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あなたにとってのBialystocks

Bialystocks甫木元に届いた、話題の映画監督・山中瑶子からの手紙

2024.12.16

Bialystocks『Songs for the Cryptids』

#PR #MOVIE

甫木元空と菊池剛からなるバンドBialystocks(ビアリストックス)の3rdアルバム『Songs for the Cryptids』のリリースに際した短期連載。Bialystocksの音楽に心を盗まれた人達に、本人に向けたお手紙を綴ってもらった。

3人目は、映画監督の山中瑶子。山中監督の映画『ナミビアの砂漠』で撮影を担当したカメラマンの米倉伸は映画『はだかのゆめ』や甫木元空が監督したあいみょん“ざらめ”のMVでも撮影を担当するなど、作品を通じてお互いを意識する仲。山中がBialystocksのファンになった理由と、甫木元のお茶目な一面をこっそりと。

山中瑶子(やまなか ようこ)
1997年生まれ、長野県出身。19歳で撮影 / 初監督した『あみこ』(2017年)が『PFFアワード2017』で観客賞を受賞。同作品は2018年に『第68回ベルリン国際映画祭』のフォーラム部門に史上最年少で招待されたほか、香港国際映画祭やカナダのファンタジア映画祭など、各国の映画祭で上映され、話題を呼んだ。『ナミビアの砂漠』(2024年)が第77回カンヌ国際映画祭の国際映画批評家連盟賞を女性監督としては最年少で受賞を果たした。

柔軟剤の広告から、焚き火にも似合うアルバム

こんにちは。この手紙を書いている12月初週某日、空がパッカーンとした雲ひとつない晴天です。お正月みたいです。お正月って毎年天気が良いのはなんで?

『Songs for the Cryptids』がリリースされた10月2日、もうすっかり忘れてしまいましたが東京は30度を超えていたようです。あのおかしな暑い時期よりも、今の方が秋っぽい感じがして(ついさっきはお正月みたいだと言ったのに)このアルバムがよりよく合います。

ここしばらく朝夕と聴いていますが、いやBialystocksすごいな、かっこいいなと日々思うわけです。無理やり身体を起こした朝に聴けば、いつからか気分が良くなってきてもう何でも大丈夫だ! と思えるし、夜遅くに帰宅して、朝と変わらず散らかったままの部屋に対してなんの感情も湧かないむなしさにもよく似合いました。それはつまり、柔軟剤の広告ソングにも適している一方で、山奥でパチパチ鳴る焚き火を囲うときにも合う音楽ということで(?)、これは本当にすごいアルバムですよ。

LION「ソフラン エアリス」CMソングに起用された

わたしは“聞かせて”が特に好きなんですが、歌詞を見てみるとその理由が何となくわかります。

<意味など無いけど忘れる日々を ohh 響かせ>
<大事な事ばかり続く 大した日々ではない>

突き放したと思ったら引き寄せ、引き寄せたと思ったら突き放す感じもたまらないです。べつに現状の自分や生活を肯定されて背中を押してもらえるなんていうことを言うつもりはなくて、むしろ、日々起こる一つひとつにいちいち意味とかないし、忘れていくけど、でもそれの何が悪いんだっけ? そんなもんではないか。生と死は反対のもではなくて地続きのものであり、過ぎ去ったものともたらされるもの、ぜんぶに区別がなく、動き続けているあわいにあるものなんだと、そんなことを感じるのです!

そもそもBialystocksの良さは、とっても軽やかであるところだと思います。それは音源もMVもライブもそうで、深層を感じさせながらものびのびとした軽さ、風通しの良さがあって、そこにはちゃんと言葉と音との戯れがあるのです。

わたしは「仲間」とか「みんなで一丸となってものを作る」とかいうのがきらいなんですが、お2人は普段はそれぞれ独立して違うところを見据えていながらも、でもやるときはやるという感じがとっても素敵だと思います。音楽家の小田朋美さんがとある別のライブでの演奏について、「お互いに目は合わなくても頭のてっぺんから生えた透明の糸で繋がっている感覚」と言っていて、それを聞いたわたしは、自分の映画の現場もそうありたいなと思ったのですが、それはわたしがBialystocksの活動にずっと感じていたことでもあったのでした。

とか、こんなに偉そうに語ったけれど、お互いの映画の共通のカメラマンである米倉さんを通してはじめて甫木元さんと会ったとき、「映画監督でバンドもやっている」と紹介されて、へえ。ふうん。と思っていました。

そんな人がいるんだ、なんだか器用そうで、信用できないなと思って、しばらく聴いてすらいなかったんですよ! ものすごい偏見でびっくりですね。半年後くらいにやっとファーストアルバム『ビアリストックス』を聴いたら、良すぎて笑ってしまいました。

その偏見はわりとすぐに解消され、甫木元さんの音楽と映画づくりに対し粛々と、淡々と向かう姿勢を、今ではめっちゃ尊敬しています!

甫木元のエネルギー源はサラダ煎餅? 

いつ休んでいるんだろうかと会うたび心配になるくらい、3人くらいいないと無理だよねということを甫木元さんはやっているわけですが、忘れもしない昨年の夏にこんなことがありましたね。

わたしが机に置いておいた12個くらい入った磯辺揚げをテイクフリーだと思った甫木元さんが、目を離したすきにあっという間に平らげ残ったゴミを目の当たりにした、その時は驚きましたがそりゃあそんだけ活動していたら消費カロリーすごいだろうなあと今では大納得しています。わたしが「なんで全部食べるの!?」と詰めたら、ごめんなさい無意識に! と走っていってサラダ煎餅とかお菓子をたくさん買ってきてくれましたが、そのサラダ煎餅も気づいたら甫木元さんが全部食べていました。その後いつだったか、エネルギーをあげようとチョコレートをあげたら、チョコは嫌いだからと断られたのが面白かったです。

甫木元から山中に、最近また贈られたというサラダ煎餅

ますますお忙しくなりそうですが、からだに気をつけて、これからもBialystocksがつくる音楽を楽しみにしています。ぜひあの愛らしくも妙ちくりんなMVと共に!

Bialystocks『Songs for the Cryptids』

2024年10月2日(水)発売
■[CD+Blu-ray] PCCA-06324 / 5,500円(税込)
■[CD ONLY] PCCA-06325/ 3,300円(税込)

<CD>(全10曲)
1.空も飛べない
2.Kids
3.近頃
4.憧れの人生
5.虹
6.聞かせて
7.Mirror
8.頬杖
9.幸せのまわり道
10.Branches

<Blu-ray>
Bialystocks 2nd Tour 2023 – EX THEATER ROPPONGI
1.Nevermore
2.コーラ・バナナ・ミュージック
3.花束
4.またたき
5.Emptyman
6.Over Now
7.ただで太った人生
8.差し色
9.朝靄
10.All Too Soon
11.灯台
12.フーテン
13.あくびのカーブ
14.Winter
15.Thank You
16.頬杖
17.I Don’t Have a Pen
18.Branches
19.Upon You
20.光のあと
21.日々の手触り
22.雨宿り

配信リンク:https://lnk.to/SongsfortheCryptids

『ナミビアの砂漠』

脚本・監督:山中瑶子
出演:河合優実
金子大地 寛一郎
新谷ゆづみ 中島歩 唐田えりか
渋谷采郁 澁谷麻美 倉田萌衣 伊島空
堀部圭亮 渡辺真起子
製作:『ナミビアの砂漠』製作委員会
企画製作・配給:ハピネットファントム・スタジオ
©2024『ナミビアの砂漠』製作委員会
公式サイト happinet-phantom.com/namibia-movie
公式X   @namibia_movie
公式Instagram @namibia_movie
2024年/日本/カラー/スタンダード/5.1ch/137分/PG12

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