グータッチでつなぐ友達の輪! ラジオ番組『GRAND MARQUEE』のコーナー「FIST BUMP」は、東京で生きる、東京を楽しむ人たちがリレー形式で登場します。
1月22日は作家の鈴木みのりさんが登場。和田彩花さんと共同特集編集された『エトセトラVol.8「アイドル、労働、リップ」』が生まれるまでの経緯や、注目しているエンタメなどについて伺いました。
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とある雑誌の編集者に声をかけられたことで執筆業へ
Celeina(MC):鈴木みのりさんはジェンダーやセクシュアリティ、フェミニズムの視点から執筆されることが多いということですけれども、執筆を始めたきっかけは何だったんでしょうか?
鈴木:自分から作家になろうということは思ってなかったんですけど、ある雑誌の編集者にナンパをされたんです。それで他の編集部の皆さんとも会ったんですが、就活がうまくいかない時期でだったので、そういう話をしていたら「うちだったらこれぐらい出せるよ」って言われて、「やります!」という感じで。
タカノ(MC):ミラクルですね。
鈴木:そうですね。友達がその雑誌で写真を撮ったりもしていたのでその流れもあったんですけどね。
Celeina:元々、文章を書くことはお好きだったんですよね?
鈴木:携帯小説が流行っていた時代に、自分も日記を書いたりしていたので、馴染みみたいなものはありました。
Celeina:携帯小説読んでた!
タカノ:懐かしい、思い出しますね。
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アイドルを楽しく応援するために、フェミニズムの視点から考える
Celeina:2022年に、和田彩花さんと共同特集編集された『エトセトラVol.8「アイドル、労働、リップ」』があります。こちらの特集、今思うと、すごい企画ですよね。この企画が生まれた背景は何だったんでしょうか?
鈴木:わたしはハロープロジェクトが好きで、あやちょ(和田のニックネーム)が所属していたアンジュルムというグループを、前身のスマイレージの頃からファンでもあったんです。ただアイドルを応援したり、自分が楽しんだりするためには、労働環境や、主に女性が性的に客体化されやすいというフェミニズムの視点からも考えないと駄目なんじゃないかなと思って。こういう話を『エトセトラ』の代表で編集者の松尾さんにしたら、和田さんと一緒に特集をやるのはどうかという話になったんです。
Celeina:なるほど。大事なトピックですよね。
鈴木:今は女性アイドルの話をしたんですけど、男性アイドルもいるし、そのファンにも男性と女性がいる。異性愛の文脈で、女性だからといって男性を応援する、男性だから女性を応援するというだけじゃなくて、憧れとか色んな視点もあるよね、ということを分かりやすい形で表現できないかと思って工夫しました。
タカノ:その特集内で行われたアンケートがすごく興味深いですよね。
鈴木:アイドルやアイドルだった方、アイドルと働いている方、アイドルのファンの方と3種類のアンケートを行ったんです。ただやっぱりアイドルの方達はの回答は思ったより少なかったんですね。去年の色んなニュースを考えても、匿名とはいえなかなか語りにくいというのはあるのかなと思いました。
Celeina:アイドル側からは語りにくいという現状自体を、これからどんどん変えていくっていうことはすごく大切なことだと思いますね。
タカノ:アンケート結果を見てみると、働きづらさみたいなものがにじみ出て来ていますよね。
鈴木:そうですね。あと、アンケートの良かった他の点は、ファンやアイドルの、色んな人が回答してくれたんですよね。海外から英語で回答してくれている人もいたり、同性愛の文脈でファンだっていう方もいたり。男性女性に限らず、ジェンダークィアやノンバイナリーといった、既存の性別に当てはまらない方もいて、色んな人たちがアイドルに興味があることが可視化されたのも良かったですね。
タカノ:質問があるんですけど、タイトルに「リップ」が入っているのはなぜですか?
鈴木:アンジュルムの元メンバーに、現在はME:Iで活躍されている笠原桃奈さんという方がいるんですけど、所属していた時に、リップの色についてファンの方から色々言われたことがあったんですよ。その時にあやちょが、ブログ上で「好きな色のリップを塗りなさい」ということを書いていたんです。ファンに受け入れられるように、見た目を気にしなきゃいけないお仕事でもあるけど、自分の個性をどうやって出していくかということは、その人が選んでいくことが大事なんじゃないかと思って。表象と表現の2つを合わせて「リップ」を入れました。
タカノ:これは他人事じゃないですよね。
鈴木:そうなんです。ただ、その笠原さんとあやちょのエピソードに限らず、いろんな意味としてみんなに考えて欲しくて、あえて抽象的な表現にしました。