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配信で見てくれた人の感動だって本物
―ちなみに、今、演劇でも音楽でも、フィジカルと配信の両立をどうするかっていうのが切迫した問題だと思うんですよね。範宙遊泳は映像も配信されていますけれど、お二人のスタンスっていうのはどうなんでしょう。
曽我部:音楽に関して言うと、フィジカルと配信で内容がほぼ変わらないんですけれど、演劇は、配信っていっても全然違いますもんね。
山本:そうなんですよね。そこが常々考えてきたことだったんですよね。確かに生で観てもらうことがとても重要なんだけれども、配信で見てもらった人には別の正解があると思うんですよ。配信で感動したらそれはそれで本物なので。たまにいるんですよね、「範宙、見たことあります。でも配信です、すいません」っていう方が。
曽我部:それは全然あり?
山本:全然ありです。もう、どんどん配信を見てくださいって。
曽我部:僕らだと、ライブの現場と配信の違いっていう感覚ですね、おそらく。
山本:そうですよね。あと、配信のおかげで越えられたものもたくさんあったんですよね。中国の人が見てくれたりとか。
曽我部:えー。それは字幕が出るのかな?
山本:そうみたいです。日本語を勉強している人とかもいたりしますし。
曽我部:素晴らしい、そっか。
山本:そうそう、中国では意外と範宙遊泳は知られているっていう。韓国から配信を見て興味を持って、日本でワークショップを受けてくれるケースもありました。それはもう本当にやってよかったなとも思うし。
曽我部:なるほど。出せば出すほどいいってことですかね、ネット上にだって。
山本:僕はそう思いますけれどね。

曽我部:今は範宙遊泳の作品はネット上で見られるものっていうのは結構あるんですか?
山本:10本ぐらいありますね。
曽我部:ああ、そうですか。見てみよう。でも、今の話を聞くと、配信で感動した人の感動を生で観た人が否定することは絶対にできないし、その人の感動っていうのは本物なわけですよね。配信は色々な意味でサイズが小さくなっているかもしれないけど、その感動のサイズまで小さいわけじゃないものね。
山本:そうなんですよ。
曽我部:そっかそっか。目から鱗が落ちました。僕はこれまでライブの配信に躊躇があって、生配信しても、アーカイブは残さなかったりしたんですけれども、全然そんなこと考えなくていいですね。それはバンド側の問題だから。