劇団・贅沢貧乏の5年ぶりとなる新作公演が発表された。12月に東京・三軒茶屋のシアタートラムにて上演される。
贅沢貧乏は作家 / 演出家 / 俳優の山田由梨が2012年に旗揚げし、俳優の大竹このみ、田島ゆみか、青山祥子、制作の堀朝美の5名が所属。舞台と客席、現実と異世界、正常と狂気の境界線を行き交いながら、現代の日本社会が抱える問題をポップに昇華して浮かび上がらせる作風が特徴。一軒家やアパートを長期的に借りて創作および上演する「家プロジェクト」や、東京芸術劇場で上演した『フィクション・シティー』(2017年)、『ミクスチュア』(2019年)など場所性に合わせた作劇を得意としている。
また、2019年初演の『わかろうとはおもっているけど』がフランス・パリの『フェスティバル・ドートンヌ』公式プログラムとして2022年に上演されたほか、2015年に初演を迎えた『みんなよるがこわい』の中国版が中国各地で上演されるなど、国外でも活動の幅を広げている。
今回発表された公演は、『岸田國士戯曲賞』にノミネートされた『ミクスチュア』以来、5年ぶりの書き下ろしとなる新作で、世田谷パブリックシアターとの提携公演として実施。白井晃芸術監督が新設した若手カンパニーをサポートする取り組み「フィーチャード・シアター」の初年度カンパニー公演となる。
山田が同作で描くのは、人間の「不調」について。自身の「不調」の経験をもとに、切実でコミカルな「鬱コメディ」を通して、不調を抱えている人でも鑑賞できるやさしい公演を目指す。出演者には贅沢貧乏劇団員の大竹このみ、田島ゆみか、青山祥子が決定している。そのほか出演者などの詳細は7月上旬に追って発表予定。
こんにちは。贅沢貧乏の山田由梨です。今年の12月に、とても久々に新作公演をやります。
山田由梨
海外での再演公演などはしていたものの、実に5年ぶりの新作となります。
殊更に5年ぶりとか強調したいわけではないんですけど(それくらい結構すぐ経つし、コロナも色んなこともあった)でも久々であることに変わりはなく、少々の緊張と、たのしみなきもちと、新たな気持ちでやるぞ、という気持ちと、なつかしい気持ちがあります。
今回やる公演では、自分の季節性のくりかえすウツの経験を元に、コミカルで不思議な、ウツコメディとでも言いましょうか…とにかく不調という現象を書いてみたいと思ってます。不調の人もみれるやさしい公演を目指します。なぜなら私も不調の可能性があるから。不調の人も、過去に不調だった人も、今後不調になりそうな人もみにきて下さると幸いです。
◆山田由梨(やまだ・ゆり)
1992年東京生まれ。作家・演出家・俳優。
立教大学在学中に「贅沢貧乏」を旗揚げ。俳優として映画・ドラマ・CMへ出演するほか、小説執筆、ドラマ脚本・監督も手がける。『フィクション・シティー』(17年)、『ミクスチュア』(19年)で岸田國士戯曲賞ノミネート。セゾン文化財団セゾンフェローI。21年、23年にはかながわ
短編演劇アワード 県内高校生選抜大会 審査員を務める。主な担当ドラマに、Abema TVオリジナルドラマ「17.3 about a sex」「30までにとうるさくて」脚本。NHK夜ドラ「作りたい女と食べたい女」脚本。WOWOWオリジナルドラマ「にんげんこわい」では脚本・監督として参加。 https://yuriyamada.jp/
贅沢貧乏(ぜいたくびんぼう)
2012年旗揚げ、東京を拠点とする劇団。山田由梨が全作品の作・演出を務め、俳優の大竹このみ・田島ゆみか・青山祥子、制作の堀朝美の5名が所属している。舞台と客席、現実と異世界、正常と狂気の境界線をシームレスに行き来しながら、現代の日本社会が抱える問題をポップにかろやかに浮かび上がらせる作風を特徴とする。2014年より一軒家やアパートを長期的に借りて創作・上演する「家プロジェクト」の活動を展開。『フィクション・シティー』(2017年)、『ミクスチュア』(2019年)で岸田國士戯曲賞にノミネート。『みんなよるがこわい』(2015年初演)の中国版が中国でツアー中、『わかろうとはおもっているけど』(2019年初演)が2022年フェスティバル・ドートンヌ公式プログラムとしてパリで上演されるなど国内外で活動の幅を広げている。