ぺぺぺの会の舞台『悲円 -pi-yen-』が3月26日(水)から31日(月)まで、東京・蒲田のギャラリー南製作所で上演される。
ぺぺぺの会は、宮澤大和が2018年に結成した、令和時代のあたらしいアートを作ろうとする人々の集まり。2020年には『No.1 Pure Pedigree』がこりっち舞台芸術祭の最終審査にノミネートされ、2021年には、兵庫・豊岡で行われた演劇人コンクールの最終審査に出場した。
『悲円 -pi-yen-』は、劇作家の宮澤が自らの投資体験をもとに書き上げた新作長編。「新NISA」「投資」「FIRE」の3つのテーマと、チェーホフの『ワーニャ伯父さん』をかけ合わせ、労働の報われない努力と人生の無意味感を描き出す。
作 / 演出を務めるのは宮澤。出演者には、石塚晴日、熊野乃妃、佐藤鈴奈、宮崎明音、侑沙、村田活彦、岸本昌也が名を連ねている。また同公演のチケットは、作品テーマである「投資」に合わせ、「日経平均株価に準じた価格変動制」を採用している。

2024年は「新NISA元年」と呼ばれた。これまでのNISA制度よりもさらに非課税枠が増えて投資を始めるハードルは格段に下がったといえる。その頃からぼくの周囲でも投資の話をする人が増えた。
作・演出 宮澤大和
投資で一発当てて、もしも経済的自立(投資のリターンによって得られる収益だけで生活をすること)を達成できたら仕事を辞めて田舎暮らしでもしようかな。東京で身も心もすり減らすのは散々だ。
ただの飲み会での与太話。だけれども、この会話はなんだか「現代」を克明に描写しているようなしているような気がして、ぼくの心をきゅっと掴んで離さなかった。
次に演劇をつくるときには「新NISA」を、「投資」をテーマにしようと決めたからには、すぐさま証券口座を開設してぼくも投資を始めてみた。
投資を始めて、わりに真剣に投資対象や金融経済をリサーチしていると世界の見えかたがだんだんと変わってきた。演劇を始めたばかりの頃も、世界そのものが大きな「演劇」に見えてきた感覚とちょっと似ている。今、ぼくにはこの世界が大きな「経済の演劇」に見えている。
新NISAをテーマにした演劇は最終的にアントン・チェーホフの名作『ワーニャ伯父さん』と結びついて、実を結ぶようにして新たな物語が生まれた。
どうしてチェーホフだったのか。どうして『ワーニャ伯父さん』だったのか。理由を述べることはできるにはできる。けれど、述べられる理由はすべて後から付いてきたものであるような気がしてならなかった。
あの時、『ワーニャ伯父さん』と投資にまつわるあれこれが結びついた、あの瞬間の静かな電撃がこの作品には込められてある。
ぺぺぺの会『悲円 -pi-yen-』

出演:
石塚晴日、熊野乃妃、佐藤鈴奈、宮崎明音、侑沙、村田活彦、岸本昌也
あらすじ:
パパから引き継いだ畑でブドウを栽培している
歳を取っていくらか面倒になった母親をいつからだろう、クソババァと心のなかで蔑むようになったのは
いつも比較されて、いつも自分はほかの誰よりも劣ってるのだと思って生きてきた、
一発逆転してェ……
そこにやって来たのはFIREを達成したと自称するインフルエンサーの二人組、奴らは夜な夜なライブ配信をしてこう喧伝する
ー今! まさに今! 日本円はとても悲しい運命を辿ってる最中なんです🥺
劇作家が自らの投資体験をもとに書き上げた、ぺぺぺの会のワンダフルな新作長編
「貯蓄から投資へ」「一億総投資家」社会がもたらす功罪、経済はますます私たちの生活を侵食していく
公演日時:
3/26(水) 19:30
3/27(木) 19:30
3/28(金) 19:30
3/29(土) 14:00 18:00
3/30(日) 14:00 18:00
3/31(月) 15:00
※受付開始・開場は開演の30分前
会場:
ギャラリー南製作所(京急蒲田駅から徒歩15分、京急空港線糀谷駅から徒歩13分)
〒144-0034 東京都大田区西糀谷2-22-2
チケット 2/1(土)20:00販売開始:
日経平均株価に準じた価格変動制を採用しています。
事前精算 https://piyen.peatix.com (Peatix)
毎週金曜の日経平均株価の終値(15:30時点)×0.09が翌週のチケット料金になります。
例:1/17(金)の日経平均株価終値38,451.46円×0.09 = 3,460円が、翌週1/20(月)~1/27(日)まで適応となります。
当日精算・当日券 https://shibai-engine.net/prism/webform.php?d=t75siklx(シバイエンジン)
ご観劇日当日の日経平均株価の始値(9:00時点)×0.09がチケット料金になります。上記予約サイトにてチケット予約をし、会場にてお支払いいただくか、当日会場にてお買い求めください。
スタッフ:
作・演出:宮澤大和、演出補佐:坂本奈央(終のすみか)、舞台監督:星善之(ほしぷろ・旅するたたき場)、照明:男山愛弓、作曲・音響:水瀬時帆、宣伝美術:羽田朱音、制作企画:石塚晴日、制作経理:佐藤鈴奈
主催:ぺぺぺの会
助成:公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京 [東京芸術文化創造発信助成]
問い合わせ:pepepeclub@gmail.com(制作)