グータッチでつなぐ友達の輪! ラジオ番組『GRAND MARQUEE』のコーナー「FIST BUMP」は、東京で生きる、東京を楽しむ人たちがリレー形式で登場します。
5月1日は、アドビのタイプフェイスデザイナー、西塚涼子さんからの紹介で、イラストレーター・アニメーション作家・漫画作家の北村みなみさんが登場。連載中の漫画『あさってのニュース』の創作秘話や、イラストレーターから漫画の世界に入られたきっかけについて、お聞きしました。
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優しいタッチで、ノスタルジーを感じるSF漫画を描く
Celeina(MC):まずは北村さんのプロフィールをご紹介します。北村さんは、書籍や雑誌の表紙・挿画、アニメーションMVなどを多数制作。2021年6月、WIREDの漫画連載をまとめた単行本『グッバイ・ハロー・ワールド』を刊行し、『第25回文化庁メディア芸術祭』 マンガ部門 審査委員会推薦作品に選出されました。同年7月、イラスト作品集『宇宙(ユニヴァース)』(グラフィック社)を刊行。2022年7月から2024年1月まで、ちくまwebにて漫画『あさってのニュース』を連載されています。誰もが1度は見たことあるイラストやアニメーションを制作されていますよね。
タカノ(MC):見たことあります。もともとlyrical schoolやbrinqといった音楽系のアートワークを担当されていたことは知っていましたが、漫画を描かれていることは知りませんでした。
北村:漫画を描き始めたのは、ここ5年ぐらいなんです。
タカノ:キャリアの途中から漫画を描き始めるパターンもあることにびっくりしました。
北村:そうですね。自分でも珍しいと思います。
Celeina:最新の漫画に関するお仕事としては、webちくまにて漫画『あさってのニュース』を描かれていらっしゃいます。我々もチェックさせていただきました。

タカノ:めちゃくちゃいいです。鳥肌が立つものもあれば、寂しさを感じるものもあったりして。
Celeina:どれも短編作品で、心温まるものもありました。どういったテーマの作品なのか、ご紹介いただけますか?
北村:月1でwebちくまで描いている連載漫画になります。例えば、生成AIやVR、自動運転車など、毎回そういった未来を感じるテーマを1つ選んで描く作品です。近未来まではいかないけど、2、3年後ぐらいには実現するんじゃないかなみたいなSF漫画になっています。
Celeina:私は人工出産というエピソードを読んで、すごく考えさせられました。
タカノ:わかります。人工出産もそうだし、昆虫食や温暖化の話など色々なテーマがありますが、どれも我々の日常と地続きなんですよね。この作品のアイデアはどういうふうに考えていらっしゃるんですか?
北村:普段からwebなどを見てテック系のニュースで気になるものがあったら、ネタ帳のようにスマホのメモに書いて10個ぐらい常にストックしています。その中から、「今月はこれ書けそうだな」とか、「最近、話題になっているから描こうかな」と毎回自分で選んでいます。
例えば、自動操縦車のAIがどんどん発展していったら、 人間とAIが親友になっちゃうこともあるんじゃないかなとか、VRで言えば、現実だと社会的な立場ですごく動きづらくて自分を出せない人がVRの世界だと垣根を越えて、自由に生きていけるんじゃないか、みたいな。そういった普通の使い方から外れたところで、何かドラマが起きるんじゃないかなと思い、思考実験のように考えて話を膨らませていくことが多いですね。
Celeina:ヒューマンドラマですね。
タカノ:ゴリゴリのSF漫画なのに、北村さんの優しいタッチで描かれているから、寂寥感やノスタルジーがあって、色んな感情が巻き起こります。皆さんにぜひ読んでほしいです。
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連載漫画の解説にはChatGPTを活用
Celeina:先ほど、ネタ帳があるというお話をされていましたが、先にキャラクターを考えるよりも、アイデアから漫画が生まれることが多いということでしょうか?
北村:そうですね。もともとアイデアを自分で選んで、それについて 1、2日ぐらい、いっぱい考えを巡らせています。そうやって、自分が思いついた中から、1つつまみ上げて、物語として膨らませていきますね。
タカノ:設定から考えていくんですね。
北村:はい、設定が先です。それからキャラクターを肉付けしていきます。
タカノ:連載漫画の最後には、米印付きで「この文章は、ChatGPTが書いています」と説明書きがあります。あれはどういう意味なんですか?
北村:webちくまの担当の方が、ChatGPTをすごく好きなんです。連載漫画で、例えば人工出産だったら、「人工出産とは、こうこういうものである」みたいな解説を小さくつけてくれているんですが、その半分ぐらいを毎回ChatGPTに書かせて、自身で添削されて掲載しています。それをChatGPTが出てきてすぐの頃からずっとやっていて、連載のテイストにも合っているなと思っています。
タカノ:実際に創作にもそういうテクノロジーががっつり絡んでいることが、すごく面白いですね。
北村:はい。かなり自由にやらせていただいています。