3月15日(土)から公開される映画『逃走』の予告編が解禁された。
同作は半世紀に及ぶ逃亡の果てに末期がんで孤独に亡くなった、東アジア半日武装戦線「さそり」の元メンバー・桐島聡の人生を描く。主演は足立監督が熱望した古舘寛治が務め、寡黙ながらも奥深い演技で謎多き桐島を演じる。若き日の桐島は、『第41回ヨコハマ映画祭』最優秀新人賞、『第34回高崎映画祭』最優秀新人男優賞を受賞した杉田雷麟が演じる。そのほかに、中村映里子、タモト清嵐、吉岡睦雄、松浦祐也、川瀬陽太、足立智充らが名を連ねている。
監督は、安倍晋三元首相襲撃犯を描いた映画『REVOLUTION+1』で話題を呼んだ足立正生が務めた。足立は多くの若松孝二作品の脚本を務めたほか、大島渚監督の作品にも参加するなど、異色の世界観を書き上げてきた。その後、日本赤軍に身を投じ、27年間日本を離れるも、帰国後は再び映画監督として活動を再開。同作は「偽名で生きた内田洋から桐島聡への回帰、そこには多くの謎があり、逃亡生活の終焉と自らの死を予感した“革命への確信”その証は、映画でしか描けない」という思いから制作された。
東アジア反日武装戦線「さそり」は、1970年代に連続企業爆破事件などを起こした新左翼過激派集団。そのメンバーだった桐島は指名手配犯となり、逃亡生活を余儀なくされる。日雇い仕事を転々とし、「内田洋」の偽名で神奈川県藤沢市の工務店で住み込みの仕事に就いた桐島は、音楽を愛する一面を持ちながらも、かつての仲間たちの運命が脳裏をよぎる。そして、70歳となった2024年に末期がんと診断され、病院のベッドで生死の境を彷徨た桐島は、死の間際に「私は桐島聡です」と明かす。彼が生涯をかけて追い求めたものとは、名乗り出たその真意とは、足立監督が自身の半生と重ねながら、桐島の苦悩と決意を描き出す。
予告編では、70歳となった桐島聡が自らの素性を明かす場面から始まり「49年前に起きた爆破逃走のメンバーの一人です」と語る静かな声が響く。その後、学生運動で封鎖中の早稲田大学で演奏されたことで知られる山下洋輔トリオ”DANCING古事記”による楽器同士が複雑に絡み合うジャズが流れ出し、映像は若き日の桐島聡を映し出す。「逃亡生活への終焉」「革命への回帰」というテロップと、若き日と老いた姿の桐島聡がすれ違い、お互いが振り返るカットが流れたあとは、かつての仲間たちと共に青酸カリのカプセルが配られる場面などが挿入され、逃亡の過酷さも垣間見える。そして、老いた桐島が「俺は一人で逃げ続けてみせるよ」と言葉を放った直後、医師から病気がステージ4で寿命が1週間であると宣告を受ける。以降も「戦い続ける」と語る様子が出てくる一方で、ギターを弾き語りをする姿など音楽を愛していた一面も描かれた映像は、「別人として生きた半世紀、孤独の底で男が見たものとは」というテロップで締めくくられる。
『逃走』
2025年3月15日(土)よりユーロスペースほか全国順次公開
監督・脚本:足立正生
出演:古舘寛治
杉田雷麟 タモト清嵐 吉岡睦雄 松浦祐也 川瀬陽太 足立智充 中村映里子
遊屋慎太郎 小橋川建 神嶋里花 永瀬未留 さいとうなり 伊島空 東龍之介 神田 青
瓜生和成 宮部純子 大川裕明 小水たいが 浦山佳樹 枝元萌 木村知貴
内田周作 佐藤五郎 岩瀬亮 輝 有子 信太昌之 大谷亮介
企画:足立組
エグゼクティブプロデューサー:平野悠 統括プロデュ―サー:小林三四郎
アソシエイトプロデュ―サー:加藤梅造 ラインプロデューサー:藤原恵美子
音楽:大友良英 撮影監督:山崎裕 録音:大竹修二 美術:黒川通利 スタイリスト:網野正和
ヘアメイク:清水美穂 制作:渡辺美穂 編集:蛭田智子 助監督:鎌田義孝 山嵜晋平 スチール:西垣内牧子
題字:赤松陽構造 キャスティング:新井康太 企画協力:寺脇研 宣伝デザイン:100KG
字幕制作:スタンスカンパニー 英語字幕:桜本有三 挿入曲:「DANCING古事記」(山下洋輔トリオ)
【2025年|日本|DCP|5.1ch|114分】(英題:ESCAPE)©「逃走」制作プロジェクト2025
配給・制作:太秦 製作:LOFT CINEMA 太秦 足立組