INDEX
「簡単に生きちゃダメだ、って」
―作詞のクレジットは「Hedigan’s」になっているけれど、基本はYONCEさんが書いてますか?
YONCE:そうですね。“ふしぎ”と“再生”は俺が書いた詞だけの状態であって、将治に「これに曲つけてみてくれるかしら」って言ったらすぐ作ってくれて。“Mission Sofa feat. 井上真也”は、詞を祐輔に渡して。今回はそういう感じの取り組みもあって面白かったです。
―今話してくれたことは、作品の中で歌っていることにもつながると思うんですよね。行き過ぎた文明の中で人間は何を大事にすべきか、「こういうことを見つめ直してもいいんじゃない?」といった提案、とか。
YONCE:「こうやって過ごす姿が理想的だ」とか。自分や自分の周りの人たちは運よくうまく過ごせてるけど、それが叶わないシチュエーションに目を向けることが、僕は最近多くて。そういうことを歌にしていたら曲たちになっていた、という感じでしょうね。生き方にうるさいんでね。
大内:生き方ソムリエだ(笑)。
YONCE:“マンション”なんて、説教くさいおっさんのルンバですよね。「地球の管理人」「社会生活の管理人」みたいな目線の歌なんですけど、偉そうですよね。
―いや、“マンション”はすべてがパンチラインですよ。
祐輔:僕はYONCEの歌詞がすごく好きで。未来に向けて明るいメッセージを歌っているわけではないと思うんですけど、“マンション”とか他の歌詞でも、勇気づけられる部分がたくさんあるし、暗くて棘のある歌詞だけじゃなくて優しいところがたくさんあるなと思います。
YONCE:スタンスとしてはポジティブなつもりで書いてるんだよね。過程に大事なことがあるから、いきなり明るい部分を言ってしまっても意味がないというか。要は「川魚の肝まで食えよ」みたいな話というかね。美味しい身だけ食ってちゃダメだよと。人間以外も同じく苦いもんを食ってるから、そこは同列でみんなやるんだよ、っていう話ですよね。簡単にやろうとするな、簡単に生きちゃダメだ、って。……だから説教くさいおっさんのルンバなんですよ。「今から説教するぞ!」っていうことを音楽でやってる(笑)。
―それはロックバンドとしてすごく大事なスタンスだと思うし、いろんなことを経験してきて、農作業を通して人間や自然、地球を見ているYONCEさんからしか出てこないメッセージも、たくさん伝えてくれているなと思います。しかもここまで話してくれたようにHedigan’sの音や5人で過ごした時間があって、そこに導かれるように自然と歌えた言葉だと思うから、メッセージがひとり歩きしてるわけではなく、まったく説教くさい音楽ではない。そういった表現の仕方もこのアルバムを素晴らしいものにしている所以だと思います。そんなアルバムに『Chance』というタイトルをつけた理由は?
大内:自然と降りてきたワードが、いろんなものにハマって。
将治:昔からの友達で、いい大人になってバンド組んで、音楽作って、ツアーして……こんなの「チャンス」以外何物でもないよね。
本村:「サクセス」とか、そっちではなくね。
YONCE:「生きてるだけで丸儲け」的な。
大内:「チャンス」って、「成功への足がかり」「掴まなきゃいけないもの」みたいな意味でも言われるけど、どちらかというと「一期一会」の「期」に近いというか。偶然に生じた一瞬が「チャンス」だと思う。
祐輔:歌詞を読み込んでいくと、風刺的な皮肉っぽい意味での「チャンス」もあるなと思って。“O’share”でいう<淘汰のレースの最後の一匹の席>を争ってる人たちにとっての「チャンス」と、俺たちにとっての「チャンス」は違うから。
―「チャンス」とは、誰かを出し抜くことではなく、誰かと一緒に過ごす中で訪れる思いもよらなかった瞬間に気づくことである、といったことが込められているタイトルだと思いました。最後の“ふしぎ”も、Hedigan’sとしては新しい形のポップスで、詞も素晴らしくて。
祐輔:わかります、“ふしぎ”は泣きそうになる。
本村:俺、泣いた。
―これはどういう気持ちの表れなのか、聞いてみたいなと思って。
YONCE:これはサービスエリアでガチで寝ようとしているときに書きましたね。ちょっと打ちひしがれた気持ちだったような気がしますね。僕は友達がけっこう多いんですけど、「友達」という中に、是が非でも会いたい友達から、会うのは年1回でいいなっていう友達とか、いるじゃないですか。全部、大事じゃないわけではなくて。それに応えられる自分じゃないときもあるし、応えられる自分のときもあるし、ということを考えていた気がしますね。
―1月から始まるツアーではどんなことを感じさせてくれるのか、非常に楽しみです。ライブでは今、どういうことを大事にしていますか?
本村:ここ1、2ヶ月でセットリストが変わってきて、「ライブの運び方にこういう選択肢もあるんだ」みたいな気づきがあったので、自分でもどんなライブになるのかがまだまだわかってないんだな、っていうことがわかりました。だから、わけわかんなくなりたいです。
YONCE:着実に、演奏とかパフォーマンスのギャグセンは今かなり高い。
―(笑)。Hedigan’sが言う「ギャグセン」とは?
YONCE:よくて笑っちゃう、みたいな。
大内:そう、生じゃないと起こらないこと。
将治:ギャグセンというか、自分らで笑ってるだけ(笑)。
祐輔:今は「こいつら5人と音を出すのが楽しい」というところが一番大きくて。そこに「お客さんとコミュニケーションできて楽しい」とかが加わっていったら、もっと楽しくなるんだろうなと思う。お客さんと「心が通じ合った気がする」という瞬間が増えていったら、この5人で音を出す楽しさみたいなものに加えて何かが生まれてくるんじゃないかなって思います。
本村:いわゆる一個の喜びに収束するようなライブではないというか、みんなが同じ気持ちになって終わるようなライブではないとは思うし、そもそも自分らもライブがどう運ばれていくのかわからないところがあるので。祐輔が言ったようにお客さんとコミュニケーションしたいと思っていて、「コール&レスポンスする」とかそういう話ではなく、お客さんと互いにわかり合おうとする関係性でライブができたらいいなと。ツアーでは特にそういうコミュニケーションができたらいいなと思ってます。
YONCE:音楽そのものの宣伝をしたいですね。「ギターってやばくね?」「バンドってすごくね?」みたいなことをずっとやっていたいですね。
『Hedigan’s “Warehouse Session”』
配信ライブ
YouTube『Hedigan’s “Warehouse Session”』
2024年12月13日(金) 22:00~
https://www.youtube.com/@Hedigans
Hedigan’s『Chance』

2024年11月20日配信リリース
1 地球(仮)
2 マンション
3 その後…
4 グレー
5 再生
6 Mission Sofa feat.井上真也
7 But It Goes On
8 O’share
9 カーテンコール
10 ふしぎ
https://fcls.lnk.to/Chance
CD
2025年1月15日リリース
¥3,950
[DISC 1]
1. 地球(仮)
2. マンション
3. その後…
4. グレー
5. 再生
6. Mission Sofa feat.井上真也
7. But It Goes On
8. O’share
9. カーテンコール
10. ふしぎ
[DISC 2「Live at SPACE SHOWER MUSIC Presents “EPOCHS Music & Art Collective 2023″」]
1. 夏テリー
2. LOVE(XL)
3. サルスベリ
4. 説教くさいおっさんのルンバ
5. 敗北の作法
6. 論理はロンリー
CD予約リンク
https://hedigans.lnk.to/Chance
『Hedigan’s “TOUR Chance”2025』
2025年1月25日(土)神奈川県 Yokohama Bay Hall
2025年2月1日(土)福岡県 BEAT STATION
2025年2月9日(日)埼玉県 HEAVEN’S ROCK Kumagaya VJ-1
2025年2月11日(火・祝)宮城県 darwin
2025年2月15日(土)愛知県 名古屋CLUB QUATTRO
2025年2月16日(日)大阪府 BIGCAT
2025年2月23日(日・祝)北海道 cube garden
2025年3月2日(日)東京都 Zepp Shinjuku(TOKYO)
チケット一般発売中
https://lit.link/hedigans