8月23日(金)から全国公開される安部公房の同名小説を映画化した『箱男』の場面写真が解禁された。
原作の『箱男』は1973年に発表され、「急死しなければ『ノーベル文学賞』を受けていた」と言われた安部公房の代表作の一つ。複雑な構成と難解な内容から映像化は困難と言われ、ハリウッド等の映画監督が原作権の取得を試みるも、安部サイドが許諾していなかった。その後、安部本人が『狂い咲きサンダーロード』などで知られる石井岳龍(当時は石井聰亙)に映画化を託し、1997年に製作が決定したものの、クランクイン前日に撮影が頓挫し幻の企画となっていた。
安部の生誕100年にあたる2024年に、諦めなかった石井が監督を務め映画化を実現させた同作。主演は1997年にも主演が決定していた永瀬正敏が務めるほか、永瀬と同じく27年越しの出演となる佐藤浩市のほか、浅野忠信や白本彩奈らが出演することが発表されていた。また、同作は2月にドイツで開催された『第74回ベルリン国際映画祭』の「ベルリナーレスペシャル」部門に正式出品され、ワールドプレミアが行われたほか、7月にアメリカ・ニューヨークで開催される『JAPAN CUTS 2024』にも出品が決定。世界中に読者を持つ安部の小説の映像化に海外からも注目が集まっている。
今回解禁された場面写真は、ダンボールを頭から被り、街中に溶け込み、一方的に世界を覗き見る箱男」に心を奪われ、「本物」の箱男になろうとする永瀬正敏演じるカメラマンの「わたし」と、箱男の存在を乗っ取ろうと画策する浅野忠信演じる「ニセ箱男」を捉えた場面。
箱男の「この街に箱男は2人要らないつってんだ!」という掛け声と共に切って落とされた戦いの火ぶたのさなか、互いに箱を被ったまま走り回り、銃に対して砂をつめたワニのぬいぐるみを武器に戦ったり、取っ組み合いのアクションを繰り広げたりと、迫力のシーンが公開された。
映画『箱男』
出演:永瀬正敏 浅野忠信 白本彩奈/佐藤浩市 渋川清彦 中村優子 川瀬陽太
監督:石井岳龍 原作:安部公房「箱男」(新潮社)
脚本:いながききよたか、石井岳龍
プロデューサー:小西啓介、関友彦
製作:映画『箱男』製作委員会
製作幹事・配給:ハピネットファントム・スタジオ
制作プロダクション:コギトワークス
PG12
ⓒ2024 The Box Man Film Partners
<STORY>
完全な孤立、完全な孤独を得て、社会の螺旋から外れた「本物」の存在。ダンボールを頭からすっぽりと被り、街中に存在し、一方的に世界を覗き見る『箱男』。カメラマンである“わたし”(永瀬正敏)は、偶然目にした箱男に心を奪われ、自らもダンボールをかぶり、箱男としての一歩を踏み出すことに。しかし、本物の『箱男』になる道は険しく、数々の試練と危険が襲いかかる。存在を乗っ取ろうとするニセ箱男(浅野忠信)、完全犯罪に利用しようと企む軍医(佐藤浩市)、 “わたし”を誘惑する謎の女・葉子(白本彩奈)……。果たして“わたし”は本物の『箱男』になれるのか。そして、犯罪を目論むニセモノたちとの戦いの行方はー!?