『RED BULL MUSIC FESTIVAL TOKYO 2018』のオープニングプログラム『62 Minutes Yamanote Loop』も手がけられているということで。

田辺:めちゃくちゃ調べていただいて、ありがとうございます。

Celeina:我々が日々、目にしまくりな広告だらけですけれども。

タカノ:そして番組的には『Kaguya by Gucci』のフォトグラファーの夢無子さんに、以前FIST BUMP登場して頂いて、すごい面白かったです。

田辺:また、危険な人物を。放送事故スレスレの(笑)。

タカノ:(笑)。アマゾンのお話とかエキサイティングな話をいろいろ聞けたんですけれども、そこがつながるのも面白いと思いました。田辺さん、音楽は結構お好きなんですか?

田辺:そうですね。無音が怖いというか。自然の音とかあるといいんですけど、何もないと何でもいいからかけたくなっちゃうところがあって、ずっと聴いてますね。

Celeina:どんな音が好きなんですか?

田辺:何でも聴いちゃうんですよ。さっきの夢無子じゃないですけど、アマゾンの部族の音楽とか、テクノみたいなものとか、エモロックとか何でも。

タカノ:どうやってディグるんですか?

田辺:若い頃はDJとして宇田川町に入り浸るみたいなことをやっていたんですけど、今は、専らラジオ、Spotify、SoundCloud、いろんなところで。

Celeina:DJをやられていたって話もありましたけど、広告を仕事にしようと思ったきっかけは何だったんですか?

田辺:広告は、何となく面白そうだなという非常にゆるいところから始まって20年ぐらいやってるんですけど、広告は、空の弁当箱みたいなところがあって。何でも自分の好きなものを具材にガンガンぶち込んだ結果、広告が強くなっていくこともある。もちろん、それを食べたいと思っているお客さんにも出会わなきゃいけないんですけど、そこがちょっと嬉しいところかなと思っています。

タカノ:クリエーターであり、DJとかやられた経験もあると思うんですけど、半分、アーティスト的なマインドも入っているというか。

田辺:いや、アルバイトみたいなものです(笑)。

タカノ:そんな馬鹿な(笑)。

Celeina:田辺さんの姿勢から、すごい学びがありますね。

クリエーティブ力を作り上げたのは、転校と旅と仕事

Celeina:今、クリエーティブの話もありましたけど、田辺さんのクリエーティブな部分を作り上げている3つのものを挙げるとしたら、何ですか?

田辺:さっきご紹介もいただいたんですけど、結構いろんな国とか街を転々としていてですね。転校が8回か9回ぐらい。転校生って面白くて。仲良くなってはお別れしたりして、また次に新しい学校に行ってっていうのを延々とやっていると、ちょっと面倒くさいっていうのもあるんですけど、もう1つは、ワンチャン次の学校でリベンジできるのでは?バージョンアップできるのでは?みたいな希望もあって。

10代って失敗するじゃないですか。もっと、こうやってデビューすればよかった!というのを、転校ごとに何回もできるんで、自分らしさとかにあまりこだわらずに、行った先で新しいことを始めたりとか、新しい自分のキャラ設定をやってみたりとか、そういうのが結構、仕事につながってると思います。

Celeina:なるほど。

田辺:芸風って固まりがちじゃないですか。でも流れで違うところに行ったら、全然違うものが目の前に出てきて、こだわらずに結構変化していってもいいなって。

タカノ:面白いですね。環境がアップデートされるみたいな。

田辺:残りの2つは、旅と仕事なんですけど。この2つ、ほぼ一緒で。旅も、撮影だったり、ほとんど仕事が連れて行ってくれる場合が多いです。夢無子の話もありましたけど、僕もアマゾンに行っていて、一時はもう僻地芸人みたいになって(笑)。

タカノ:いい言葉ですね(笑)。

田辺:Zoomとかで背景を変えられるじゃないですか。本当の氷河とかアマゾンを背景にZoomをやるんですけど、もう壁紙みたいになって、結構お客さんがヒくというか。旅、面白いですよね。常識が全く違う人がいろんな国にいるんで、自分の常識の、ちっぽけな部分を旅は教えてくれるというか。

タカノ:これ難しいと思うんですけれども、今まで行ったところでベストプレイスってありますか?

田辺:夢無子に先に言われちゃったのが嫌なんですけど、アマゾンはすごかったです。

タカノ:どんなお仕事で行かれたんですか?

田辺:ドキュメンタリーのを撮っていて。アマゾンで遠い集落の子供たちに医療を教えるピエロの集団がいるんですよ。その人たちを撮りに行ってたんですね。

タカノ:やっぱり全然カルチャーが違いました?

田辺:違いますね。特に、奥に行けば行くほど電波もないわ、デジタルが何もないんで、もう目の前のことだけにお互い集中してるという。

タカノ:食べ物とかどうされたんですか?

田辺:お魚が美味しかったですよ。

タカノ:アマゾン川で釣れたフレッシュなお魚を。

Celeina:お仕事でも旅が多いと仰っていましたけど、田辺さんの旅のマストハブ、毎回持って行くものとかってありますか?

田辺:装備が薄いことで僕、有名で。ちょっと深く考えていないというのもあるんですけど。プロデューサーの方とかと現地で合流したりすると「なぜ、その格好で来た?」みたいな(笑)。寒いところとか山奥とか行くときにも、渋谷と同じ感覚で行っちゃったりするんで。

タカノ:面白い。

Celeina:それは現地で調達するんですか? それとも、そのまま渋谷スタイルで生き延びるんですか?

田辺:いや、すぐギブアップします(笑)すいませんでしたみたいな。

タカノ:そんな中で、これがあって良かったっていうのは何かありますか?

田辺:やっぱり音楽ですかね。あとは、香りを持っていくんですよ。朝起きて、「ここ、どこだっけ?」みたいなことが結構多かったりするんで。ちょっとオシャレっぽいことを言ってますけど、香りを持ち込むと、どこにいても何となく同じ気分でいられるというか。

Celeina:へえ。

田辺:それだけ持ってますね。そんなものよりアウターを持ってこいよって話なんですが(笑)。

タカノ:ハーブとか?

田辺:眉間とかこめかみにポッとやるのがあるんですよ。

Celeina:なるほど。どこにいるか分からないぐらいお忙しい田辺さんですが、例えば今、頭の中でプロジェクトって同時に何個ぐらい進んでいるんですか? やっぱり1個ずつ集中型ですか?

田辺:複数ある時も、もちろんあるんですけど、「この日にやることはこれ!」と、はっきり決めちゃうタイプです。例えば、今日はもう「これの日!」って決めて。他の案件も、いろいろご連絡いただくんですけど、「今日はこの日」っていうのを決めて。半日単位のときもあるんですけど、あんまり同時にいろいろなことをできないんですよ。

Celeina:なるほど。田辺さんのタイムキーピングのやり方もお伺いできて、面白いですね。このあたりで1曲お送りしたいと思うんですけれども、田辺さん、この時間にラジオでみんなで一緒に聴きたい曲を選んでいただきました。どんな曲でしょうか?

田辺:さっきご紹介にもあった満島ひかりさんの新曲の“Shadow Dance”という曲で、大沢伸一さん、MONDO GROSSOがプロデュースをしています。MVのディレクションをやらせていただいたのでMVも見てくださいというスケベ心で(笑)。よろしくお願いします。

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