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グッド・ミュージックに出会う場所

ジャズ喫茶「いーぐる」 過去と現在を巧みにつなぐ、店主・後藤雅洋さんの選曲哲学

2024.4.25

#MUSIC

中庸とさえいえる、バランスの良さ

ジャズ喫茶といえば、「一家言のある店主が設置したこだわりぬいた高音質のオーディオ環境の中で、膨大かつ希少なレコードコレクションを使ったマニアックな選曲が聴ける」というようなイメージがある。ジャズ喫茶=「クセが強そう」だと思う人も少なくないだろう。しかし、いーぐるはそんなイメージとは異なる店だと僕は思っている。

いわゆるビバップ、ハードバップ、モーダルジャズといったモダンジャズが流れる時間が多めではあるが、エレクトリックなジャズやフュージョン、ソウルジャズやジャズファンク、フリージャズやECM系のヨーロッパのジャズ、さらにはモダン以前の戦前のジャズまで幅広い時代やスタイルのアルバムがまんべんなくかかっている。僕は、いーぐるの選曲にはクセがない、どころか、むしろ中庸でさえあると感じることもある。

しかも、いーぐるの選曲には1990年代から現代までのアルバムも織り交ぜられている。リリースされて間もない新譜が流れていることもあれば、ジャズファンに見落とされがちな1990年代、2000年代の傑作が選ばれることもある。ジャズの長い歴史を広くカバーするようなバランスの良い選曲が特徴と言ってもいい。後藤さんは57年間、ジャズ喫茶のパブリックイメージに沿って過去の名作を楽しませながら、並行して自身の耳にひっかかった新譜を紹介し続けてきた。

壁の額縁にはAncient Infinity Orchestra 『River of Light』(2023)、ジュリアン・ラージ『Speak To Me』(2024)など、近年のアルバムが並ぶ。

そんなスタイルだからこそ、いーぐるはソフトにはこだわらない。かけたい作品がレコードしかなければレコードを選ぶし、CDしかない時代のものならCDでかける。そして、そのどちらで再生しても大丈夫なように、さらにいえば、どんなタイプの音楽でも大丈夫なように、オーディオをセッティングしている。後藤さん曰く「ホットなブルーノートでも、クールなECMでもどちらでもいい音で鳴るオーディオ」。いーぐるはあらゆる面でバランス感にこだわったジャズ喫茶なのだ。

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