『大絶滅展―生命史のビッグファイブ』が、東京・上野の国立科学博物館で11月1日（土）から2026年2月23日（月・祝）まで開催される。
生命が誕生してから40億年、小天体の衝突や火山の噴火など、地球上では幾度もの生命の危機が訪れているが、同展ではその中でも規模の大きかった5回の「大量絶滅」事変（通称：ビッグファイブ）を化石や岩石に残された様々な証拠から紐解き、「生き物たち」の生存をかけた進化の歴史を辿る。
「ビッグファイブ」とされるのは、約4億4400万年前のオルドビス紀末、約3億7200万年前のデボン紀後期、約2億5200万年前のペルム紀末、約2億100万年前の三畳紀末、約6600万年前の白亜紀末。通常は100万年ごとに10％程度の種が絶滅すると考えられているが、「大量絶滅」では短期間に75％以上もの分類群が絶滅したとされ、生命はその都度、したたかにそれらの危機を乗り越え、絶滅したグループに代わるグループが新たに繁栄することを繰り返して多様性を増加させてきた。
「ビッグファイブ」をテーマとする特別展は、国立科学博物館では初。各種の古生物や火山、古気候、古海洋などを専門とする国立科学博物館の研究者10名による監修で、様々な角度から5回の大量絶滅の謎に迫る。
監修者メッセージ
総合監修 矢部 淳（国立科学博物館 地学研究部 生命進化史研究グループ 研究主幹）
生命の歴史を大きく方向づけてきた「ビッグファイブ」は、現在、世界中の研究者が解明に取り組んでいる生命史研究上の大きなテーマです。小天体の衝突により恐竜が“絶滅”したことで一般にもよく知られる5回目の大量絶滅、中生代／新生代境界（K-Pg境界）の事変だけでなく、他の4回の事変についても、その概要が少しずつ理解されつつあります。本展では、科博の古生物研究者全員と火山の研究者が協力して、文字通り、私たちの知識と人脈をフル活用し、ビッグファイブの最新研究を紹介します。
中でも本展では、ビッグファイブのいくつかと深く関わるモロッコにおいて、オルドビス紀末の絶滅前の世界を垣間見ることができる「フェズアタ生物群」の化石や、デボン紀の巨大魚類ダンクルオステウスなどの発掘、三畳紀末の絶滅に関わる火山活動の調査なども実施しました。これらの世界初公開の調査結果をはじめ、本邦初公開となる標本・情報が満載です。ぜひ、ご期待ください。
『特別展「大絶滅展―生命史のビッグファイブ」』
会期：2025年11月1日(土)～2026年2月23日（月・祝）
会場：国立科学博物館［東京・上野公園］（〒110-8718 東京都台東区上野公園7-20）
主催：国立科学博物館、NHK、NHKプロモーション、読売新聞社
協賛：光村印刷
お問い合わせ：050-5541-8600(ハローダイヤル)、03-5814-9898(FAX)
監修：
矢部 淳 （総合監修、国立科学博物館 地学研究部 生命進化史研究グループ 研究主幹）
佐野 貴司 （国立科学博物館 地学研究部 鉱物科学研究グループ長）
甲能 直樹 （国立科学博物館 地学研究部 生命進化史研究グループ長）
重田 康成 （国立科学博物館 地学研究部 環境変動史研究グループ長）
對比地 孝亘（国立科学博物館 地学研究部 生命進化史研究グループ 研究主幹）
木村 由莉 （国立科学博物館 地学研究部 生命進化史研究グループ 研究主幹）
齋藤 めぐみ（国立科学博物館 地学研究部 環境変動史研究グループ 研究主幹）
久保田 好美（国立科学博物館 地学研究部 環境変動史研究グループ 研究主幹）
芳賀 拓真 （国立科学博物館 地学研究部 環境変動史研究グループ 研究主幹）
三上 智之 （国立科学博物館 地学研究部 日本学術振興会 特別研究員PD）
