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Summer Eyeの知るって幸せ

この記事を読めば、塩のことが好きになる。たばこと塩の博物館へ

2023.11.22

#ART

「知る幸せ」と書いて「知幸」。知ることや学ぶことの幸せ・喜びを体現するSummer Eyeこと夏目知幸が訪れたのは、前回に引き続きたばこと塩の博物館です。「たばこ編」に続き、今回は「塩編」をお届けします。

これを読めば「君は僕の塩!」というセリフが「アイラビュー」になる

ユーアー・マイ・サンシャイン! 君は僕の太陽! なんて言われた日にゃメロメロになりますけども、ユーアー・マイ・ソルト! とは誰も言わないし言われても「は?」だ。え? ソルト? 塩? 意味ワカンナイ。いやむしろ気分悪いかも、だって塩対応なんて言葉もあるしダサいことを「しょっぱい」って言ったりもするし「アタシって魅力的じゃないのね……」と凹んじゃう。近年ニッポンの夏は酷く暑いから、水と塩! 生命に必要! ってみんな知ってるのに塩の扱い、塩のカーストは低いままですね。

たばこと塩の博物館の常設展示「塩の世界」を一度覗けばそんな日常が反転するかもしれない。明日世界中の人が見学したら明後日には「君は僕の塩!」というセリフが「アイラビュー」……いやそれ以上に強い意味を持つ言葉になるだろう確信が僕にはある。さあ行こう、塩を知ろう。

夏目少年の塩作りの思い出。意外にも少数派な日本の塩製法

塩で思い出すこと。僕の通っていた小学校では塩作りの授業があった。東京湾岸沿いにあったから地域教育の一環かな。珍しいよね。

まず校舎の屋上に校庭の砂を敷いて塩田を作る。けっこう大変。次に海岸まで行ってバケツで海水を汲み、運び、塩田に撒く。1週間に1〜2度行う。ツラい。最初のうちは遠足気分で海まで歩けたけどすぐ飽きた。1学期中繰り返すと、砂と砂の間に塩の白い結晶が現れ始める。塩田の砂を集めて海水と混ぜて濾す。濃い塩水が取れる。それを煮詰めると塩になる。

自分達で作った塩を舐めると、苦かった。とてもとても苦かった! 不純物がいっぱい入ってたんだろうな。けど味より衝撃的だったのは量。半年かけて作ったのに、ビーカーの底にこびりつく程度しか取れなかった(理科室で煮詰めた)。あの時の虚しさをまだ覚えている。

塩、取るのこんなに大変なのかよ……と思った。その日から今日まで30年、スーパーで売られている塩を見るたびに「お疲れ様です……」という気持ちが沸いていた。

が、展示の初っ端、僕が体験したような塩作りはむしろ少数派だと知る! 現在、世界で1年間に作られる塩の量は約2億8000万トンで、多くは岩塩や塩湖など内陸の塩資源から製造される。海水から作られるのは1/4から1/3! さらに、①海水を濃くして塩水をとる②それを煮詰めて結晶を取る、という2つの工程を組み合わせて塩を作ってるのはもっと少数派らしい。

技術が発展したりスケールが変わっても日本の製塩法は古代から現代までこの①をやって②をやる二段構えのやり方だという。展示ではその歴史を知ることができる。我々に「国民性」があるとしたら塩作りの面倒くささがけっこう影響してそう、と思った。面倒臭いとか言っちゃいけないのかもしれない。手間のかかり方がえぐい。

全国でただ一軒だけ人力で浜に海水を撒く塩作りが「存続」している能登半島・角花家の鉄釜や釜屋が移築復元さている展示がかなり見ものです。2013年まで実際に使われていたそうで、ホンモノのオーラ、やばいっす。

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