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第9話のロールキャベツが私たちに伝えるもの

一方で、上野や木山の心を労わることはできていたにも関わらず、自分自身の心の不調に気づけなかった優太は、「10年住んでるのに知らない景色ばっか」な光景をゆっくり見渡したその先で、自分自身の「疲れた」という思いを見つける。つまりは、自分自身の心が悲鳴を上げていたことに気づく。そのことを受け入れ、優太が泣きながら食べた第9話のロールキャベツは、きっと、かつて耕助が料理人を目指すきっかけにもなった、学生時代、優太が耕助に作ってあげたカレーライスの「美味しさ」に似ている。優しくて温かくて、それだけで心が解ける。目が覚めたら春の気配が漂ってくる、春キャベツが美味しい季節に、敢えて「休むこと」の大切さを教えてくれる本作の優しさは、きっと今日も無理をしている誰かの心をそっと「包んで」くれるに違いない。
水ドラ25『晩餐ブルース』

テレ東ほかにて毎週水曜深夜1時から放送中
公式サイト:https://www.tv-tokyo.co.jp/bansanblues/