沢木耕太郎のブックエッセイ『夢ノ町本通り』が9月29日(金)に新潮社より刊行された。
『テロルの決算』で大宅壮一ノンフィクション賞、82年『一瞬の夏』で新田次郎文学賞を受賞し、その後も『深夜特急』『檀』などの名作を発表した沢木耕太郎。同作は、沢木の幼少期から現在に至るまでに出会った無数の本にまつわる36編のエッセイを収録している。また、『深夜特急』の直前、26歳の時に書いた単行本未収録のエッセイ「書店という街よ、どこへ?」も初収録されている。
腹ばいになって本を読んでいた幼年時代から、はるかな年月が過ぎた。
(「あとがき――甘美な記憶」より)
しかし、あらためて、いまに至ってもなお、私の「甘美な時間」がほとんど変わっていないことに、あらためて驚かされる。
本を読むこと、スポーツをしたり見たりすること、映画を見ること、そして旅をすること。
最後の「旅をすること」だけは、中学生になってから覚えたが、それ以外の三つは、小学生時代の幼い頃に覚え、いまに至るまでほとんど変わることがないものである。
そして、これから先も、たぶん変わらないだろうと思う。この眼と足が確かなうちは。