グータッチでつなぐ友達の輪! ラジオ番組『GRAND MARQUEE』のコーナー「FIST BUMP」は、東京で生きる、東京を楽しむ人たちがリレー形式で登場します。
11月12日は、シカゴスタイルのホットドッグ店「Just Right」の塩川優吾さんからの紹介で、サインペインターの中原真也さんが登場。仕事内容や、サインペインターになった経緯などについて伺いました。
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筆で書くことに興味を持ったのは、古代ローマの「トラヤヌス帝の碑文」がきっかけ
Celeina(MC):今日は番組のテーマが「四国」なので、四国たっぷりでお届け中なんですが、なんと中原さんは徳島県ご出身なんですよね。
中原:偶然ながらそうなんです。
タカノ(MC):今日という日に誘われて来ていただいた感じがありますね。
Celeina:さあ早速ですが、「サインペインター」というお仕事は、日本ではなかなか聞き馴染みがないと思います。具体的にはどんなことをされているんでしょうか?
中原:簡単に言うと、手描きの看板職人です。筆と塗料を使って看板を描いたり、壁に描いたりする時もありますし、あとはガラスに金箔を使って、パブやバーとか、バーガーショップなどのサインを作ることもあります。
Celeina:中原さんが作られた看板はポップで、目に飛び込んでくるようなデザインが印象的ですけれども、サインペインティングとの出会いは何だったんですか?
中原:もともと僕は音楽をやっていたんですけど、美術大学出身ということもあって、ミュージシャンの友達からフライヤーやCDのカバーのデザインを頼まれるようになり、依頼が結構増えてきたんです。その時、英語のロゴを作ることが多かったんですけど、例えば大文字の「H」という字を書く時に、縦の棒を1cmの太さで書くとするじゃないですか。そしたら横の棒も1cmでいいのか、5mmくらいにして細く書いた方がいいのかを探っていたんです。
Celeina:デザイナーならではの視点ですね。
中原:自分の感覚を信じてやっていたんですけど、何か答えがあるんじゃないかと思って調べたところ、西暦113年のローマで彫られた「トラヤヌス帝の碑文」という碑文があることを知りました。そこに書かれているローマン体は、全てのローマン体の最初の文字のデザインなんです。例えば平筆で書くと、縦の線は平筆の広い面で書いて、 横の線は細い面で引くじゃないですか。この比率がリアルなんだと気づいたんです。
Celeina:現代で言うと、例えば蛍光ペンを使って「H」を書く時、ペンの角度を変えずに書いたら真ん中の棒だけ細くなりますよね。
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「New Bohemia Signs」に弟子入りするために、単身渡米
中原:まさにその通りです。そこで、筆で書くということに興味を持ちました。筆でアルファベットを書きたいと思っていたところ、本屋さんで『Sign Painters』というアメリカの看板職人の映画に関する本を見つけたんです。そこに書かれていた文字を見た瞬間に、「めちゃくちゃかっこいい! これだ!」と衝撃が走りました。これがサインペインターを志したきっかけです。その『Sign Painters』という本の中には、20人くらいのアメリカのサインペインターが載っていたんですが、その中で自分が好きだなと思うペインターのインタビューを英語で頑張って読んでいたんです。
Celeina:好きって強いですね。
中原:本当にそうですよ。サンフランシスコにある「New Bohemia Signs」というサインショップのボスのインタビューも載っていたんですが、ボスが描くサインがとても格好良かったんです。僕がすごくかっこいいと思う秘密がきっとあるはずだ、この人に教えて欲しい、と思ってGoogleマップで調べたところ、本当にその店があるんですよ。なので、そのままお店に1番近いホステルを探して、ESTAで90日間のビザを取った時にかかる滞在費用も計算して、夜勤してお金を貯めて、そのお店に手紙を送ったんです。
タカノ:まだ向こうには何も連絡を入れていないですもんね。その段階で、計画を立ててお金を貯めて、と。それで、お手紙。
中原:カナダ人のアンドリーという友達に相談したら、メールだと簡単に送れてしまうので、手紙の方がいいんじゃないかと言われたんです。
Celeina:手書きの手紙の方がグッとくるということですよね。でもちゃんと届いているか不安になりそうです。
中原:EMSだと追跡できるので、お店に届いているかを確認できるんです。手紙に、自分が練習した紙も一緒に入れていたんですが、向こうに着いたタイミングで、また別の角度からアプローチしようと熱烈なメールを送りました。
タカノ:アナログとデジタルを駆使して送ったんですね。
中原:手紙で返信って無理じゃないですか。でもメールだったら返信がしやすいだろうと思って、もうまるでラブレターのように送ったんです。店に行く日程もメールに書いていたので、OKでもダメでも返事が来ると思っていたんですけど、一向に返事が来ない。飛行機やホステルの予約を取るべきなのか悩んで、コロンビアに5年住んでいたバックパッカーの友達に相談したんです。すると、その友達に「アホじゃないのか」と言われて。「パッションが大事なんだ」と。「そのパッションをいつ見てもらうのよ、そいつに会った時じゃん!」と言われたんです。メールや手紙をいくら送っても無駄で、さっさと行ったほうがいいとアドバイスしてもらいました。
タカノ:その友達もすごいですね。
中原:そうなんですよ。そして忘れられないのが、その友達と飲み屋を出て別れた後、しばらく経ってから「あのさ、もし駄目だったとしても最高の旅になるから!」と言われたんです。
Celeina:いいですね、その一押し。
タカノ:映画のワンシーンみたいな瞬間ですね。
Celeina:そして、晴れて「New Bohemia Signs」に行って弟子入りもされたということで。
中原:いい人たちで、本当にラッキーでした。レジュメといって、自分の履歴書を全部1本のペンで書いて、「このペン1本で書きました!」とそのペンを添えて渡して、受け入れてもらえました。
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現在は日本に拠点を移し、ワークショップも開催
Celeina:そこから活動が始まったということですけれども、帰国されてからはご自身のスタジオ「Modern Twist Signs」を日本で設立されて、さらにまた2021年から再びサンフランシスコに拠点を移されたんだとか。
中原:2021年からは、「New Bohemia Signs」で社員として働いていました。
Celeina:その後、今年日本に帰国されて、今は日本を拠点にサインペインティングを行なわれています。最近の活動として、サインペインティングのワークショップを開催されていると伺っていますが、これはどういった活動なんですか?
中原:これは、参加者の皆さんが自分の好きなデザインのサインを、プロが使う道具を使って2日間かけて作るというワークショップです。とても面白いんですよ。
Celeina:リスナーの方で参加してみたいという方は、中原さんのInstagramからチェックしていただけるといいでしょうか。
中原:そうですね。Instagramでも大丈夫ですし、「Modern Twist Signs」のホームページもありますので、そちらでも見ていただけます。
Celeina:気になる方は、ぜひチェックしていただければと思います。 さて、「FIST BUMP」はグータッチで繋ぐ友達の輪ということで、お友達をご紹介していただいているのですが、どんな方をご紹介いただけますか?
中原:アパレルブランド「PHINGERIN」で働いている、ジェイ高橋くんをご紹介します。もともとハワイ出身の方で、日本に来て今3年目くらいだと思います。
Celeina:インターナショナルですね。楽しみです。明日はアパレルブランド「PHINGERIN」のジェイ高橋さんに繋げたいと思います。 今日はサインペインターの中原真也さんをお迎えしました。ありがとうございました。

GRAND MARQUEE

J-WAVE (81.3FM) Mon-Thu 16:00 – 18:50
ナビゲーター:タカノシンヤ、Celeina Ann