ゆうめいの新作舞台『養生』が2月17日(土)から20日(火)まで、東京・下北沢のザ・スズナリで上演される。
ゆうめいは、舞台作品・美術・映像を制作する団体として2015年に設立された。表現と発表をし続けることによって生まれる他者との共鳴と反発を繰り返し、現実に新たな視線や変化を見つけることを目指しているという。
同公演は『第34回下北沢演劇祭』の参加作品で、百貨店の内装作業を行う夜勤の現場を舞台に、「諦めたいのに諦めない」という矛盾を抱えた人物たちを描く。作・演出を務めるのは池田亮。出演者には本橋龍(ウンゲツィーファ)、黒澤多生(青年団)、田中祐希が名を連ねている。
ゆうめいの公式サイトや公式X(旧:Twitter)では、『養生』がどのような作品か事前にイメージできるコンテンツが公開されている。チケットは現在発売中。
【池田亮のコメント】
日雇いの夜勤を沢山していた頃、価値観が大きく変わりました。例えば、当時好きだった人気アーティストのライブだからという理由で連日参加した夜勤の設営で「命がけでやれやー!」「帰さねぇぞー!」と叫ぶ管理者や、蹲ったアルバイトスタッフのメットを「サボんなや ー!」と叩き、同じく叫ぶアルバイトスタッフもいて、何名か失踪した後、やっと設営が終わ った後に舞台に立って「やさしさが世界を救うー!」のような歌を叫ぶアーティストがおり、 結構な世界でした。今になって、あれに感動してしまった自分とは何かと考えました。で、今はどうなのだろうと気になって、調べるため最近また行ってみました。結果、また結構な世界でした。集団で何かのために働くこと、その「何か」とは何かを考えつつ、今作、自分は日雇いの現場へ通いながら、お金を稼ぎながら研究と稽古と体験をしながら、日々変化し続けるクリエイションを行います。危険と感じたら当然直ぐに辞めます。無事本番を迎える予定です。過去と最近の日雇い現場で出会った全ての人たちとアーティスト含め、全員に観ていただきたい何かを作る所存です。
別の話ですが、主宰の田中祐希が働いているバイト先で痛い目にあったそうです。自分としましては辞めていただくことを推奨したのですが「もしかしたら、俺がこのバイト先をなんとかできるかもしれないから続けてやりますわ!」と謎な意気込みを話していました。辞めていただくことを引き続き推奨中ですが、そんな主宰の想いも作品に込めます。今作は、彼と二人だけの稽古場から立ち上げていった、ゆうめいの旗揚げ公演『俺』を今一度振り返るようなクリエイションにする予定です。
ゆうめいに何度も参加していただいております黒澤多生さんにも重要な役を担っていただきます。東京外への旅公演でも、よく寝どころを一緒にしながら作品を作り続けてきました。共に体験した様々なことを振り返り、それらを取り入れて作っていきます。
そして今回、「ウンゲツィーファ」主宰の本橋龍さんにご出演いただきます。ウンゲツィーファの作品を自分は大好きでして、プライベートでもいろいろ話した本橋さんの生き方や考え方に共感し、影響され、もっとよく知りたいと思い、今回主演を担っていただきたくオファーしました。
今回のキャストスタッフから生まれるだろう、新たな旅路を存分に描きたいと思います。下北沢演劇祭、ザ・スズナリにて心よりお待ちしております。