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NEWS EVENT SPECIAL SERIES
私たちの「はねやすめ」

餃子とケーキで少し早めの年末気分。今年もよく頑張った

2024.12.20

#OTHER

2024年もそろそろ終わる。クリスマスパーティしたいよね、忘年会もしたいよね、と話していたみらんと小原晩、そして新家菜々子は貪欲にも両方まとめてやっちゃおう! ということに。ということで、今年最後のはねやすめは、手作り餃子とケーキでホームパーティ。

すいもあまいも食べていく(from みらん)

晩ちゃんも菜々子ちゃんも私も、3人でやりたいことは山ほど浮かぶ。今回は餃子とケーキ。そうしてやりたいことだけ決めて、段取りとかはけっこう野放し。当日になって、どうしようかって3人でうかうか晴れている街を歩くのが楽しい。100均の隅で、良い窓からさす良い光を見つけてうれしい。『私たちのはねやすめ』はこんなかんじでいいのだ。

適当に、ほんと適当にいろいろ買って、ホームパーティがはじまった。早速晩ちゃんが椅子に座ったのを見て、今日の自分の役割を理解する。オーケー、私が餃子の種を作るね。

この頃手料理をしなくなったのでどうかなと思ったけど、まな板の上に白菜を置いて包丁を持ったら、頭より体が動いた。大阪に住んでいた頃、ほとんど主婦みたいに毎日料理をしていた時の感覚がすんなり蘇る。ちょっとびっくりしながらも、ふつうに餃子の種が出来た。その間、隣で菜々子ちゃんも実家の餃子の種を作り、晩ちゃんはコンビニでビールを買ってきてくれた。

テーブルにそれぞれ置いたら、けっこう、様になっている。大人になるってこういうことなのかしら、と思ったりして。みんなで餃子を包んでいく。晩ちゃんが真っ先に皮を手に取り、種を乗せたので、え、もしかして包むの得意なの? と見ていたら、そこから見たことない指の動きで皮をうねった。大人もなにも、晩ちゃんでしかない餃子になって、愛おしくて笑う。

菜々子ちゃんはわんぱくだから具を入れすぎて皮が破けている。そんな2人に比べたら、私はなんの変哲もない餃子をどうしてこんなするする包めるんだろうと、これはこれで不思議な気持ちになった。

なるべく部屋に匂いがつかないように、キッチンで餃子を焼く。晩ちゃんはなんでか床に座り、椅子にもたれながらこちらをにんまり見ている。

「もうすぐ出来るから待っててね」って笑顔で言いたいところ、実際に出た言葉が「こういう妖怪いそう」だった。これだから空腹は困る。つい皮肉めいてしまう。ごめんね。写真見返して、かわいさに悶絶したよ。無事に餃子が焼けて、勢いまかせにおりゃーーっと口にはこぶ。

あついっ! あついっ! ん、おいしい! 私が作った種の餃子、よく出来ていてホッとする。菜々子ちゃんはあつすぎて一旦立ち上がり、窓のほうに行って、はふはふして、「あついとなんで上を見ちゃうんだろうね」って言いながら戻ってきた。「なんでだろうね」って話しながら美味しい時間を過ごす。菜々子ちゃんが作った種の餃子を食べてみると、ぜんぜん違うので驚く。とってもおいしい。食べたことない味で、なんとも説明し難いけれど、これが実家の味だと言われれば納得できるような、やさしくてちょっと香ばしいかんじがした。

それからなんとなく作ってみた水餃子も絶品で、たいへん満足。お腹いっぱい。

私はもう動きたくないモードに入ってしまった。すると晩ちゃんが立ち上がり、すごい速さでイチゴをカットしていく。それから菜々子ちゃんもすごい勢いでスポンジにクリームを乗せていく。

そんな、そんな、スピード勝負みたいなかんじで、いいの!? と不安になっていろいろ口出し、ついには手も出し、出来上がったケーキがこちらです。

あらかわいい。なみなみのロウソクと、マツケンも立てて、立派じゃない。

明るい昼下がりで、シャンメリーがさわやか。お腹いっぱいって言いながらつつくケーキはしあわせ。ロウソクって、火をつけなかったらずっと立ててられていいね。

ここには書けない、メンズの話をたくさんしました。

餃子とケーキ(from 小原晩)

遅刻してしまったけれど、2人はにこにこ待っててくれた。にこにこしているひとのそばにいると安心する。不機嫌なひとはこわい。誰かと一緒にいるときはできるだけにこにこしていようってこころのなかで思う。

天気がよくてどこにいても光がちらちらさしこんでいる。スーパーに行くと、2人とも作りたい餃子の種があるようで、いろいろとカゴに入れていく。何も考えていなかったわたしは、何も考えないまま、ぼうっと2人のうしろをついていく。

部屋についても、2人がせっせと白菜を切り、キャベツを切り、としている間、わたしはじっと待っていた。唯一したのは、セブンイレブンにビールを買いに行ったことくらい。なあにもしていない。昼下がりにビールをのんで、ベランダから街を眺めて、ゆっくりしていた。2人は怒ることもなく、刻んでくれた。やさしい2人なのである。

出来上がった種を包む行程には、流石に参加をするけれど、全く上手に包めやしなくて笑われる。怒られなくてよかった。何度やってもうまくいかない。けれど気持ちだけでも見せようと包む包む。一際ぶさいくなのがわたしの包んだ餃子です。みらんちゃんは手際良く餃子を包んでいく。つるつるつる、と包む。菜々子ちゃんは具を入れすぎる癖があるようで、皮をやぶった。けらけら笑う。

ホットプレートで焼く。みらんちゃんが並べてくれる、焼いてくれる。あとはもう食べるだけ。書いて、振り返ってみると、ほんとうに美味しいところだけしかしていない。餃子の出来上がりを待っていると、うきうきしてくる。

まずはみらんちゃんの種のほうの餃子を食べる。みらんちゃんの作った種はSNSにて美味しそうな料理をのせていたりする「おりえ」さんのレシピらしい。おいしい。にっこり、にっこり、にっこり。

そして菜々子ちゃんの種のほうの餃子を食べる。菜々子ちゃんの作った種は菜々子ちゃんの家の肉なし餃子のレシピらしい。椎茸や油揚げなどが入っていて、おいしい。うふふ、うふふ、うふふ。

そのあとケーキの材料を菜々子ちゃんと買いに行く。みらんちゃんはその間に水餃子をつくってくれる。帰ってくると、よい匂いがして、食べさせてもらったら今日いちのおいしさで、ぱあ〜〜〜となる。3人とも、ぱあ〜〜〜となっていた。

それからスーパーに売っているスポンジに生クリームをのせて、切った苺をのせて、生クリームをうわあっとのせて、だんっと完成する。かわいい。

でもケーキより、とんがり帽子をのせたみらんちゃんのほうがかわいい。なにそれ。赤い服を着て。妖精さんみたいだねえ。めでる。写真をパシャパシャとる。皆さんにもお裾分けします。

みらん

1999年生まれのシンガーソングライター。
包容力のある歌声と可憐さと鋭さが共存したソングライティングが魅力。2020年に宅録で制作した1stアルバム『帆風』のリリース、その後多数作品をリリースする中、2022年に、曽我部恵一プロデュースのもと 監督:城定秀夫×脚本:今泉力哉、映画『愛なのに』の主題歌を制作し、2ndアルバム『Ducky』をリリース。その後、久米雄介(Special Favorite Music)をプロデューサーに迎え入れ「夏の僕にも」「レモンの木」「好きなように」を配信リリース、フジテレビ「Love music」でも取り上げられ、カルチャーメディアNiEWにて作家・小原晩と交換日記「窓辺に頬杖つきながら」を連載するなど更なる注目を集める中、新曲「天使のキス」を配信/7inchにてリリースした。2023年12月13日には新作アルバム『WATASHIBOSHI』をリリースする。

小原晩(おばらばん)

小原晩

作家。2022年初のエッセイ集となる『ここで唐揚げ弁当を食べないでください』を自費出版。2023年「小説すばる」に読切小説「発光しましょう」を発表し、話題になる。 9月に初の商業出版作品として『これが生活なのかしらん』を大和書房から刊行。『ここで唐揚げ弁当を食べないでください』(実業之日本社)が11月14日発売予定、全国書店で予約受付中。

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