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ゆうめいの池田亮インタビュー 『岸田國士戯曲賞』受賞作家は美大時代、墓石を掘りたかった

2024.9.5

#STAGE

彫刻は見るひとがいなくても成立するが、演劇は観客がいないと成立しない

ー『ハートランド』の戯曲のあとがきで、「演劇でしかできないことをやりたい」って書かれていますが、彫刻でしかできないことと演劇でしかできないことってなんでしょう?

池田:極論を言ってしまえば、見る人がいなくても成立して、作品がモノとして残り続けるのが彫刻なんじゃないかなって。それはチェルフィッチュの岡田利規さんがこの前やっていた『消しゴム山』という公演にも通じることなんですけど、他の人には見えずともどこかに存在するのが彫刻かなって。

池田:一方、演劇は観られないと成立しない。それに、お客さんが舞台と同じ時間を共有して、目の前に本人とは別の役をやっている俳優が存在する。その関係がすごく大事なんじゃないかと思っていて。でもこの先演劇は変わっていくんでしょうね。AIをはじめ色々なテクノロジーが出てきているわけで、変らざるを得ない。今回作品に生身の俳優さんがホログラムとして出てくる場面を入れたのも、そういう理由があってのことなんです。

ーその演出は演劇を初めて観る人にも、池田さんの作品を初めて観る人にも、新鮮に映るんじゃないでしょうか?

池田:突飛に見えるかもしれないけど、未来の美術館ではこういうこともあり得るかもしれないし、実際に演劇がホログラムになることもあるかもしれない。ただ、その一方で、ホログラムでは表現できないものもあると思って。この前観に行った演劇で、ある俳優さんが体調不良で降板になって、その人目当てのお客さんが不満の声を漏らしていて。ああ、やっぱりこの俳優さんを生身で観たいんだな、とも思いました。

ーしかし、『球体の球体』の脚本を読ませて頂いて思ったんですが、池田さん、作風の振れ幅が広いですね。変り続けていく劇作家、という印象があります。

池田:そうなんですよね。今回、『ハートランド』とも『養生』ともかなり違うんじゃないかなと思います。色々な作品が書けるようになりたいなと思っていて。それは、作品もそうだけれど、ゆくゆくは会場の大きさも変えていきたい。ギャラリーで1人にしか観せない作品も作ってみたいし、逆に『青森ねぶた祭り』みたいな規模の大きい、たくさんの人に観せる作品もやりたい。そういう振れ幅は大事にしていきたいし、もっともっと広げていきたいと思っていますね。

梅田芸術劇場企画 / 制作 / 主催 舞台『球体の球体』

●脚本・演出・美術:池田亮
●出演:新原泰佑 小栗基裕(s**t kingz) 前原瑞樹 / 相島一之
●日程:2024年9月14日(土)~9月29日(日)
●一般発売日:7月27日(土)
●料金=8,800円(税込み、全席指定)
●会場:シアタートラム
●企画・制作・主催:梅田芸術劇場
●公式ホームページ:https://www.umegei.com/kyutai-no-kyutai/
●公式X(旧Twitter):@kyutainokyutai

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